カラリと。
フライパンの中にわらじのような豚カツが浮かんでいる。
頃合いを見ては、ひっくり返す。
いつものコロッケやメンチカツなんかとは比べものにならない大きな泡がぶくぶくと立っている。
ゆっくりキツネ色になれば、もう片面。
それを何度か繰り返す。
揚げ疲れ、とでも言うのか。
山のように積まれた揚げ物を見ると、なんともいえない満腹感に包まれる。
揚げきったという達成感も手伝って、おそらく家族よりも三割ほど少量で満足できる。
皆、自分の取り分は自分で揚げてみるといい。
きっと、いくぶんお財布に優しい夕食になるはず。
あとひと切れ、その香ばしい匂いとカリカリに焦げた衣に誘われて、つい箸を伸ばす。
ふぅ。
見誤ったか。
身体の真ん中が満たされると引き換えに、頭の上から睡魔がやってくる。
もはや、明日の夕飯など考える余地はない。
ちょっとひとやすみ。
閉じては開いてゆく、小間切れの視界。
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