伝わるメディアを選ぶ
Media,Market,Messageを3Mという言葉で聞いたことがあります。
広告に携わっていると当たり前なのかもしれないけど、意外と忘れがちだなと思って、今日はその話をします。
私はデザインが好きで、綺麗なビジュアルや美しいレイアウトやフォントを見たり、想像以上のものに出会えると気持ちが浮き立ちます。作ってくれたデザイナーに感謝して、それが生まれた環境を振り返って、「うん、いい!」と勝手に満足します。でも、時々それが伝わるデザインでは無くて自己満足かも?と気づいてハッとすることがあります。
先日、私が携わる広告を、見る人目線で意見を聞くという貴重な機会がありました、その名も「広告座談会」。お客様にどんな広告を見たか、自由に話をしていただく機会で、最初は緊張した空気で皆さん良い意見ばかりでしたが、次第に打ち解けて、改善する意見や本音をぶつけてくれる良い機会になりました。
例えば、Instagramのこんなリールは見ない、とか。LINEでこんな通知が来たらブロックする、とか。ありのままを語ってくれて、情報発信をする側としてとても参考になりました。受け取っている方の生の声って大事だと痛感しました。
その時、デザインやメッセージへの発信側のこだわりって、よくも悪くも一部しか伝わっていないな、と感じた次第です。デザインやメッセージが良い悪いというよりも、受け取る方はそんなに気にしていないということ。それは、発信側が悪いわけでも、受け取る人が悪いわけでもありません。例えが良いかわかりませんが、伝える方は葉の一枚一枚に気を使うけど、受け取る方は大きな木を見ていて、葉はそんなに気にしていない、そんな感覚です。(葉が変に気にならない、のはむしろデザインとしては成功で)
その時に大切だな、と思ってきたのが「media」。例えば、ブログで綺麗な写真を一生懸命伝えることも、Instagramで複雑な概念を伝えることも、どちらも適していなくて、そのメディアの設計がしっかり出来ているか、ということ。そのメディアを見る人が何を求めているのかを捉えた上でそのメディアを選ぶことが大切だと思いました。
先日、たまたまある幼稚園の広報のご相談をお聞きしてきました。共働きの家庭が増える中で保育時間がしっかりしている保育園に頼るお母様に、丁寧な保育を実践している幼稚園にどうやって振り向いてもらえるようにするか、幼稚園の強みは何か、お話をお聞きしたら、一人一人の発育に合わせて、子供に向き合う姿勢が違うというお話。それは、中々伝えづらいというお悩みでした。お聞きして、Instagramで伝えるのは難しいな、というのが正直な感想で、敢えてここはブログが正解なのかな?と思った次第でした。
Instagramをまだしっかり運用していない幼稚園。来園者を増やしたいというご相談で、今のお母様は隙間時間に必ずInstagramを見るから、最初はInstagram運用を薦めてみたものの、写真中心で教育理念や丁寧な保育の良さを伝えるのは少しハードルが高く、敢えて活字を活かすブログが「アリかも?」という結論に至りました。
少し時代には逆行するのかもな、という不安もありつつも、子供の大事な未来に影響する時間を委ねる場所を選ぶ時には、しっかりとその理念を発信しようとしている方が、結果的に選ばれる、見つけてもらえるのではないか?と思い、Instagramよりもまずはブログを充実させることをお願いしてきました。
和風の料理が洋風のお皿で出てきたら、違和感あるし、逆も然り。メッセージが料理なら、メディアはお皿で、その料理が引き立つお皿を選ぶことは、さりげないけど、とっても重要だな、と思いました。で、そのお皿にはあまり気付かれることは無くて、伝える方は料理を作り込んでいて、受け取る方もその味に注目していて、誰も気にしないかもしれないけど、きちんと気にならないお皿を選ぶこと、それがとても大切だな、と思います。
良い料理をより多くの人に喜んでもらえるために。今日はメディアというお皿のお話でした。
ご一読ありがとうございました!
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