見出し画像

【ライブレポート】2024/8/8『それいけ!ギフトメン』@渋谷 Spotify O-Crest

GIFTMENのライブに行ってきた。GIFTMENとは、Rhythmic Toy WorldとMAGIC OF LiFEが、「子供たち全員がおもちゃで遊べる世界を創ろう!」というコンセプトで立ち上げた『真夏のサンタクロース』プロジェクトのもと、結成されたバンドだ。

2024年、なんと9年ぶりとなる新曲をリリースした彼ら。MAGIC OF LiFEとRhythmic Toy World、そしてGIFTMENのスリーマンというかたちで栃木、愛知、大阪と回り、東京、渋谷Spotify O-Crestでツアーファイナルを迎えた。

曲単位での詳細は(一部を除いて)省き、全体の印象などでまとめて振り返ってみよう。


MAGIC OF LiFE

MAGIC OF LiFEのライブは、2018年に開催されたセプテンバーミーのツアー対バンで観て以来6年ぶり。

久々に観て、うん、こりゃカッコいいバンドだ!というのが率直な感想。高津戸信幸(Vo/Gt)の歌声がめちゃめちゃ美しくて色気もあった。勝手な印象として、以前よりもさらに魅力を増しているんじゃないか、と思うくらい引き込まれた。

MCでキャリア21年と語っていて、もうベテランバンドじゃないか…とビックリしたが、目の前の観客に向かって全力で歌い、演奏するまっすぐな姿がなんだか瑞々しくて、豊富な経験に胡坐かくことなくピュアにぶつかる彼らがカッコよかったのだ。

頼もしく感じる、どっしりとした岡田翔太朗(Dr)のドラミングに俄然、気持ちが燃え上がる。ちなみに、ニコニコと笑顔を浮かべながらのプレイに、こちらもつい笑顔になってしまった。

高津戸はMCで、こんなことを言っていた。ツアーやイベントに終わりがあるように、バンドにも必ず最後は来る。そんな中で、必死に書いてきた曲を、ライブハウスという場所で聴いて喜んでくれる観客の姿に、バンドを続けてきて良かった、こんな夜がずっと続けばいい、そう思っている。そして、そういう気持ちにしてくれたことへの感謝を述べると、この思いを曲にしたと告げて、翌日0時配信となる新曲「光の花束」を披露。

とても優しく、繊細な一曲。一瞬一瞬の輝きこそが命ともいえるライブ、その喜びを
《今を削った火の粉で》
《パッと咲いた》
《光の花が胸に》
《パッと笑って》
《パッと咲いた》
と表現する、美しい歌に酔いしれた。

ライブ後半では、いつも自分たちの背中を押してくれたリズミックについて、彼らが大きな挑戦(初の主催フェス開催)をするこの機会に、今までの借りを歌で返したいと言い、高津戸にとってリズミックで一番好きな曲だという「フレフレ」のカバーをワンコーラス、パフォーマンス。

歌詞を間違える場面もあり、本人もそれを申告していたが、そんなことは気にならないほどに、しっかり高津戸ボーカルとして映える「フレフレ」になっていた。リズミックの曲を他のアーティストがカバーする機会もなかなかないので、貴重かつ新鮮な体験。そしてあらためて「フレフレ」という楽曲の強さも感じる、そんな時間だった。

熱量もあってがむしゃらさも伝わってくるのに、どこか洗練されたスマートさも併せ持っていて、様々な角度から楽しむことができた気がする。ライブが終わってから、そこまで聴き込んではいなかった音源を、もっと味わってみたいと思わせてくれるステージだった。

セットリスト
01.スターチス
02.ジェットモンスター
03.Go out
04.光の花束(8/9配信の新曲)
05.青くて白い
06.フレフレ(ワンコーラス/Rhythmic Toy World)
07.弱虫な炎
08.夜空のBGM

Rhythmic Toy World

Rhythmic Toy Worldのライブを観るのは、昨年11月開催の『玩具大戦』振替公演以来だ。

とにかくこのツアーが楽しくて、終わってしまうのが寂しい、ファイナルの今夜は存分にぶちかましたい…そんなメンバーの気持ちがダダ漏れしているようなライブが繰り広げられた。

1曲目「インスタントラヴァー」からステージはもちろんフロアもフルスロットル。彼らがホームとしている渋谷CLUB CRAWLでこの曲を披露する際は、天井の照明がクルクル回転するというお馴染みの演出があり、ついつい癖(?)で今夜も天井を見上げてしまった。もちろんここはCRAWLではなくO-Crestなので回転照明はない。この曲をCRAWL以外で聴く機会があまりなかったせいもあって、なんとも不思議な感覚だ。

個人的にライブで久しく聴いていなかった(気がする)「かごめかごめ」もじっくりと堪能。

内田直孝(Vo/Gt)は「長くバンドを続けていても、仲間に出会えるとは限らない。俺たちの“楽しい”をみんなも楽しいと思ってくれて、素敵なツアーでした」とこのツアーを振り返りながら、「ひとつだけ危機感が」と付け加える。

何事かと思って次の言葉を待っていると「このままじゃMAGIC OF LiFEに曲取られそうなんで」と告げて、本家「フレフレ」を繰り出した。

フロア最後方から眺める、頭サビからフロア中の拳がまっすぐ上がる「フレフレ」でのこの光景は、いつだって壮観だ。タイトルともリンクする、力が湧いてくるこの景色からスタートし、一気に絶頂まで駆け抜けていく疾走感溢れるナンバー。

その後も「命の絵」「僕の声」、そしてライブでの盛り上がり必須な「とおりゃんせ」とアンセムが続き、ラストには全世代に送る青春真っ只中ソング「青と踊れ」で〆る。休む暇を与えない、鬼のような並び順だ。ワンマンと比べたら曲数は少ないものの、その分リズミックをギュッと濃縮したバラエティ豊かなセットリストをひたすら楽しんだ40分。

フロアにはものすごい熱気が充満していて、今、彼らは観客といい関係性のなかでライブができているんだなと感じた。

これでまだメインディッシュが控えている、という驚きの2番手。エモーショナルなMAGIC OF LiFE、パッションのRhythmic Toy Worldときて、いよいよ次はサマーパーティGIFTMENが始まる…!

セットリスト
01.インスタントラヴァー
02.かごめかごめ
03.ゴーストタウン
04.フレフレ
05.命の絵
06.僕の声
07.とおりゃんせ
08.青と踊れ

GIFTMEN

松平健「マツケンサンバII」を登場SEに、赤いアロハシャツ&サングラスを統一ユニフォームとしてステージに現れたメンバーは、そのまま曲に合わせてダンスを披露。スタートから前半の2バンドとはノリが違う。

オープニングの「Beer!!!!!!!!」では《乾杯》の歌詞に合わせてフロアからも手が上がり、ステージとフロアの呼吸もバッチリだ。めちゃくちゃ破壊力のあるご陽気ソングでありながら、なんだかパワーも貰える不思議な一曲。まさにパーティの幕開けにふさわしい。

ということで続く「PARTY」でさらに勢い爆上げ。こちらの曲、メロディ(特にサビまわり)はリズミック味が強い印象だ。

MCでうっちー…ではなくオクトパス(GIFTMENでのメンバー名)が「GIFTMENが渋谷に革命起こしに来たぜ!」と煽れば、すかさず高津戸…ではなくドラゴンが「“革命”はダサいからやめよ…」と諭す場面も。

さらにオクトパスが、今日フロアでライブを観ていたグッドモーニングアメリカ・たなしんに向かい「たなしんさんファイヤーやってくださいよ」と言い放てば「そんなに安いもんじゃないんだよ」と先輩への態度を説教するドラゴン。

暴走するオクトパスに、冷静に的確なツッコミを入れるドラゴン、という構図が見事にハマっており、このふたりのやり取りだけでもリズムというか、ある種のグルーヴが生まれていたような気がする。これ以降もたびたび発生した“トークセッション”、正直、笑いっぱなしだった。

たなしんは後輩からの挑発に応じ、ファイヤーやったら次の曲に行けよと命令するも、そういう流れじゃないんです、とあっさり拒否されてしまう。いじられキャラの面目躍如ともいえる名場面だ。(このあとしっかり「ファイヤー!」かまして会場大盛り上がりだった)

メンバー紹介タイムを経て、披露したのは「Blah Blah」。ものすごく乱暴に言ってしまえば、リップスライム×UNCHAINのような常夏感とファンキーさを兼ね備えた最高に楽しい曲。今後、GIFTMENがどんな活動をしていくのか未知数だが、ぜひとも各夏フェス会場で鳴り響かせてほしいと思わずはいられない。

HOTでCOOLなサマーチューンを終えた後でのオクトパスのMCでは、一転して少しセンチメンタルな気持ちにさせてくれた。

9年前のGIFTMENツアーで数公演、高津戸が喉の炎症のためMAGIC OF LiFEの出演がキャンセルになってしまったことに触れ、当時の想いや、GIFTMENを再始動させた今の高津戸の気持ちを代弁するような言葉を紡ぐ。

そして、9年ぶりにGIFTMENを始動するにあたり何より大事にしたのは、続けることなんだと語り、「また夏に集合しよう」と来年以降の活動を明示して「サマーエンディングストーリー」をパフォーマンス。哀愁あるアルペジオから、どこか切ないギターリフへと続き、パーティの終わりと夏の再会を誓う歌が響き渡る。

サファイアとエメラルドの両MCによる、野太く軽やかなラップパートもメリハリがあって聴き心地が良く、また曲全体のトーンとも相まってセンチメンタルな気分に浸らせてくれる。

本編最後の曲を前にドラゴンが「終わりたくねえ…!」と心の声を漏らしつつ、ラストに9年前の曲「Muzik!!!!!!!!」を演奏して本編は幕を閉じた。

アンコールでは会場から《我々の生が来たよ 我々の生が》の合唱が沸き起こる。これはメンバーにとってもめちゃくちゃ出やすいコールなのではなかろうか。収まりが良すぎるぞ。

持ち曲が6曲しかないGIFTMENゆえ、アンコールでは本編と被る曲を披露することになるわけだが、オクトパスの「ファイナルが東京だからこの曲を作った」という発言から、アンコールでの演奏曲が「トーキョーダークネスミッドナイト」であることが明らかに。

こうしてトータル7曲を披露して、『それいけ!ギフトメン』ツアーは無事、終幕を迎えた。

9年ぶりの復活、そして来年以降の活動継続も発表し、毎年の夏の風物詩的存在になる可能性を示したGIFTMEN。ツアーだけでなく、新曲やアルバムのリリース、あるいは先述したような夏フェス出演など、勝手に妄想を膨らませながら、(気が早いが)2025年夏を楽しみに待ちたいと思う。

セットリスト
01.Beer!!!!!!!!
02.PARTY
03.トーキョーダークネスミッドナイト
04.Blah Blah
05.サマーエンディングストーリー
06.Muzik!!!!!!!!
EN
07.トーキョーダークネスミッドナイト

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?