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小説『千花と黒い影』 第5話

オリジナルキャラクターストーリ小説『千花と黒い影』の無料公開、6回目です。今回は第5話を公開します。

本編の前にまだ前回までの話を読んでいない方向けにリンクと簡単な前回のまとめ(ネタバレあり)を書きます。

前回の話はもう知っているから本編を読みたいという方はお手数ですが、この下の目次から飛ばしてください。しっかりと読んでいただいているのに申し訳ないです。




前回のストーリー

前回のあらすじを見ずに自身で今までのストーリーを読みたい方のために、先にリンクを貼ります。
少し行を空けますが、下に行きすぎると見えてしまうためご注意ください。

※リンクは『千花と黒い影』のマガジンに飛ぶため、読みたいところを探してお読みください。




《前回(第4話)の内容》

ネズミとの距離感を掴んできた灰咲千花はいざき ちかは路地裏を舞台にネズミさんが勇敢に旅する空想を語る。ネズミが反応してくれるため、すごく気持ち良いと感じる千花。

短くまとめるとこんな感じです。
第4話が1番長いですが、1番楽しいところかなと思います。
第4話の本編もぜひ上のリンクから読んでみてください。



『千花と黒い影』第5話 星宮幽鬼

第5話「暗雲」


 昨日の出来事が嘘かのように、夜が明けても外は暗かった。輝いていた太陽は雲に囚われてしまい姿を見せない。楽しい雰囲気はなく、どんよりとしている。
 可もなく不可もなく平凡に学校を過ごし、放課後になり路地裏へと向かう。
 黒々とした雲が空を覆っていた。

「あれ、久しぶり?」

 路地裏には、ここへ案内してくれた黒猫がいた。
 黒猫はくわえている灰色のものを地面へと落とす。そして、一鳴きすると跳びはねてどこかへ行ってしまった。

「……う、そ」

 手に持っていたかばんがスルリと抜けて地面へと落ちる。足の力が抜け、膝から崩れ落ちる。
 黒猫は町の秘密を探るスパイではなく、魔女の使いーー悪魔だったのかもしれない。私は悪魔に魅せられていたのだろうか。
 冷たいものが頬を伝い、手に当たった。
 そして、地面に黒い点がついていく。辺りはみるみるうちに黒く染まっていく。視界もゆがんでいく。

「昨日は勇敢に立ち向かって勝ったのに……」

 かばんから傘を出さず、ネズミを抱えて走った。
 近くの公園に駆け込み、隅にある茂みの間の地面を手で掘り、抱えていた灰色のものを埋める。
 両手を合わせ、目を閉じた。
 ネズミと過ごした日々を思い出す。ほんの数日だったが、目を輝かせて話を聞いてくれた。久しぶりに夢中で空想を話すことができた。

「幸せな時間をありがとう」

 かばんからパンを取り出して、ひとかけらに千切り地面に置く。
 ゆっくりと立ち上がり、とぼとぼと出口に向かって歩く。公園を出る前に一度立ち止まって振り向き、公園を出た。



『千花と黒い影』第5話でした。お楽しみいただけましたか。
第5話は暗い感じで終わりましたが、まだ終わりではありません。次回が最終話エピローグとなります。

ルビの振り忘れ、誤字脱字等があったらすみません。

次回のエピローグは12月23日(月)に公開予定です。
お楽しみに♪


一応、カクヨムのリンクも貼っておきます。
先に続きを読みたい方はどうぞ。



最後までお読みいただき、ありがとうございます。
星宮幽鬼でした♪


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星宮幽鬼 -Hoshimiya Yuki-
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