先輩とナンパとホスト

僕にはかれこれ10年ほどの付き合いになる大好きな先輩がいる。

大学1年生の時に入ったアルバイト先の先輩で、歳は4つ上。

その先輩は有名大学の大学院に通っていて、学生時代には海外の学会で論文を発表したり、卒業後も誰もが知る大企業に入社するほど頭もよくて顔もイケてるのだが、たまによくわかんない行動をするのだ。

どんな人かというと

僕と先輩はバーでアルバイトをしていたのだが、二人とも23時であがりだったある日のこと。

「今から友達と飲みに行くんだよね~」

そう僕に告げると先輩は夜の街に消えていった。

その翌日、僕は17時から出勤するため店に向かっていたとき。

店の最寄り駅の出入り口でゲッソリした先輩に出くわしたのだ。

僕「お疲れ様です。どこか行くんですか?」

先輩「さっきまで飲んでて今から帰るところ」

かろうじて会話はできているものの、先輩の目は僕ではないどこか遠くに焦点が合っていた。

しかもよく聞けば、最初に一緒に飲んでいた人が途中でつぶれたらしく、その後別の人と飲みに行ったらしい。

友達が潰れたタイミングで帰りなさいよ。笑

とにかくお酒が大好きな先輩には、お酒にまつわるWTFな話がいくつかあるので、今日はそのうちの2つを紹介しようと思う。




これはナンパ?


先輩が就職したばかりのころの話。

配属が関東になり、都内のとある街で寮生活を送っていたときのこと。

休日に同じ寮に住む同期と最寄り駅の前にある店で飲むことになったらしい。

でも、ただ飲むだけではつまんないよなぁと思いながら寮から飲屋街までの間にある商店街を歩いていた時、ふと八百屋が目にとまった。

そこでなにを思ったか、一個数百円するちょっといい桃を店にあるだけ全部買い上げたのだ。

そして駅前の飲屋街に到着した大量の桃を抱えた二人の男。

買ったはいいけど当然食べきれる量ではないので、二人はその桃を無差別に配り始めた。

「桃どうぞ〜」

想像してほしい。

飲屋街でなんの意図もなく桃を配る男二人の姿を。

もはや怖い。

意図がないから余計に怖い。

しかし、意外にも受け取ってくれる人は結構いたそうで、小一時間ですべて配り終えたらしい。

満足した二人は近くの居酒屋で飲み始めることに。 

話はここからだ。

2時間ほどその店で過ごし、さてそろそろ店でも変えようかと飲屋街を歩き始めたとき、あることに気がつく。

桃を片手に歩いている人が何人かいたのだ。

しまいには「あっ、桃のお兄さんだ〜」と待ちゆく人に話しかけられる始末。

そんな話しかけてきた人たちの中の女子二人組とそのまま次の店に一緒に行くことになったらしい。

その夜、先輩たちがふたつの桃をいただいたことは言うまでもない。


こんなナンパの仕方があってたまるかよ。

未だに街なかで声かけてるやつはもう古いってこと?

時代は「桃で女子を釣る」フェーズに移行したらしい。




松屋とホスト

またまた休日に同じ寮の同期とふたりで駅前で飲んだあとに飲屋街を歩いていた時のこと。

前から歩いてきたホスト風の男(以下ホスト)がいきなり絡んできたらしい。

ホ「ちょっとちょっと、お兄さんたちめちゃくちゃカッコいいね」

ホ「いや、マジでカッコいいよ」

彼は明らかに酔っていた。

先「ありがとうございます〜」

そう受け流そうとしたがホストはさらに続けた。

ホ「一緒に飲みに行かない?」

先「いや、行かないです」

ホ「いいじゃん、行こうよ」

先「イヤです」

ホ「じゃあさ、そこの松屋行かね?俺めちゃくちゃ腹減ってるんだよね。奢るからさ」

先「んー、まぁ松屋くらいなら」

そうして先輩たちは半ば強引に松屋に連れて行かれたらしい。

ホ「好きもんなんでも食べていいよ」

そう言って券売機にお金を入れるホスト。

先「えー、じゃあカレギュウにしようかな」
(※カレーライスに牛丼の肉を乗せたメニュー)

ホ「いいね」

先「プラス180円かかっちゃうんですけど、味噌汁を豚汁に変更してもいいですか?」

ホ「いいよ!」

先「お新香もつけていいですか?」

ホ「いいよいいよ!俺も同じにするわ!」

同「俺も同じで」

カウンターに座り、食券を出す3人。

するとホストが
「俺、腹の調子が悪いからちょっとトイレ行ってくるね」

そう言い残してトイレに入っていった。

そこでカウンターに残された先輩たちはこんなことを企てた。

「これさ、今帰ったらおもしろくね」

そう思いつくや否や、ふたりは店を出てダッシュした。


やばすぎ。笑

食い逃げは聞いたことあるけど、食わず逃げは聞いたことない。

ホストもトイレから帰ってきて何が起こったのか理解できなかっただろう。

だって、わざわざ味噌汁を豚汁に変更して、さらにお新香付けたやつが食わずに逃げるなんて考えられないもん。

後日談だけど、この一件以降、駅前の飲屋街を歩くとき顔を伏せて歩くようになったらしい。笑

また出くわしたら何仕返しされるかわかんないからね。

一瞬の笑いのためにリスクおかしすぎです。




おわりに

みんなは真似しないでね。

おしまい

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