ロゴの色って変えても良いの?
私はキヤノンに愛着があります。
カメラはキヤノンを使っています。キヤノンって読む時は「キャノン」ですが、語源が「観音」なんですよね。だから、必ず「キヤノン」と「ヤ」を大きく表記するんです。少し、仕事で関わったことがあり、そんなキヤノンさんにはとても愛着があります。
「世界一のカメラをつくる」を理念に成長してきたキヤノンさん。会社の真髄はレンズ技術にあると思います。宇都宮にある光学技術の研究所、ハワイにある「スバル望遠鏡」のレンズを作っているのはキヤノンです。写真って3次元の空間を無理やり2次元に落とし込むからとっても矛盾があるんです。何枚ものレンズを重ね合わせて、材質の違いで好きなように曲がる光の波長をできるだけ一箇所に集中させる。レンズの技術って素晴らしいと思います。
で、今日の本題はレンズではなく、そのロゴのお話。キヤノンのロゴの色は赤ですよね?
うちの会社のデザイナーが最近、おしゃれなDMを作ってくれて、それは良いデザインだと思いました。で、デザイナーがそのデザインに合わせて、会社のロゴの色を変えたんです。私は「だめ」、デザイナーは「今回だけ、お願い」と頼まれ、じゃ今回だけ、とロゴの色を変えました。キヤノンさんに比べたら見えないくらい小さい会社のロゴなので、多分誰も気にしないので、それはそれで良いのですが。デザインがブルーグレーで統一されていて、ロゴもその色に合わせたんです。仕上がりは綺麗で、良いんです。
キヤノンに話を戻します。カメラはニコン、プリンターはエプソン、競合と戦うキヤノン。ご存じの方も多いかもしれませんが、カメラの技術が医療にも生かされています。撮影技術が発展することで、痛い思いをしなくても身体の中を撮影する技術にキヤノンは貢献しています。
そこで、個人的に。本当に個人的に思うのは、医療用のキヤノンのロゴが青や青緑だったら良いな、と。写真を撮るというのは、とてもポジティブな人生の活動を支える一方で、医療用の撮影というのはもう少し人間のベースの部分を支える技術で、楽しさよりはアカデミックさのイメージがあります。
ハワイのスバル望遠鏡のレンズ技術で医療にも貢献する、そんなキヤノンはどこか「楽しく年賀状を作りましょー」みたいなイメージではなく、真面目で控え目な、でも大切な技術者ってイメージなので、私は勝手に青や青緑のロゴでも良いな、なんて思ったことがあります。食やエンタメといったものは暖色系ロゴで、技術や信頼は寒色系ロゴが合うと思うので。
でも、ロゴって多少目的があっても、そんなに簡単に色を変えられないんです。そこには、企業の信頼と実績が詰まっているシンボルだし、それを見て人が何かを想起させるイメージを束ねる役目も担っているから。だって、銀行のATMで赤いロゴのみずほ銀行があったら、お金下ろせなそうですもんね。残高変わってそうで怖い。
なので、ロゴの色は変えちゃいけないな、と思う訳です。
議論の続き。
「無彩色なら良いよ」ってデザイナーに言うと、「なんでブルーグレーはダメで、グレーなら良いの?」と反論。ロゴは金属やアクリル、色を乗せられない素材で表現することもあるから、そういう時は無彩色なら良いの。有彩色には表現が乗るけど、無彩色は表現が乗りづらく、媒体によってそういう利用方法もあるから。
わかったような、わからないような会話で、とりあえずロゴの色は変えちゃいましたけど…、やっぱり駄目なんだよな。簡単に変えちゃ。
でも、コンセプトとして、ロゴの色には意味は無くて、場面場面で変えるって表現にすると決めるのはありなのかもしれません。ロゴはシンボルの形に意味があって、色はその場面場面で変わるというコンセプトはあっても良いと思います。ロゴをロゴタイプの造形、色、シンボルの造形、それぞれに意味を分けて狙いがあるのなら、良いと思います。
観光やエンターテインメント、私たちは「場」を優先して、その場に合わせて、色も変わるんです。季節を大事にするビジネスだったら、春はピンク、夏は緑、秋はオレンジに色を変えても面白いと思います。むしろ、そんな表現の方が組織の柔軟性や自然を愛する感じが伝わるかもしれません。
今日は一度見たら風景になっているような、ロゴの色を掘り返して、組織のイメージを見つめ直す日でした。
まぁ綺麗ですよ、ブルーグレーは。(まだ、言ってる)
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