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1984年は、何者かが仕掛けた1985年で上書きされていた
ヘッダー画像はUSA for Africa in a 1985 promotional photo. public domain.
タイトルの「1984年」とは、ジョージ・オーウェルの小説を意味する。政府が国民を完全に監視し統制する、有名な近未来小説であり、今はネットでその全文を読む事ができる。
第1章
四月の晴れた寒い日で、時計がどれも13時を打っていた。ウィンストン・スミスは、嫌な風を逃れようとしてあごを胸に埋めたまま、勝利マンションのガラス戸を急いですべりぬけたが、ほこりっぽいつむじ風がいっしょに入ってくるのを防げるほどは素早くなかった。
廊下は茹でキャベツと古いぼろマットのようなにおいがした。片方のつきあたりに画鋲で張られたカラーポスターは、屋内用には大きすぎた。描かれているのは、幅一メートル以上ある巨大な顔だけ。四十五歳くらいの男の顔で、濃く黒い口ひげと、頑強そうでハンサムな顔立ちだ。ウィンストンは階段に向かった。エレベータを使おうとしても無駄だ。調子がいいときでも滅多に動かなかったし、今は昼間には電気が切られていた。憎悪週間に向けた準備のために経済キャンペーンの一環だ。アパートは七階にあったので、三十九歳で右のかかとの上に静脈瘤の潰瘍があるウィンストンは、ゆっくりと階段をのぼり、途中で何度か休憩した。エレベーターシャフトの向かいにある踊り場ごとに、あの巨大な顔のポスターが壁から見つめていた。実に作り物めいていて、こちらが動くとその視線が追いかけてくるような気がする類の絵だ。「ビッグ・ブラザーは見ている」とポスター下の標語に書かれている。
1950年代に勃発した第三次世界大戦の核戦争を経て、1984年現在、世界はオセアニア、ユーラシア、イースタシアの三つの超大国によって分割統治されている。さらに、間にある紛争地域をめぐって絶えず戦争が繰り返されている。本作の舞台となるオセアニアでは、思想・言語・結婚などあらゆる市民生活に統制が加えられ、物資は欠乏し、市民は常に「テレスクリーン」と呼ばれる双方向テレビジョン、さらには町なかに仕掛けられたマイクによって屋内・屋外を問わず、ほぼすべての行動が当局によって監視されている。
よって「1984年」とは、元々はそのタイトルの小説の意味であったが、そこから転じて、政府による国民の完全な監視と、個人の言論や行動の自由を無くした完全な統制社会を意味するようになった。
また、この小説での有名な言葉が「ビッグブラザー」である。ビッグブラザーとは、権力を象徴する架空の人物のこと。Wikipedia
1984とは要するに、以下のようなイメージである。
第二次世界大戦以降の世界において、社会が便利になるにつれて、
個人の自由と権利が拡大するかと思いきや、そうはならなかった。
様々な高度技術を駆使した機械は、政府による国民の管理統制に
使われてゆき、そして国民は政府によって厳しく管理
されるようになっていった。政府による国民の監視は、
「ビッグブラザーがあなたを見守っている」
という優しい言葉で宣伝されるのが常であった。
現実世界においても、古くはスパイ映画でお馴染みのCIAやKGB,そして21世紀におけるファイブアイズやエシュロンシステムなど、様々な情報機関そして高度な情報システムが、国家により運営され国民の全てを監視すべく予算と人員が投入され続けている。
つまり、かつて小説の中の世界として描かれた「イメージとしての1984年」は、現実の世界でもそのように進行していたし、政府権力に近い立場で働く人々は、ジョージオーウェルの描いた小説の世界が、何十年か遅れたとしても徐々に現実になると感じていたのだろう。それはとても暗い未来の予感である。
しかし現実の地球時間における1985年に、何者かが「暗い未来の予感」を打ち破るべく、行動していたのだ。
何者かが行動していたが、それが未来を書き換える行動だと、私たちのような一般大衆が認識できるまでには、その後数十年間の空白の期間が必要だった。
様々な資料を集めて、1985年およびそれ以降に起きた出来事を比較検討すると、何らかの意図を持っていた人たちが存在して、そして過去のある時点で、未来を書き換えるべく行動を起こしていたことが、読み取れる。
しかしながらこのブログは主に空想科学小説であるから、政治やエンタテイメント分野の個別具体的な話題は避けて、必要最小限に留めたい。
1つだけ明白な事は、2025年2月にアメリカのトランプ政権が、外国の付加価値税(消費税および還付金制度)について、非関税障壁であり相互関税を検討するという報道があったように(それはつまり消費税の廃止へと向かう)、無意味または有害な税制を排除改革しようとする人々は確実に存在するということ。
そのような行動は急に始まった事ではなく、過去から一貫してそのように考えそのように行動してきた人達が存在していた、ということ。
1985年当時にトランプが暗い未来を書き換えようとしていたのかはわからないが、この記事のヘッダー画像にあるように、USA for Africa という1985年の音楽業界の特別なプロジェクトは、人々に明るい未来を予感させるように何者かが企画したのだろう。これだけでなく、大規模でかつ未来に影響を与えるような影響力のあるプロジェクトが他の分野にもあったことを、読者自身が時間の経過と共に徐々に発見していくはずだ。
尚、近年のネットの噂では、5G通信システムによる国民の管理統制に抵抗する者達は、自分たち自身を「ブレードランナー」と呼んでいるそうだが、その噂を確かめるのは読者に任せよう。
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