カシマナキ

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紅月導く百鬼夜行 3話

翌朝、2人は朱雀山に向けて再び歩き出した。朱雀山まではまだまだ距離があり、時折休憩を挟みつつ2人は歩いていた。 「そういえば伊織さま、旅のお金とかって大丈夫なんですか?」 「ああ、それは大丈夫」 そういうと伊織は、懐から巻物を取り出した。 「それは?」 「運営が出してる、悪い妖怪の討伐依頼の巻物。これに載ってる指名手配の妖怪を倒して連絡すれば、運営からお金が貰えるんだ」 「へー、ほんと手厚いですねえ」 「うん、僕も割とやってるけど…もう少し余裕は欲しいかな」 「じゃあ行

    • 紅月導く百鬼夜行 2話

      「いやぁ、すみません伊織さま、この体が人だってついつい忘れちゃいました!」 「だからっていきなり4足歩行で走り出さないでよ」 2人は神社を出て人里で買い物をしたのち、試練の地を目指して歩いていた。 「私、まだ妖怪になって日が浅くて…だからもし妖怪界の常識とかあったら教えて欲しいのですが…」 「うーん、じゃあ百鬼夜行も知らない?」 「知らないです!」 「元気」 「百鬼夜行ってあれですよね、確か妖怪たちが夜な夜な練り歩くっていうあの」 「うん、人間の間ではそうだね。でも僕たち

      • 紅月導く百鬼夜行 1話 

        あらすじ 妖怪たちの住む世界、燈月の里では妖怪たちの頭領を決める儀式、百鬼夜行が行われていた。各種族から1人ずつ代表を選び、試練の地を巡っていき、最後に代表同士の戦いで勝った者が次代の頭領となる。百鬼夜行の鬼族代表、彼我伊織は旅の中で成長していく。 ⚫︎詳細設定 ・百鬼夜行には様々な規則が存在し、規則を破った代表者は即座に失格となる。 ・百鬼夜行は常に運営である白狼天狗の一族が監視している。 ・代表者には運営との連絡担当の陰摩羅鬼が憑いており、運営は彼らを通じて代表者の動向を

        • 無の世界に眠りたい 1

          希死念慮。それは人が抱える、漠然とした死への思い。 けれど僕は思う。それらの願望は、正しくは「消えてしまいたい」なのではないかと。 時計に目をやると、朝の10時になっていた。もっとも、電気をつけずカーテンも閉めきったこの部屋に時の流れなどあってないようなものだが。 こんな日々になってから、いったいどれだけの時が過ぎたのだろうか。ここしばらくの間、碌に食事をしていない。人は数日間飲まず食わずでいると死に至ると聞いていたが、どうやらまだその域には達していないらしい。 もう一度眠

        紅月導く百鬼夜行 3話