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小説『華霞』ー序章1 目覚めー

小説『華霞はなかすみは今日から序章です。2話目です。




《前回のお話と前置き》

前回のお話「開幕」はこちら(↓)から読むことができます。


開幕は抽象的表現が多くてわかりにくかったと思いますが、
序章からはストーリーに入っていきます。
できるだけ設定説明にならないように頑張ります!

今は冬ですが、夏のお話です。


それでは本編に入っていきます!
本編約1000字です。




小説『華霞』 ー序章1 目覚めー 星宮幽鬼



 陽光がまぶしく照り、花の周りをちょうがひらひらと舞っている。花畑を円形に囲む木々に留まったせみたちが忙しなく鳴いている。ただでさえ気温が高いというのに、さらに暑く感じさせる。

「ーーまだ夏休みじゃないよ」

 私が飛び起きるのと同時に、小鳥たちが木を飛び立っていく。
 速く打ちつける鼓動を胸に手を当てて押さえつつ、状況を確認する。
 森林の中にあるお気に入りの花畑に私はいた。
 学校に行く前に寄り道をしたら、あまりの心地よさに眠ってしまったようだ。
 腕時計を確認するが、始業時刻まで余裕がかなりある。

「寄り道しながら行こうかな」

 そばに置いてある学生鞄スクールバッグから水筒を取り出し、一口飲む。冷たい水で暑さが少し和らぐ。
 立ち上がり、服に付着した土や草を払い、学生鞄を持つ。
 森林の遊歩道を通っていく。木漏れ日が差し、水がせせらぎ爽やかな風が吹いている。
 遊歩道から少し離れたところに呆然と立つ二足歩行の何かがいた。木陰に隠れてそっと見る。熊ではなく人だった。

「そこで何をしているの?」

 恐る恐る声をかける。
 その人は振り返り、軽く手を振る。片手で持たれた黄色の紙が風でたなびく。
 笑みを浮かべて青年がゆっくりと向かってくる。

「この森、深く入ってはダメなんだよ」
「どうしてだい?」
「それは……」

 私も本当のことはよく知らない。周りの大人たちが言うには危険らしい。一度少し歩いてみたことはあるが、危険そうなものは熊が出没することくらいのものだ。遊歩道だって危険は同じだろう。
 青年は紙を指し示す。

「この場所を知らないか。森が描かれているから、この近くだと思うんだ」

 地図のようで細かく絵が描かれている。遠くてよく見えない。

「ちょっと地図を見せてもらえる?」

 緑の短髪の青年がギザギザの髪を揺らし走ってくる。地図を広げ、私は横からのぞく。

「これって本当にここの地図なの?」

 森のような絵が描かれているが、枯れ木に見える。建物や周りの地形はこの辺りに似ている。しかし、花畑はなく森は枯れている。地図は経年劣化で黄ばんでいる。

「ここではないのだろうか……」

 カーキ色のサファリハットと同系色のサファリジャケット、カーゴパンツに身を包んだ青年は地図を折りたたむ。

「他を探してみるよ。ありがとう」

 赤い瞳の青年は森林の奥へと進んでいってしまう。

「森の奥は危険なんだよ」

 一応注意するが、青年は手を振り足を止めることなく進んでいく。
 青年の安全を祈り森林を抜ける。
 道が二つに分かれている。直進すれば街へ、曲がれば砂浜へと出る。
 潮の香りに誘われ、砂浜へと下りる。




以上が小説『華霞はなかすみ「序章1 目覚め」です。
お楽しみいただけましたか。


解説はない方が良いかと思ったため、なしにします。
毎回、前回リンクと本編の間に軽く前回のあらすじを書きます。
根幹には触れません。


《次回予告》

「序章」 海(仮)

更新予定日:1月27日(月)


書いてみないとタイトルは決められないため、仮にしておきます。
更新予定日は予定日のため、予告なく変更する場合があります。
変更する際はできるだけお知らせするようにします。


次のお話「序章2 海の幻霧げんむ」へ



最後までお読みいただき、ありがとうございます。
星宮幽鬼でした♪

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