ナツノカナタ
早期アクセスから気にしていたゲームが8月18日にフルリリースされました!
いわゆる少女週末旅行的作品です。
早期アクセスでは前半がプレイ出来たらしいんだけど、ぜっっっっっっったいにエンディングまで鮮度を保った状態でプレイしたいからフルリリースを待ってた…本日無事完走したよやった~~!!
ナツノちゃんがいる世界観だけ見ると一見バイオハザード。
主人公が見つけた古いパソコン(亡くなった祖母の私物)の電源をつけてみると、ネットワークに繋がっているはずもないのに全く見知らぬ土地の見知らぬ夏が映し出され、知らない女の子と声が通じ合う。
話してみるとどうやらパンデミックで世界が崩壊していて、両親や友だちとも逸れ、ただあてもなく北を目指しているのだとか。
主人公はパソコンを通して彼女と同行することになる。
この感染者の描写が一言で言ってしまうとゾンビなんだけど、作品全体を包み込む寂寥感が過剰な恐怖心を煽ってくることもなくただ淡々と物事を受け止められる。パンデミック、おかしくなった人々、崩壊した都市、明らかに様子がおかしすぎる謎、そういうものがてんこもりだけど、てんこもりでありながら作品の本質がそこにはないことが全体から感じる空気で明らか。
探索も一緒にするモードとストーリーだけ読んでいくモードがある。
わたしは探索も一緒にしたけど、ストーリーだけなら多分3時間くらいかな。
探索は割と大味でシビアさはなく、序盤は楽しかったけど中盤以降作業かも。でもその分ナツノと長く一緒に過ごしていた気持ちになるし、何よりそれを経ていないと刺さらない部分もあるので一長一短。
以下ネタバレ含むよ!
ナツノを始めとして数人の女の子が登場して、それぞれにサブエピソードもある。
明確な【謎】もあるし、驚きの展開も待っているけれど、世界の全容は中盤あたりでもう明かされるからびっくりが連発するシナリオや伏線回収が気持ち良いゲームを期待して遊ぶと肩透かしは食らうかも。
この作品に関しては、基軸となるストーリーの種明かしを楽しむというよりもその過程で抱く少女たちの「思考」と「会話」を楽しむものだと思う。
キャラクターは全編を通してみんな比較的淡々としており(これは元のテキストが持つ静謐さも一因としてあると思う)、取り乱しておかしな行動を起こしたり号泣選手権をキメることはない。そこは人によっては人間味が足りない、物足りないと感じる部分かもしれない。
割と早い段階で主人公や主人公の世界の立ち位置、ナツノの世界が一体どういったものなのか、そういうことが分かるため、その後はひとつの思想に到着するための通過点になってしまう部分は個人的にちょっと惜しいところかなと思った。
それでも全体を通して見るととても純度の高い透き通った作品として完成されていて、プレイを終えた今、少女たちのことが何だか懐かしいような恋しいような不思議な気持ちになっている。
"寂しさ"とは何なのか。
それを知るための時間をわたしは確かにナツノカナタを通して彼女たちと共に過ごしたのだ。
そして単純に、このレベルのADVが無料でリリースされたことに感動する…。今後も追加シナリオ等が予定されているみたいだから順次追っていきたいなあ。