「ダスカロスの教え」と「東洋医学」を融合させる試み(14)
足の少陽胆経
“胆” の機能
「肝」の計画を「胆」が実行……という関係性から、Noel は “胆汁” を「胆の決断」をすべての “臓腑”(エーテル・センター)に行き渡らせる エーテル と捉えてみました。
「肝」も「胆」も “キモ”と読みます。肝試し、肝がすわるなどのキモとは “胆力” のことで、「胆」のエネルギー源はいうまでもなく太陽神経叢です。しかし、単にエネルギーがあるだけでは決断はできません。「胆」は「肝」……すなわち 魂としての自己(シンボル・オブ・ライフのセンター8) の “振動数” を「血液」に転写し、すべての “臓腑”(エーテル・センター)に パーソナリティー 固有の “振動数” を行き渡らせる……というふうに考えています。
ダスカロスが肝臓を エレメンタル が入って来るところというのは、センター8の “個性”(パーソナリティー の振動数)が、それに共鳴するエレメンタルを引き寄せるからではないでしょうか?
“少陽胆経” の走行と特徴、デルマトーム
“陰”と “陽” の境界(体側)を走行する「少陽胆経」は、「胆の決断」をすべての “臓腑”(エーテル・センター)に行き渡らせるのに適した配置といえます。
また「少陽胆経」は 正経十二経脈 でもっとも頭部の経穴が多く、頭部の “渦” も「少陽三焦経」のソレ より大規模です。これはわたし達の “個性” である「胆の決断」が、主に “思考の個性”(ヘッド・センターの機能)として表現されるからではないでしょうか?
下図は頭蓋縫合に沿って「少陽胆経」の経穴を配置したものです(こちらのほうが感覚的に合います)。
頭蓋縫合については以下を参考にどうぞ♬
“少陽胆経” の経穴
【GB1 瞳子髎/皮枝は眼窩下神経=三叉神経の第二枝】
【GB2 聴会/皮枝は下顎神経=三叉神経の第三枝】
【GB3 上関/皮枝は下顎神経=三叉神経の第三枝】
【GB7 曲賓/皮枝は下顎神経=三叉神経の第三枝】
「上関」・「曲賓」は 蝶形骨(目系、ヘッド・センター)にアプローチできる経穴です。
蝶形骨上には「太陽」という 奇穴 もあります。「太陽」の名の由来は、すべての経穴が集まる場(吉田啓 著『経絡と解剖学』195ページ)なのだとか……ですが、ひじょうに繊細な部位ゆえ、指先でそっと触れる程度にしましょう。
【GB10 浮白/皮枝はC3】
【GB12 完骨/皮枝はC3】
【GB13 本神/皮枝は眼神経=三叉神経の第一枝】
【GB14 陽白/皮枝は眼神経=三叉神経の第一枝】
【GB15 頭臨泣/皮枝は眼神経=三叉神経の第一枝】
【GB19 脳空/皮枝はC2】
【GB20 風池/皮枝はC3】
【GB21 肩井/皮枝はC4】
「風池」は 環椎後頭関節 にアプローチできる経穴です。
環椎後頭関節は頭の重量を支える関節(首の回旋はひとつ下の 環軸関節 がメイン)で、靭帯と 後頭下筋群(についてはこちらで解説)が付着します。
姿勢の悪さや目の酷使などで負荷がかかりやすい部位です。「風池」・「翳風」(少陽三焦経)・「風府」(督脈)は脳の血流を促し、関節・筋肉・血管性の痛みなどの緩和に役立つ経穴です。
ちなみに、これらの経穴の名前にある “風” とは “風邪”(ふうじゃ)のことで、“風邪” にはウイルス感染や寒冷刺激だけでなくネガティブな エレメンタル も含まれると考えています。「風池」は、中医学の古典において「自らを殺したいと欲するを治す」(吉田啓 著「経絡と解剖学」198ページ)といわれる経穴です。こちらで書いた「身柱」(督脈)は他者への攻撃性 でしたが、「風池」は攻撃性が自己に向かいます。この違いは、エレメンタル の入口としてのヘッド・センターとハート・センターの性質の違いによるものではないでしょうか?
僧帽筋 上の「肩井」は、肩が凝ったときに自然と手がゆくところです。僧帽筋 と 胸鎖乳突筋 は 副神経(第Ⅺ脳神経)支配なので、ヘッド・センターとの結びつきが強い筋肉といえます。
【GB22 淵腋/皮枝はT4】
【GB23 輒筋/皮枝はT4】
【GB24 日月=胆の募穴/皮枝はT11】
【GB25 京門=腎の募穴/皮枝はT7】
【GB26 帯脈/皮枝はT10】
「日月」は「胆」、「京門」は「腎」の 募穴 で、双方とも実際の臓器の近くにあります。
「帯脈」は腹部を帯のように一周し、「章門」(厥陰肝経)・「帯脈」・「五枢」・「維道」に連絡する……という配置から、腹横筋(腹部のインナーマッスル、呼吸を補助し体幹部の強さをつくる筋肉) に関連付けられています。
「帯脈」は 太陽神経叢(エーテル・バイタリティー の貯蔵庫)の充実度を診るのに適した経穴で、ここが弱いひとはエネルギー不足です。そして、この「帯脈」と対を成すような経脈が「衝脈」(しょうみゃく)で、ほぼ「少陰腎経」の経穴によって構成されています。
「衝脈」は別名「血海」と呼ばれることから、「肝」・「胆」寄りの “気血”に関わる経脈と感じます。またハート・センターにもつながることから、「帯脈」・「衝脈」を意識すると太陽神経叢とハート・センターを同時に活性化できると思います。
【GB27 五枢/皮枝はL1】
【GB28 維道/皮枝はL1】
【GB29 居髎/皮枝はL1】
【GB30 環跳/皮枝はL2】
上記は上前腸骨棘(ASIS)と大転子を目当てに取穴します。
骨盤は、上前腸骨棘と恥骨結合が垂直線上に並んでいるのが理想的とされます。
腰神経(主にL4・L5)や仙骨神経(主にS1・S2)に問題があると、「五枢」・「維道」周辺に痛みが出ることがあります。
痛みは外傷や神経の圧迫によるものだけでなく、神経に 潜伏感染 する ヘルペスウイルス の増殖によるものもあります(皮膚病変を伴わないことも多いです)。ヘルペス性の痛みの場合、患部ではなくおおもとの 脊髄(太陽膀胱経 の経穴)にお灸をするのがおススメ……ですが、免疫の活性化によって一時的に痛みが増すこともあります。が、ステロイドや消炎鎮痛剤などの免疫抑制剤で症状だけ抑えても、その陰でウイルス感染は拡大します。症状が強くなってもあわてず騒がず、できる限りじぶんの免疫力で治すよう心がけてください。
人間の免疫は常に正しく働きます。正常な細胞を攻撃することはありません。外から入ってきた異物やウイルスに感染した細胞に対して反応しているだけで、免疫が正常な細胞を攻撃する 自己免疫疾患 というのはありえない……と 大阪高槻の某医師 の指導でアレルギーが完治して確信しました。
では、「居髎」に参りましょう~
これは 大腿筋膜張筋 とその下にある 中殿筋・小殿筋 の前部繊維など、股関節の内旋に働く筋肉群にアプローチできる経穴です。
股関節の内旋筋群と外旋筋群は股関節を正しい位置に収め、身体の要である「腰」を安定させます。
「環跳」は坐骨神経痛の特効穴で、梨状筋下孔(坐骨神経 と 下臀神経 が通過)と大殿筋下縁(坐骨神経が出て来るところ)にアプローチする際の目安になります(注:筋肉の大きさや神経の走行には個人差があります)。
「環跳」から「膝陽関」までは、大腿骨の後縁に沿って膝まで下降します。
【GB34 陽陵泉=胆経の合穴、八会穴の筋会、胆の下合穴/皮枝はL5】
【GB35 陽交=陽維脈の郄穴/皮枝はL5】
【GB36 外丘=胆経の郄穴/皮枝はL5】
【GB37 光明=胆経の絡穴/皮枝はL5】
【GB38 陽輔=胆経の経穴/皮枝はL5】
【GB39 懸鍾=八会穴の髄会/皮枝はL5】
腓骨に沿ったラインに痛みや皮膚病変があるときは、おおもとのL4・L5・S1・S2にお灸をすえてみてください。
「陽陵泉」は、総腓骨神経が腓骨頭の下で 浅腓骨神経 と 深腓骨神経 に分かれるところにあり 、胆経の 合穴・八会穴 の筋会・胆の 下合穴 という多彩な顔を持っています。
【GB40 丘墟=胆の原穴/皮枝はL5】
【GB41 足臨泣=胆経の兪穴、帯脈の総穴/皮枝はL5】
【GB42 地五会/皮枝はL5】
【GB43 侠渓=胆経の榮穴/皮枝はL5】
【GB44 足竅陰=胆経の井穴/皮枝はS1】
「足臨泣」は「帯脈」の 総穴 で、頭部の “気” を降ろすと同時に、下肢の “陰気” を太陽神経叢に持ち上げるのに使えます。八総穴の「足臨泣」と「外関」(陽維脈の総穴)をセットで使うと、全身の “気” の廻りを促進できます。ただし、もともと “陽気” の強いタイプの方には向きません。
【厥陰肝経への連絡】
「少陽胆経」の支脈が足背から分かれて母指に行き、足の厥陰肝経 に連なります。
足の厥陰肝経
“肝” の機能
「肝」は “魂” の波動を持つエーテル・センターで、「胆」の決断は「肝」の思慮・計謀のもとに下されます。そして「厥陰肝経」は、“血” に刻印されたパーソナリティーの波動を肉体面のカルマとして次の循環に引き継ぐ……というのが Noel の解釈です。
「魂」(こん)・「心神」・「肝」について、「東洋医学の教科書1」に興味深い記述がありました(注:「東洋医学」におけるの「魂」・「神」は、「ダスカロスの教え」でいうところの「魂」・「神」ではありません)。
肉体を維持するのにじゅうぶんな “気血”(エーテル・バイタリティー)を養い、「健康な肉体」と「明晰な意識」の双方を持って物質界および非物質界での活動を行えるようになりたいですよね! 実はそれが、このマガジンを書いた最大の理由といえます。
正経十二経脈 を廻る学びは 「シンボル・オブ・ライフ」の “聖霊の路”(ヤコブの梯子、センター10 ⇔ センター7)における学びであると同時に、“ヘラクレスの12労役”(センター10 ⇔ センター8)における 5番目の “エリュマントスの猪の生け捕り” と 8番目の “ディオメデスの人喰い馬の生け捕り” にも関係すると感じます。
“厥陰肝経” の走行と特徴、デルマトーム
「厥陰肝経」は太陽神経叢、ハート・センター、ヘッド・センターのすべてにコンタクトし、次の循環に引き継ぐべき “血”(カルマ)を吟味・選別している……と感じます。
“厥陰肝経” の経穴
【LR1 大敦=肝経の井穴/皮枝はS1】
【LR2 行間=肝経の榮穴/皮枝はS1】
【LR3 太衝=肝の原穴、肝経の兪穴/皮枝はS1】
【LR4 中封=肝経の経穴/皮枝はL2~L4】
「肝」の 原穴「太衝」は動脈拍動部にあり、大腿静脈 につながる 大伏在静脈 の出発点でもあります。
「太衝」へのお灸は下肢から心臓に戻る静脈の流れを促進し、下肢静脈瘤・冷え性・浮腫み・血圧の異常などの改善に効果を発揮します。
【LR5 蠡溝=肝経の絡穴/皮枝はL2~L4】
【LR6 中都=肝経の郄穴/皮枝はL2~L4】
【LR7 膝間/皮枝はL4】
【LR8 曲泉=肝経の合穴/皮枝はL4】
「蠡溝」・「中都」・「膝間」はスネ(脛骨前方の尖ったところ)内側の平たい部分にあり、皮下の大伏在静脈と伏在神経にアプローチできる経穴です。
「曲泉」は、鵞足(がそく)と呼ばれる 縫工筋・薄筋・半腱様筋 の停止部にあります。
これらの筋肉は外側にある 腸脛靭帯・大腿二頭筋・長腓骨筋 と協働して膝を運動方向に向かせるための微調整を行います。膝がつま先と同じ方向を向くことで、足関節・膝関節・股関節がスムーズに連動します。
膝関節 は曲げる・伸ばす以外の動きがほぼできない関節ゆえ、膝の向きがつま先とずれると関節や筋肉の負傷につながります。
【LR9 陰包/皮枝はL3~L4】
【LR10 足五里/皮枝はL3~L4】
【LR11 陰廉/皮枝はL2】
【LR12 急脈/皮枝はL2】
これらの経穴は 大腿静脈 および 大腿動脈 上に位置し、“血” との関係が深い「厥陰肝経」らしい走行路を示します。また 大腿神経・伏在神経 にも沿っていますので、内股から膝の内側にかけての痛みの改善に使えるポイントです。
【LR13 章門=脾の募穴、八会穴の臓会/皮枝はT10】
【LR14 期門=肝の募穴/皮枝はT6】
「章門」・「期門」は肝臓の上にあります。
肝臓は太陽神経叢のある下焦と、ハート・センターのある上焦の境界領域(中焦)にあります(注:エーテル・センターとしての「肝」は下焦と中焦にまたがっています)。
【太陰肺経への連絡】
「肝」から分かれて横隔膜を貫き、「肺」に注いだあと下行して中焦に至り、手の太陰肺経 に連なります。
中焦から始まった 正経十二経脈 の循環は中焦に終わり、新たな循環を始めるのです……というわけで、「東洋医学」に関する記事はひとまず終了!
書きたいことが出てきたら追加します。