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あのころの私、CDだけが欲しかった。⑥
94年のツアー、大阪城ホール。高校生だった私は会場の様子を伺って想像していたことと大きく違っていたことに驚いた。
ペンパル募集の際、手紙はほとんど女性からだったので会場の男女比に呆気に取られたのだ。
(男性が多い、というかひとりで来てる女子なんて私だけでは?)
男性の2人組という客層がマジョリティーだったと思う。なんかポールとビリーのテクニックなんかについてああだこうだ語っている、楽器ガチ勢の人がちらほらといてビビりつつも席を探した。座ってステージを見上げた。
(近いな)
本当に近かった。
いざメンバーが現れても近過ぎてとても現実のことに思えなかった。
4人はどちゃくそカッコよかった。
現実に引き戻されたのは前の席の男性の背が高過ぎたこと。彼が動くたびにメンバーが見えなくなる。
くっそー!!!!
と、自分の身長とスニーカーを呪いたくなった。自分のカバンを踏み台にしてせめて少しでも視界を得ようとあがいた。
この時からライブは8センチ以上のヒールを履く、という教訓もできた。
知ってはいた。マキタの電気ドリルを使うということは。ライナーノーツか雑誌で読んでいたから。
でもPVを沢山観れる環境ではなかったから、一度もDaddy,Brother,Lover,Little Boyを演奏しているところを観たことがなかったので、この目で見れたことに感激した。
メンバーの名前をシャウトする男性の太い声に慣れたころ、ステージは終了した。
生きていて本当に良かったと思った。
2023年にMR.BIGはフェアウェルツアーをすると発表され、私はチケットを取った。暑い日だった、残念ながら大阪城ホールではなかったのだけど、物販の列にならんで、その景色が私が高校生のころとは様変わりしているのに気づいた。
同世代のカップルも多いし、私のような女性の単騎もまずまずいたし、何より羨ましかったのが親子で来ている人。父と息子でああだこうだ話ながら待っていた。
彼らのキャリアが本当に充実し、素晴らしいものだったということを物販の列に並んで実感した。
そして、今日、私は大阪城ホールに来た。なんと、フェアウェルの最後はやっぱり日本がいい!と2回目をしてくれることになったのだ!!
しかも会場は思い出の大阪城ホール。これもすかさずチケットを取った。
きっとセットリストは変えてくるはず!と思っていたら予想通り変えてきていた。フェアウェルのラストもラストでエリックの声が心配だったけどメンバーがフォローしているのがうかがえ、それも胸を熱くさせる。
アンコールのラストでまさかのあの歌を歌ってくれて、泣けた。
ビリーのスピーチに泣いた。
ありがとうMR.BIG!!あなたたちはいつも素敵だった。カッコよかった。
Just take my heart していくのはそっちじゃないか!!なんて、初めて聴いた曲のことを思い出してまた泣ける。
そんなことを帰りの電車で書いている。寒い夜だけど、胸は熱い。
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