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話したあとに「楽しかった」と言ってもらえたこと。

私は会話が苦手だ。

「人見知りだ」と伝えても信じてもらえないことが多々あるが、
少なくとも自分では苦手だと思っている。
面白おかしく場を盛り上げることもなければ、気の利いたことが言えるわけでもない。
「今日何してた?」や「休日やることは?」なんて当たり障りのないボールを投げたあと、戻ってきたボールに対する返事を持っていない。
一通り無難な質問をし終えた頃に待っているのは、沈黙だ。

場をもたせることすらできず、どうにかしたいと思い立ち、コミュニケーションとは何たるか調べてみたところ、「相手に興味を持つ」ということが一番重要とのことだった。
残念なことに、私は他人に興味がない。だが、今の私はコミュニケーション力を上げたいのだ。「興味がない」と断じて、その先の道を閉ざしてしまえば私のコミュニケーション力は頭打ちだ。
まずは「相手に興味を持とう」と考えずに、私が日頃使っている会話のデッキから、相手が返してきた言葉に疑問を持つことにした。
普通に考えてみれば、これが「相手に興味を持つ」ということなのかもしれないが…。自分の中で、気になるなあと思ったら、それについて深く掘り下げてみる。
趣味や特技のような、相手が話しやすいトピックがいいだろう。
「休みの日は何してる?」と聞いたら返って来る答えは、大体趣味や特技にまつわることが多かったりするから、無難な雑談をするときはよく使う。

そうしているうちに、その人の人となりが段々と見えてきて、聞きたいことがどんどん増えてくる。「会話をする」というと、少しハードルが高く感じてしまうのだが、連想ゲームをしていると考えると良いかもしれない。
私はなんでも「ゲーム」に見立てて考えるクセがあるし、大のゲーム好きであるので、この方法がしっくりきた。

そうして相手の話を聞き、相槌を打っているだけだが、「楽しかった」と言ってもらえることが増えた。

一ヶ月前の自分は、会話が続かずに人と一緒にいるのが苦痛だったのに。
苦痛に感じていることが相手にも伝わっていたせいで、余計に盛り上がらなかったのだと思う。

「楽しかった」と言われたことがうれしくて、寝る前によく思い出したりしていた。会話が苦手で怖かった自分にとっては大躍進なのだ。
自分と話すことで楽しい気持ちを生むことができるなんて、思わなかった。

よくよく考えれば、相手は気分をよくしてもらうために私と会話をしているわけじゃないのだ。無意識に「楽しい話をしなければ」と思いはするものの、楽しい話なんて人それぞれだし、わからない。
そんなわからないことをずっと頭の中で考えた結果、沈黙。
これがコミュニケーションがうまくいかなかった原因だろう。

実際には、自分だってそうだが、相手に楽しませてもらおうなんて考えることがない。ただ話したいから、そうするだけなのだ。
もちろん、故意に相手を傷つけるようなことは言ってはいけない。
話したいだけ話していたら、何気ない言葉が相手を傷つけてしまうこともある。が、それは厳密には自分の責任ではない。
失敗したらあやまればいい。相手の気持ちは、相手の責任なのだ。
コミュニケーションにおいては、とにかく「自分」と「他人」を、しっかり区別する必要がある。そして、対等であることを意識していく。
立場はどうあれ、同じ人間であり、みんなが大切な存在であること。
そして、どんな状況だとしても、楽しむことを考えること。
それを意識できていれば、コミュニケーションはあんまり怖くないのかもしれないと思った。

会話がうまく出来ず、自分の意見も言えず、勝手に不機嫌になっていたときは、すべてが嫌で楽しくなくて苦痛だった。
方法を学び、楽しみ、実践することで、自分の気分も良くなった。
気分が良くなることで、相手の気分も心なしかよくなったように感じる。

楽しい気持ちは、伝染していくものなのだろう。
苦手だと引っ込み思案にならず、これからも挑戦していこうと思った。

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