星善之

演劇人。福島県西会津町生まれ。シラー美学。遊戯自由。農業。 身体を通した地方と都市の比較を行っている。(標本室3期生) 第12回せんがわ劇場演劇コンクール演出家賞受賞。

星善之

演劇人。福島県西会津町生まれ。シラー美学。遊戯自由。農業。 身体を通した地方と都市の比較を行っている。(標本室3期生) 第12回せんがわ劇場演劇コンクール演出家賞受賞。

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  • ドイツ観劇記録

    ドイツの観劇記録です。 批評ではないので悪しからず。

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音楽演劇「冠婚葬祭」その後-婚にまつわる話-

出演をした音楽演劇「冠婚葬祭」が終わり、なんと10日ほど経った。 その間に自分は山梨に籠り、自分が住む部屋を整え、葡萄の収穫をし、次のプロジェクトに向けた助成金の申請などを行っていた。 振り返りなどを、自分が主催する公演以外で行ったことはほとんどないのだが、今回はちょっとやってみよう。 旅の終わり僕の役柄は旅人であった。 文字通り、僕は迷い込んでしまった。すみだパークシアター倉に迷い込んだ僕は、その現状に困惑をし、とにかく作品を楽しむことに集中した。ともに作品を見た観客仲

    • 音楽演劇「冠婚葬祭」観劇のススメ-自分だけの視点-

      劇場では何が起こってる? ワザオギ編ワザオギという言葉は始まりは海幸神話まで遡る。その後は、神々への祈りの演舞などをする人のことを指すのだとか。 今回、「冠婚葬祭」というタイトルに対して俳優をワザオギと称しているのはそういった観点も入っている。 さてワザオギメンバーは僕を含めて5人。個性がバチバチに集っている。 冠の構成を担当するのはちーちゃん。 とにかくキレキレ。キレのある踊り、キレのある反応速度、キレのあるフレーズ。 しなやかで一個一個の動きから目を離せない、静の躍

      • 音楽演劇「冠婚葬祭」観劇のススメ-音楽とあなたと-

        劇場では何が起こってる? バンド編バンドメンバーの紹介だ!! ボーカル、美結さん。 天を貫く歌声は、世界を包み込み、私たちを音楽の歌詞の世界へと導いてくれている。 優しさと時に力強さと。 最後の「ただあるだけ」で僕は美結さんの歌に呼応して動いています。ひかるがらすの、息遣いとワザオギの動きの連動など、見どころ、聞きどころがたくさん。 ギター、神保くん。 作・演出・楽曲制作・ギター。多数の役割を持つエリア51のど真ん中。音楽演劇の創始者。旅するたたき場でも共に活動をする。

        • 音楽演劇「冠婚葬祭」観劇のススメ-幕が上がる-

          劇場では何が起こってる? スタッフ編「音楽演劇」の劇場入り後、膨大なスタッフワークに開いた口が塞がらない。 音響はライブ演奏のための細かな調整を毎日行っている。加えて芝居に関わる音響演出の準備や調整、稽古の帯同をしてくれている。 照明はいつ休んでいるのか。ライブ照明の仕込みとシーンの組み立て、そして芝居部分の演劇的な照明の組み立て。こちらも当然稽古に付き合っていただいている。 制作。常に外部とのやり取りをしながらも、内部での諸作業を行う。予約の管理ももちろん。小劇場だと

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        • ドイツ観劇記録
          1本

        記事

          音楽演劇「冠婚葬祭」観劇のススメ-言葉の行方-

          言葉の行方は買い物をするとき、必ず挨拶とありがとうございますをいうようにしている。 挨拶を交わすこと、礼を言うことは礼儀よりも、人がお互いに危険じゃないよという意思の表明の一つであると考えている。 だが、悲しきかな。 コンビニで挨拶をしたり、言葉をかけることは、かなりの割合で危険視されてしまう。 相手の目に警戒の色がともる。 決して目を合わせない。 喋ると思考の邪魔をしないでくれ、私の領域に入らないでくれ、時間を奪わないでくれ、というメッセージが身体から伝わってくる。 帰国後

          音楽演劇「冠婚葬祭」観劇のススメ-言葉の行方-

          音楽演劇「冠婚葬祭」観劇のススメ-劇場は広場になりうるか-

          劇場は広場なのか?広場というのは西洋的な空間のあり方だろうかは、正確にはないのかもしれない。公園とも違う、行けば何かを買えたり、見れたり、はたまた休めたりするような場所。話し込むこともでき、想いに耽ることもできる。 劇場はその広場のような空間だと思っているが、それはあくまでも西洋的な定義付けだとも思う。だからなんとなくいろいろと諦めていた。 しかし、すみだパークシアター倉までの道のりはドイツで経験したそれに近い。 大横川親水公園を歩いていく。 公演を経て、劇場に行くという

          音楽演劇「冠婚葬祭」観劇のススメ-劇場は広場になりうるか-

          音楽演劇「冠婚葬祭」僕にとっての冠の話

          成人式成人式の挨拶を務めた。 生徒会長だったから。 毎年ほぼ同じような内容を喋るものと聞かされていたので、反抗するように自分の言葉で挨拶文を作った。 式が終わると二次会があったが、そこでお世話になった学年の先生たちとも再開し、言葉を交わした。 その中で、いちばんの恩師である先生に「演劇を続けていて、将来も演劇をやろうと考えています」と伝えたら「やめたほうがいい」と言われた。 その先生は僕が演劇をやるきっかけを作ってくれた人だったから、もしかすると喜んでくれるのでは?と期待し

          音楽演劇「冠婚葬祭」僕にとっての冠の話

          音楽演劇「冠婚葬祭」僕と祭・葬の話

          祭事との思い出町外れの一軒家に住んでいた僕にとって、祭りとは他人事だった。 学校の文化祭とかはもちろんやってきたが、町のお祭りとなると、お囃子に参加することも御輿に参加することもなかった。いつも来場者だった。 だからいつも遠くの存在に感じられた。 自分は型抜きをして、たまたま会った友達と喋って。けど、その友達は僕よりも仲の良い友達とどこかに行ってしまう。 僕は小さい頃から、とても仲が良い人がいなかったから、祭りに一緒に行く友だちなどはもちろんいなかった。親と行き、1人で自

          音楽演劇「冠婚葬祭」僕と祭・葬の話

          音楽演劇「冠婚葬祭」居心地の良さ

          稽古後の夜の電車 昨日はほしぷろの1月公演に向けた公開制作もあり、誕生日だったの荻野くんとのご飯会には行かず、いつもより早めに家に帰った。 帰りの電車は1箇所目の乗り換えまでは満員電車でいつものように虚な目をした人たちを眺める時間だった。 しかし、乗り換えをしたあとの電車の中は適度な隙間があり、気持ちも楽に乗っていられた。 そこでふと周りを見る。 人の顔や動向を見てみる。 満員電車のときと違い、人々の目や表情が虚ではない。何かから避けるようスマホを見ておらず、楽し

          音楽演劇「冠婚葬祭」居心地の良さ

          音楽演劇「冠婚葬祭」の稽古

          稽古は続くワザオギ 音楽演劇の稽古はとても不思議だ。 俳優(今回はわざおぎと呼ぶ)たちの曲ごとの稽古は、ダンスのそれのようであり、演劇のそれのようでもある。しかしそれらが入り混じる。 神保さんの印象的な演出の言葉があった。 「振り向くまではダンスで。振り向く時は芝居で。」 ダンスを習ったことがない身としては、なんとも不思議な演出の言葉だ。 ダンスのように、や、芝居のように、ならまだ使ったことがあるかもしれない。 しかし、そこは神保さん。踊りにも演劇にも音楽にも精通し

          音楽演劇「冠婚葬祭」の稽古

          稽古場までの時間

          あっという間に稽古は2週間が経った。 先日初めての通しを終えた。 スタッフの皆さんにも見てもらい、終わった後は出演陣らといろいろと喋って、帰路についた。 帰路。 稽古場から滞在させてもらっている家まではおよそ2時間の道のりだ。 往復4時間という時間。 ちょっと前までいた国でいえば住んでいた街からロバート・ウィルソンやクリスチャン・フリーデルを観に行っていた劇場がある街までかかる時間と同じぐらいだ。 まあその国とは違い、電車は時間通りに来る。急に電車が運行しなくなるみたいなこ

          稽古場までの時間

          ドイツ観劇記 vol.2 WUNDERLAND ist überall

          この作品を見たのは2023年9月のことでした。 おそらく初めてのPumpenhausでの観劇だったと記憶。 Information Title | WUNDERLAND ist überall Datum | 21.09.2023 Texte von | Ivo Briedis, Kaśka Bryla, Ceren Ercan, Lothar Kittstein (Live-Writing), Anthony Kibsa Ouédraogo und Lewis Carr

          ドイツ観劇記 vol.2 WUNDERLAND ist überall

          Tagebuch 9 in Münster

          パフォーマンスが始まった12月。 いろいろありました。 ちょっとでもドイツ生活をのぞいてもらえたらうれしいです。 そういうわけで、どうぞ。 ドイツで初めてのパフォーマンス12月編突然ですが、ドイツに来て、家をどうやって見つけるか、皆様ご存知でしょうか? ドイツはどこもかしこも家足りない問題が発生しています。 学生ならば学生寮が!とお思いでしょうが、学生寮に入れるかどうかも、わりと運次第。どうやらフランスも似たような現象が起こっているそうです。 そういう私も、ドイツに行く前は

          Tagebuch 9 in Münster

          ドイツ観劇記vol.1 Dorian

          こちらでドイツの鑑賞記録をまとめていきます。 ジャンルを縛らずパフォーマンス・音楽・演劇・オペラなど舞台表現の全てを書いていきます。 記憶をたどりながら。 DorianDatum a:2023年10月15日(日) Datum b:2024年11月9日(水) Wo: Düsseldorfer Schauspielhaus Regie: Robert Wilson Mit: Christian Friedel  シアターオリンピック以来、衝撃を受け続けいたRobert

          ドイツ観劇記vol.1 Dorian

          Tagebuch in Münster 8

          Guten Morgen Ich will mich von meinen Erinnerungen an Paris erzählen! 12月、パリへと行ってきました。 ルーブル博物館、中世美術館、そしてオペラ・バスティーユ(見たのはオペラじゃなく、ダンス)に行ってきました。 なかなかに盛りだくさんでしたが、どれもこれも刺激的な体験でしたので、みなさんにお伝えします。 (世の中には、同じような体験をしている人がたくさんいるので、あくまで一つの例としてこれをご覧くださ

          Tagebuch in Münster 8

          Tagebuch in Münster 7

          2ヶ月ぶりとなってしまった更新です。 もう公演の記録などは別に上げることにする、としましょう。 というわけで、ここ2ヶ月の出来事をダイジェストでお届けします! 語学学校スタート10月23日から語学学校が始まりました。 3ヶ月だけという短期コースではありますが、また一からドイツ語を学んでいます。 論文やドイツ語台本をせっせと読んでいたあの頃の自分は、もういません。文法はおおかたわかっているけれども 読めない! 話せない! 聞けない! のコミュニケーションゼロ男が誕生し

          Tagebuch in Münster 7