皮膚むしり症なるもの
※今作には一部グロテスクな表現を含むシーンがございます。苦手な方は読むのをお控えくださいます事をオススメいたします。
唇が荒れて「あぁビタミン取ってないかも…」なんて事が頭をよぎり、手が引っ掛かりへと伸びる。
ぺりっ…ぺりっ…
ゆっくりと慎重に、途中で切れないように。そんな事を思いながらそれを剥がす。
ぶわっと唇が赤く染まる。それでも尚、引っ掛かりへと手を伸ばしそれが無くなるまで止められない。
中学生の頃、下唇の皮を全て剥がした事がある。唇が血だらけになって口の端までぷっくり腫れ、親にも怒られたのを今でも覚えてる。
それでも新たな薄皮が生成されればまた気になって剥がすの繰り返し。
唇に変なアザや沈着が残ったりするのは嫌だった。美意識も普通の人よりある方で、頭ではいつだってダメだって分かっていた。だけど止められなかった。
加えて爪のささくれを取るのも好きで昔からやめられない癖だった。ひどい時はささくれを作るぐいに。
どちらとも千切ることは無く、ただひたすら皮膚が進む先で自然と切れるまで剥く。それがやめられないのだ。
大人になってそれらの癖は治まりつつあったのに、数日前から突然爆発したかのように再発した。
気づけば爪を見てささくれがないか、否、剥ける皮がないかをチェックしてしまう。
舌で唇をチェックして凸凹がないかチェックしてしまう。
ふと思い立って、私と同じような人はいないのかとパソコンのキーボードを叩けば『皮膚むしり症』なる言葉がヒットした。
説明を見て「あっ…」と声が漏れた。
星神侑兎
HSP気質な私に少しだけ救いの手を…。サーポートにより私に生きてる意味を頂けましたら幸いです。