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Accessコントローラーをレビューしながらアクセシビリティについて考えてみる【SIE提供】

【今回の投稿はソニーインタラクティブエンタテインメント社からの提供により執筆しています。】
まさかこの文言を自分が使う日が来るとは思わなかったわけですが、ありがたいことについにAccessコントローラーをしっかりとレビューさせていただける機会をいただきました!

前回は先行体験会に向けたレビューであったため、簡単なレビューでしたが、今回はこちらのAccessコントローラーを障害当事者として、そしてアクセシビリティを扱う企業の広報として、実際にこれから触れるユーザーの方に向けてレビューしたいと思います。

Accessコントローラーのおさらい


Accessコントローラーは、2023年12月6日に発売されるPlayStation®5用のコントローラーです。

こちらは通常のDualSenceコントローラーを、身体的理由により使用が困難な方がPlayStation®5で遊べるように作られたとても革新的な形のコントローラーとなっております。

円形に配置されたコントローラーは、ボタンやジョイスティックの距離、可動範囲などハード・ソフトの様々な機能がユーザーに合わせてカスタマイズできるよう設計されております。

さらにAccessコントローラーは2台同時に(DualSenceを含めると3台同時に)使用することが可能で、各ボタンを役割ごとにそれぞれのAccessコントローラーに割り振ったり、協力プレイによりユーザー同士で補い合いながら使用することも可能です。

開封の儀


さてそんなAccessコントローラーですが、なんと開封の段階から既にUXが考え込まれています。

こちらの画像のように、片手でかつ軽い力で箱を開封することができるのです!

中を開けるとAccessコントローラーと接続の説明書、そして各アタッチメントが用意されています。

この説明書も本当にUSBで繋ぐという説明のみで、その後の使い方は実際にユーザーが触りながら覚えていけるのです。
この「実際に使いながら操作に慣れる」という体験は本当に大切で、説明書を見ながらにらめっこするよりも遥かに理解力が上がります。

プロファイル設定


さて、次に待っているのはプロファイル設定画面です。
ここではコントローラーの各ボタンのアサインを決めることが出来ます。

最初はどの向きで操作するかを決め、

そしてその後ボタンアサインを決めます。

今回はこのようなレイアウトにしてみました。

PlayStationのゲームに限らず、最近のゲームは一つのキャラ(プレイヤー)が出来る行動の選択肢がかなり多くあります。
例えば走りながら武器を入れ替えて索敵をする、技のコンボを畳み掛けるために複数の行動を同時にする、など動きや戦術のバリエーションがかなり進化しているのです。

そうなってくると自ずと使うボタンも増えるし、複雑な入力が必要となります。

したがって、どのボタンがどの配置にあれば効率よくゲームをプレイできるのかをゲーム毎に考えていく必要があります。

例えばFPS系のゲームだと、主に使うアイテムは「銃」になるので、その操作を担うボタンは概ね「R2」ボタンとなります。

R2ボタンがどこにあれば自分にとってストレスなく操作できるのかという起点から他のボタンを決めていく、といったプレイアビリティに沿ったカスタマイズを考えることがAccessコントローラーの魅力の一つです。

ボタンについて


さて、ソフト側のアサインが終わり、次はAccessコントローラー本体のアタッチメントを考えていきましょう。

Accessコントローラーには主に5つのボタンキャップの形状、そして3つのジョイスティックの形状があります。

各キャップの説明をすると、

・ピローボタンキャップ

真ん中に向けて盛り上がった形状をしている、最初にコントローラーに付いているキャップ。
中心に向けて指や手のアプローチをするため、主に大まかな手の動きが得意な方に適したキャップとなっている。

・フラットボタンキャップ

平らな形状のキャップ。
中心部がなだらかなため、真ん中から押すというよりは端の方から手や指のアプローチをすると押しやすい。

・オーバーハングボタンキャップ

本体端と中心部にかかる形状のキャップ。
両端から押すことが可能であるため、どの手指のアプローチでも操作が可能。
センターボタンにかけて覆いかぶさっているため、同時押しなどで求められる手指のアプローチに最適。

・ワイドフラットキャップ

2つのボタンを同時押しする際に使用するキャップ。
ゲームによっては特定の2つのボタンを同時押しすることで可能になる操作があるため、その際に最適なアタッチメントとなっている。

となります。

また、ジョイスティックに関しても

・標準スティックキャップ

DualSence5に使われているキャップ

・ドームスティックキャップ

本体に付いているキャップ。
標準スティックキャップより広く、段差があることにより摩擦が生じ、グリップ力が上がる。

・ボールスティックキャップ

アーケードコントローラーなどに使われる球状のキャップ。
大きな動きからシビアな動きまで小回りが効いたキャップ。

が用意されています。

個人的に使いやすいと思ったキャップは
・カーブボタンキャップ
・オーバーハングキャップ
・ボールスティックキャップ

の3つです。

カーブボタンキャップについては、力を加える点と作用点の間に距離があるため、作用点にかける負荷が他のキャップに比べて軽くなることが使いやすさに貢献しており、
オーバーハングキャップについては上下どちらからでも押せることで、例えば指と手の付け根で反対側のボタンやセンターボタンとの連携がしやすくなるなどの操作スタイルを可能にするのです。

今回はよく使うボタンには、押しやすいカーブボタンキャップを、そしてジョイスティックには軸が安定しやすいボールスティックキャップを使用してレイアウトを作ってみました。

実際にゲームをプレイしてみる


さて、ある程度の準備が出来たところで実際にゲームをプレイして使い慣れていきましょう!

グランツーリスモ7

まず最初に遊んだゲームは、最近仕事でやることになって以降、そして映画を観て以降どハマりしているグランツーリスモです。

このレースでは右のAccessコントローラーのジョイスティックでアクセル・ブレーキ操作を、そして左のAccessコントローラーのジョイスティックでステアリング操作をしています。

某土管工のレースゲームとは違い(他社のためこれ以上の言及は避ける)、レーシングシミュレーターとしての機能を持つこのゲームは、単純な操作でありながらかなり奥深い要素を持ち合わせているため、Accessコントローラーの真価を発揮出来るのと共に、レースゲームの持つ面白さをDualSenceやハンドルコントローラーと遜色ない状態で楽しむことができます。

Marvel’s  Spider-Man2

お次のゲームは最近発売されたスパイディのゲーム。

ニューヨークの街を自由自在に探索出来るこのゲームでも、Accessコントローラーの真価を発揮しており、DualSenceでは複雑だった操作もかなりシンプルに出来るようになっています。
R2ボタンを押しっぱなしにすることで、ビルとビルの谷間をシームレスに糸で繋いでくれるため、手の重さを利用して置きながら、指で他の操作をすることもしやすくなっております。

アクセシビリティについて


実はスパイダーマンに限らず、最近のゲームではソフト内でアクセシビリティを拡充する動きが活発になっています。

例えばスパイダーマンだと、敵から攻撃される際に特定のボタンを押すことで回避行動を取れたり、特別なアクションを取る際に特定のボタンを押したりするのですが、この瞬間に動きをスローモーションにすることでスパイディの持つ特殊能力を際立たせるという演出があります。
ここにおいて、そのスローモーションの秒数を調節して、咄嗟の行動が苦手な方でもゲームのスピード感を妨げることなくプレイすることが可能になっているのです。

こうしたフィジカル面だけでなく、視覚・聴覚など様々なアクセシビリティが昨今のゲームでは確保されています。

そして、アクセシビリティはゲームの操作のしやすさを担保するだけでなく、そのゲーム内に存在するキャラクターのダイバーシティを通して、間接的にプレイヤーである私たちのダイバーシティをも肯定するのです。

スパイダーマンのゲーム内には、手話を使って会話をするキャラクターが存在し、さらにそのキャラクターを操作することで、そのキャラクターが生きている世界を体験することができるのです。

ただ操作を便利にするだけでなく、様々な状態にある人たちの状況をそのまま肯定した状態でアクションの一部にしていくというこの働きもまたアクセシビリティだと思いますし、もしかしたらこの動きはアクセシビリティという名前ではない何か新しい概念として成立していくんじゃないかという予感があります!

Accessコントローラーを使ってみて思ったこと


さて、話をAccessコントローラーに戻していきます。

Accessコントローラーの利点をまとめると

・様々なユーザーを想定したカスタマイズ性

プロファイル画面やボタンの形状、サイズや拡張性など、特定の身体的制約に限らないカスタマイズが可能

・PlayStationが出しているゲームとの親和性の高さ

PSゲームで用意されているアクセシビリティと親和性が高く、ソフトとハードの両方から操作方法の選択肢が増えることで、その時の身体状況に合わせて自分に合った操作が可能になる。

が挙げられます。

Accessコントローラーをいただいて約1週間以上が経ちましたが、こちらのコントローラーの使い方はまだまだ未知数です。
Accessコントローラーを使う他のユーザーがどんな反応をするのか、どんな体験をするのかを早く知りたいなと思えるワクワク感が詰まったコントローラーだと思いました。

とにかく多くの仲間と共にゲーム体験の感動を共有したいし、そしてAccessコントローラーの自分なりの使い方を意見交換したいです。

ボタンの形状や押し心地、ボタン配置のレイアウト、外部ボタンを付けた上でのプレイスタイルなど、自分一人では見つけ切れない使い方を、同じ当事者の仲間だけでなく、理学療法士・作業療法士などのセラピストの方や、ゲームを開発している方と共に使い方をハックして、PlayStationが進化する度にAccessコントローラーも進化していくような、そんなプロダクトになると思います!

そしてわたくしホッシーも、Accessコントローラーを使って様々なゲームで遊ぶだけでなく、様々な身体的制約を持つ方々のプレイスタイルを集約したり、ゲーム開発におけるAccessコントローラーでの操作モニターなどをやってみたいなと思いました!
(あの…コジプロの皆さま…ぜひ…DS2のアクセシビリティについてお仕事ください…)

また今後、Accessコントローラーの使い方の進展があり次第まとめてみようと思います。

それでは、今回はこの辺りで!

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