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「静かにして」なんて言えない

私の席の後ろの班がうるさい。
授業中も、3人でヒソヒソ喋っている。
それだけならまだ可愛いものだが、内容のメインが人の噂話。それが耳に入ってくるので不快になる。
それが2週間も続いているのだ。そろそろ何か手を打たなくては。

掃除の時間、ほうきでちりを集めながら「『静かにして』と言ってみる?」と自問自答していた。


そうだな、言った方がいいだろうな。
このまま抱え込んで、自分だけイライラして過ごすのも嫌だし。
向こうが気づいていないなら、教えるべきだろう。

いや、待てよ。
「静かにして」なんて言ったら、もし自分が何らかの場面で無自覚にうるさくしていた時、申し訳ないな。
誰にでも気づかないことはあるか。
それを「自分はできている、君たちはできていない」と勝手に枠で縛るのは違う気がする。
正義感が人を傷つけることだってあるのだから。

・・・だとしても、伝えるべきか?
本当に相手のことを大切にしているのなら、相手が最良の道を歩けるように助言することは必要だ。
「授業中に喋る」ことは、明らかに迷惑をかけている。彼らが自分で自分の株を落としていることに気づいていないのなら、教えてあげるべきかも。
私のように困っている人が、他にもいる可能性があるから。

いや、待てよ。
そもそも、「授業中に喋る」ことって、悪いことなのか?
私は授業に集中したい。だから「無言でいる」ことが良いと思っている。
彼らには授業よりも大事なことがあるのかもしれない。
それを私が否定していいのか?
彼らのことを全て知っているわけではないのに、伝えていいのか?

だけど、ここで先生に頼るのは少し違う…
私は伝えるだけ、後は全て先生に任せることが正しいことだと思えない。
自分が困っているなら、自分の力で解決すべきか。

だけど、色々考えていたら、何が正解か分からなくなってきた。
―「静かにして」なんて、言えないな。


「注意する」ことが嫌いだし、苦手だ。
「注意」と聞くと、何となく上下関係が生まれている感じがする。
お互いに考えていることがある中、数文字で問題を片付けるのはなんか違うな…と感じるのだ。

その裏には、先生に対する反抗心もあるのかもしれない。
先生に注意された生徒は、ほとんどの場合何も反論できない。
例え濡れ衣だったとしても、他に主犯がいたとしても、全てその人が悪いみたいな言い方をされる。先生の感情をぶつけられて終わる。
その感じが嫌だ。
本来お互いは対等な関係で、一緒に問題を解決していくはずなのに。

だから、「注意」は苦手だ。

ただ、それで何も言えなかったら、問題は解決しない。
何か別の手段が必要だ。

私が一番理想とする「注意」は「やんわり気づかせる」こと。
相手の株を下げることなく、相手が自分から気づくように仕向けることができたら最高だ。
まぁ、そのための方法はまだ分かっていないが。

・・・モヤモヤ、今日は解決できなかった。何も行動できなかった。
ひとまず一歩踏み出したい。話はそこからだ。
明日、後ろの席の生徒に「何で授業中も喋ってるの?」と直球で聞いてみるか。
まずは相手を知ることから始めてみよう。

伝えることは大事なことだ。
私なりにしっくりくる「伝え方」を見つけていきたい。
そうすれば、人間関係はもっと素敵なものになるはず。


ここまで読んでいただきありがとうございました!


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