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suzumuraxxxjun
夜からの手紙(毎週ショートショートnote)
世界は、昼の世界と夜の世界に真っ二つに分かれていた。簡単に言ってしまえば、世界は平面でできており、コインの裏表のよう。
そんな世界だけど、連絡手段がまったくないわけではない。世界の真ん中には大きな穴が空いていて、そこから行き来できるようになっている。
「いつかは、わたしも夜に行ってみたいな〜」
素晴らしい世界を、もっと知りたい。
ある日のこと、『夜からの手紙』が届いた。送信元は初めて聞く地名。でも宛先はわたしで間違いない。
中を開けてみると、夜へのチケットが入っていた。思いがけないことに、わたしは小躍りした。
手紙にはこう書いてあった。
『読んでくれてありがとう。
僕は夜の世界でしか生きられない。
でも、どうしても昼の世界に行ってみたいんだ。
長年どうしたら良いか悩んだ末に、昼の人に来てもらって、いろんな話を聞かせてもらおうと思う。
だからこうして、あなたに手紙を書いた。』
そして、わたしは長い夜の旅に向かう。
手紙をくれた紳士の元へと。
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毎週ショートショートnoteに参加させていただきました!
なんだか、これから始まる小説の冒頭みたいな感じになりました。笑