カベチョロ(ヤモリ)が見せてくれたデジャヴ|『ミナ ペルホネン / 皆川明 つづく』
夜更けの網戸に張り付いたカベチョロ。
(カベチョロとは福岡近辺?のヤモリの別称。ニガテな方にはごめんください。滅多に姿を見せてくれないので、わたしは見かけたら無性にテンションがあがります)
はて、この感じ、この、網目の向こうの、、、どっかでな~…
あ! あのときの!
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ガーゼ生地に織り込まれたガラスのオブジェは、
ミナ ペルホネン / 皆川明 つづく @福岡市美術館 にて。
曲線状のブースに入るなり、そこは市美だけど市美じゃなくなった。(大聖堂みたいな高い天井、あれは夢だったんじゃないか…)
仕事量に、緻密さに、圧巻。作品にも展示の仕方にも、ヒントいっぱい。
身体の中は感嘆で充満してるのに、何の音も気配も出さずに、静かに観て回った。オート自制心の働き、よく考えたらすごいな。
きっと、あの人もこの人も…一様に静かに鑑賞している来場者の中では、どんな反響がこだましていたのだろうか。
いちばんグっときたのは最後の、海藻の森みたいな、『土 memory of clothes / 洋服と記憶』というブース。ミナの服の持ち主さんによる、服との、ご自身との、家族との記憶と思い出。ひとつひとつに胸を打たれるけど、とくに自分と似た境遇や経験を持つ人のエピソードにはグワァーッと感情が動く。ああいうのは止めようにも止まらない。マスクに表情を隠せて助かった。
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ミナ ペルホネン。
モノとしては小さな風呂敷を持ってる限りだけど。関わり方って、所有以外にもいろいろあるなぁ、と。
風呂敷のほかには…
東京でお勤めしていた00年代、青山スパイラルで見かけた(のであろう)フライヤー。
いろんな端切れの寄せ集めがキラキラして見えて、どなたの仕事だとか、その何たるかも知らず。子どもが石や貝殻や蝶々に手を伸ばすみたいにして拾って、持ち帰ったあとは何度も眺めて、保管して、ときどき取り出しては、眺めて。
その後、しばらくしてなにかの折に意を決してチラシを切り抜き、コラージュにしてカードつくったり、友達への手紙の封筒を彩ったり。
ミナのお仕事だと知ったのはかなりあとのことだった。(フリーペーパーに掲載の『粒子展』情報と表の生地画像がリンクしてなかった自分。。。)
おおきなおおきな輪の1箇所に触れて、ずーーっとあとに、また別の1箇所に触れて。年輪みたいに織り込んでゆく。
自分の輪と、接するお相手の輪と、ときどき交差する。それは星の運行を観察するのと似ている。
不思議な距離感で、なんてことない日を「今日はヨカッタ」という氣持ちにさせてくれるモノやコト。ミナ ペルホネンも、そのひとつ。
星の一葉 ⁂ ほしのひとは
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