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Photo by
guruguru8
オシリスの星とミルクの旅路
静かな牧場に朝日が差し込む頃、メグという名の乳牛は目を覚ました。彼女の背中には、まだ夜の冷気が残る星の光が反射しているかのようだった。メグは生まれながらにして特別な牛だった。彼女のミルクは、ただのミルクではなく、飲む者に不思議な夢を見せる力を持っていた。村人たちはその夢を「オシリスの星の囁き」と呼び、遠くエジプトの神話に繋がる幻だと信じていた。
メグの一生は、朝の搾乳から始まり、夕暮れの草むらで終わる、繰り返しの日々だった。しかし、ある夜、彼女の夢に奇妙な影が現れた。砂漠を渡る風と、輝く星の下で佇む牛の姿。それはまるで、メグ自身がオシリスの星と呼ばれる天空の一点に導かれているかのようだった。
その日から、メグのミルクはさらに不思議な力を帯び始めた。村の少年、タロウはメグのミルクを飲んだ後、毎夜のように砂漠の遺跡や黄金の川を夢に見るようになった。彼は確信した――メグはただの牛ではない。彼女は、オシリスの星とこの小さな牧場を繋ぐ、運命の使者なのだ。
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