江戸時代のおわり
こうした池田信夫の指摘が重くのしかかってきます。逃れようもなく。
無論、二次の大戦等を度外視して、がしかし、現時点の危機を大づかみに突き付けてくるのです。
コロナも終わりホッとして、さて、などと言っている場合ではないぞ、と。
厳しい時代であることは間違いないでしょう。
だが、こんな時代に生まれ合わせたからこそ、見えてきたものがあるのだ、とも考えています。
後続世代の諸君よ、如何に。
●池田信夫「アゴラ読書塾「長い江戸時代のおわり」」
いま日本は、歴史の転換点にさしかかっています。
1990年に冷戦が終わり、ソ連はロシアとして「西側」に入り、中国は改革開放で世界市場に入りました。自由と民主主義が勝利し、グローバリゼーションで全世界が豊かになる未来が約束されたようにみえました。
この30年の日本の「デフレ」やゼロ金利も、冷戦の終了で中国の安い労働力が大量に提供された大収斂の結果でした。国内の賃金は下がりましたが、アジアに投資したグローバル企業は高い収益を上げました。
しかしウクライナ戦争は、すべてを変えました。世界は中露などの「ユーラシア国家」とそれ以外の国が、敵と味方に分断される新しい冷戦の時代に入っています。日本は応仁の乱のあと「長い江戸時代」ともいうべき平和を謳歌してきましたが、そんな幸福な時代も終わりました。
世界の再分岐が始まり、冷戦後の「どっちもどっち」という相対主義が許されなくなりました。防衛力の強化が必要になり、「原発ゼロ」や「カーボンゼロ」はエネルギー安全保障をおびやかしています。日本もゼロリスクを卒業し、まじめにリスク管理を考えるときでしょう。
写真:ロイター