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葉々讃頌

「結葉」という言葉を知る。
初夏あたりの繁る木々を指す季語。
むすびば。
なんとなく、聴きなれない響き。
それでも、言葉の意味と漢字、すべてが好ましい。
俳句には明るくないのだけれど、いつも通り過ぎる季節に、季語はときに新鮮な再発見をくれたりもする。

枝葉を伸ばし、互いを重ね合う葉。

実を結ぶ。
縁を結ぶ。
結んだ先には、新しいものが生まれることもある。
「結ぶ」という言葉には未来があるような気がして。

深々とした緑に包まれた世界。
そこから生まれるものは何だろうかと考えてみる。

たっぷりと夏の陽射しを受け取った葉は、木を育てる。
次の季節にはみずみずしい果実が実るかもしれない。
組まれるように繁る葉は、添う者に日傘を貸す。
小鳥に休み処を与え、陰に集う者たちを、暑さから庇ってくれる。
緑の休息を経て、彼らや私たちは、また動き出すことができる。

あとひと月もしないうちに、またあの険しい季節がやってきて。
きっと、結ばれた葉たちは、強くしなやかに風の温度を冷ましてくれる。
今はただ水を蓄え、陽に備えるとき。

いいぞ、もっと結べ。
青々と芽吹く緑に声をかける。

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