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静岡県民の理解を得て中央リニア新幹線を推進するために必要なこと

長く続いた川勝知事の時代が終わり、鈴木康友知事が就任したことで静岡県の行政運営に大きな変化が訪れました。

特に、年初の知事挨拶ではその変化を感じました。川勝氏の長く緊迫感を伴う(例えば、失言はないだろうか等)スピーチに比べ、鈴木氏の挨拶は簡潔明瞭で、時間も約3分の1に短縮されました。

写真を撮る前にご本人から聞いたところだと、短い挨拶にするのは相当意識されていたようです。

このスピード感と効率性は、新たな知事のスタイルを象徴していて、県民や自治体関係者は好意的に受け止めています。会場にいた聴衆の反応も上々でした。

鈴木康友静岡県知事はリニア中央新幹線の建設推進の立場を鮮明に

リニア中央新幹線の建設問題について、静岡工区の周辺でのボーリング調査が進むなど、鈴木知事のもとで進展が見られています。

知事は水資源への影響と生態系保護の2つの条件がクリアできれば、リニア建設を推進していくとはっきり述べています。

静岡県とJR東海との間には24項目の課題が残されています。今回、知事が

「これらの課題が解決すれば、関係者(周辺自治体)の理解を得て、JR東海との対話を終了させたい」

と言い切ったのは大きな前進でした。

なぜ静岡県民のメリットが必要か?

対話の終了が見えてきたことで、私はリニア建設の静岡県民への具体的メリットを明らかにする時期が来たと思います。

ちなみに、静岡県内から品川(名古屋)まで行ってリニアで移動するメリットを感じている静岡県民はほとんどいません。

それは北海道や四国の人も同じで、「静岡県民のわがままだ!」という声が聞こえてきそうですが、県民の積年の思いがあることを理解してもらいたいと思います。

静岡県内には東から熱海駅、三島駅、新富士駅、静岡駅、掛川駅、浜松駅と東海道山陽新幹線の中で最多の6つの駅がありますが、のぞみは一便も止まりません。

後に説明しますが、ひかりの停車本数も少なく、多くの県民が利用するこだまは、増便を重ねてきたのぞみの通過を待つため各駅で頻繁に待たされます。

ちなみに三島駅から東京駅へは通常1時間かかりますが、6時台の始発の新幹線は約50分で東京駅に着きます。その時間帯であれば、のぞみの通過を待たなくていいからです。

ここまで説明すると、リニアが通るのに山の中をかすめるだけで静岡県内に駅がなく、水や環境被害が心配となると、憤慨する県民がいるのも理解いただけると思います。

静岡空港新駅は解決策になる?実は…

この文脈でカギを握ると言われてきたのが、静岡空港への新幹線新駅設置です。

この新駅案は、空港の利便性向上や観光客の誘致などの観点からメリットがあるとされていますが、いくつかの技術的および運用上の課題も指摘されてきました。

JR東海側の主張として、静岡駅と掛川駅の間に新駅を設けることが「こだま」の運行効率を低下させる可能性がある点が挙げられています。

東海道新幹線の静岡駅と掛川駅の間の距離は約36キロメートルと比較的短く、新駅が設置されると新幹線が最高速度に達する前に減速する必要が出てきます。

JR東海は、空港直下に新幹線の駅をつくることの安全面での課題も指摘しています。

飛行機が着陸する際は空港には大きな衝撃が加わります。空港で大きな事故が発生した場合に新幹線の駅へのダメージが懸念されていました。

ただ、私自身は技術者と話した感触では払拭できない課題ではないという印象を持っています。

JR東海が空港新駅に消極的な最大の理由は、航空機と新幹線が競合関係になることだと思います。

東海道新幹線のお客さんを航空機に奪われるのは好ましくないというわけです。

私自身は、リニアができれば東海道新幹線が在来線に近い存在になり、航空機との競合関係が解消されることで、道が開けるのではないかと先日までは考えてきましたが、ここへきて状況に変化が見られます。

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