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兵庫県知事選挙を「アラブの春」にしないために我々ができること

マスコミもSNSも兵庫県知事選でこのところもちきりです。多くの論考の中で、私の解像度を上げてくれたのはジャーナリスト佐々木俊尚さんの「兵庫県知事選は『アラブの春』である」というVoicyの放送でした。

アラブの春とは何だったのか?

「アラブの春」とは、2010年にチュニジアで始まった中東の民主化運動のことです。この運動はSNSを通じて中東全体に拡散し、当初はアラブ社会における民主化が拡大すると期待されていました。実際、チュニジアだけでなくエジプト、リビア、イエメンなどでも政権交代が起きました。

しかし、誕生した政権は安定を欠き、結果として「アラブの春」は「アラブの冬」となったとの解釈が定着しています。特に混乱が激しかったシリアでは内戦の勃発によって多くの難民が発生しました。また、「ISIL」といった過激なテロ組織も生まれ、その影響は長期にわたり収束しませんでした。

佐々木氏は、兵庫県知事選の前後のメディア構造の変化が「アラブの春」と類似していると指摘したのです。

マスコミをSNSが凌駕する社会はどうなるか?

これまでの日本の世論形成は、マスコミの影響を大きく受けていました。テレビの情報番組での発言がそのまま世論に反映されることが多く見られました。今回の兵庫県知事選挙における斎藤元彦氏に関するマスコミ報道では、パワハラや「おねだり体質」について十分なファクトチェックがなされていませんでした。

その一方で、マスコミの報道の偏りを指摘したSNSが拡散し、斎藤氏擁護の流れができたことが選挙結果に大きな影響を与えました。分散型のSNSが集権型のマスコミの影響力を凌駕したこの現象は、「メディアの民主化」とも言えるでしょう。私自身、何度もマスコミに捻じ曲げられて報道された経験があるので、正直、この流れを歓迎する気持ちもあります。兵庫県知事選は、マスコミをSNSが凌駕した画期的な出来事と捉えてよいと思います。

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