錬成は電卓の親族(毎週ショートショートnote)
うちのじいちゃんは腕利きの錬成師だ。
僕は、錬成術の基本を教えてもらいに、じいちゃんちに来ている。
「錬成師になりたいならまずは電卓を極めろ」
「電卓? なんでそうなるのさ?」
「錬成とは、すなわち等価交換なんじゃよ。イコールで結ばれた世界を理解するために、まず電卓をマスターするんじゃ」
説明されても言ってる意味よく分からないんだけど……。
じいちゃんが言うには、緻密な計算のうえに錬成術は成り立っていて、そこには頭の中で超高速で電卓を弾くように計算しないといけないみたい。
「そんな早く計算出来ないよ〜」
「なんだ、まだまだじゃのう。ほっほっ。錬成は電卓の親族みたいなもんじゃ。精進せいよ」
ああ、じいちゃん、人間じゃないわ……。
「おぬし、いまわしのこと電卓じじいとか思ったじゃろ?」
「お、思ってないし」
妙に鋭いツッコミにドキリとする。
「顔の少しの動きでも、すべて電卓に落として計算しておる。わしにウソは通用せんぞ」
「さすが、電卓の親族……」こわ。
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