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では、オーバー40代の大人が英語圏で暮らすと英語はどうなるのか?
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↓以前書いたこちら。
↑この質問の次によく聞かれるのが、私の英語力について。
これもまた難しい質問なんですよね……。
私はオットやムスメみたいに「英検準一級(オット)/ 一級(ムスメ)です」と分かりやすい指標で答えられないので。
「5〜6年前にニュージーランドで受けたIELTSのGeneralがoverall 6.0でした。今はもう少しレベルアップしたかも」と答えても、あんまり通じないと思うんですよね……。
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landlord(家主さん)の話してたじゃん……。
(うちの家主さんは老紳士だった)
「海外に住んだら、誰でも英語が話せるようになるんですか?」というのもよく聞かれます。
この質問、どうやら「海外に住んだら(わざわざ勉強をしなくても)(自然に)(勝手に)英語が話せるようになるかどうか」を知りたいみたいなんですよね。
おそらく「◯◯するだけで痩せる」と謳っているダイエット法の効果を知りたい、そんな好奇心に近いものなんだと思います。
勝手に話せるようになると良いんですけどねえええ(涙)
「家族や日本人の友達と会話する以外、何をするにも英語なんで、必要に迫られて毎日トータル2時間以上自主学習して、なんとか英語力を伸ばしました。でも、ペラペラですと言うのはおこがましいです」
と答えると、みなさん、
「ですよねえ……」
まるで「ダイエットにはやはり地道な食事管理と運動ですよ。でも、痩せたからと言って、モデルさんみたいなスタイルにはなりませんね」と言われたような顔になられます。
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ムスメの学校関係の英語を調べるのは待ったなし。
あと水漏れとか故障。ニュージーランドではリーキングとプラマーはすぐに覚える単語です。
新築物件でも、リノベーションして3億で落札された家でも雨漏りするんですよ。
雨漏りis平等inニュージーランド。
英語の4技能のうち、伸ばしやすかったのはリーディングでした。
ニュージーランドに住み始めた頃はボキャブラリーが全然足りなくて、ムスメの学校から届くスクールレターにも四苦八苦するレベルだった私。
図書館で意気揚々と借りてきたアガサ・クリスティーも単語だけで撃沈したので、まずは「くまのパディントン」や「メアリーポピンズ」などの児童書から読むことにしました。
児童書が辞書なしでも読めるようになったら次はジュブナイル、その次は大人向けの優しい読み物…とステップアップするうちに、語彙もじわじわ増え、2年目にはたいていの本が読めるようになりました。学習の積み重ねって偉大です。
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それにしてもモートンの作品が翻訳されなくなったなあ。「The Clockmaker’s Daughter」の次の作品「Homecoming」も原書で読みました。
逆になかなか伸びなかったのがリスニングとスピーキング。(私の場合です。正直、今もまだ足りない……。)
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ここで登場するのがKiwi友人Mです。
Mは英語が専門。学位を複数持っています。
そんなMによると「発音できない音は聞き取れないのよ。だから、リスニングを伸ばすためにはスピーキングを伸ばす必要があるの」
……なんだそうで。
私なんて「聞き取れないと会話にならないからまずはリスニングよね。リスニングが伸びてからスピーキングを伸ばそう」と考えてましたからね。ダメじゃん。
Mからは「なめらかに喋るためには、linking(連結)やreduction(脱落)を理解する必要がある」というアドバイスも貰ったので、まずは↓こちらの動画シリーズで学習しました。
詳しく学びたい人はぜひ一連の動画をご覧ください。
とりあえず概要が知りたい方のために大雑把に説明すると「ネイティブ・スピーカーは日常会話の中で、私達が学校で習った発音通りの発音をしていないよ。でも、そこには、ちゃんとルールがあるよ」という動画です。
例えば、彼らはハンドバッグをハムバッグと発音しているらしい。ハム……バッグ?
これはhandbagのbの前のdが脱落→nがbの影響でmになる→hambagという変化なんですが、なんやそれ……って思いますよねえ。
でも、日本語も「こんにちは」を「こんちわー」と発音したり、書き言葉と話し言葉の違いはあるので、そんなもんか……と諦めて学習するのみです。
日本語の1匹2匹3匹4匹5匹6匹のヒキピキビキも大概ですしね……。
そういえばムスメも「『近』は『ちか』『きん』と読むのになんで近藤くんは『こん』なの!」とご立腹でした。日本語もほんっと難しいわ……。
結局、リスニングとスピーキングを伸ばそうとすると、英語の発音についてその仕組み(音声学というらしい)を学習するのが最短ルートなのかもしれません。
あ、でも、20代、30代の人は、40代に比べて耳の機能がまだまだ良いので、もっと楽に習得できるんじゃないかと思います。
特にモノマネが上手い人は、リスニングとスピーキングが得意で、うらやましかったです。
そういう人は、インドや他の国の人の英語の特徴も掴んで再現できるので、彼らの英語も聞き取れているんですよね。
これが重要なんですよ。
なぜなら英語人口15億人のうち、英語を母国語としていない人が75%ほど。
ニュージーランドでもカスタマーセンターや病院関係の予約の電話は、かなりの確率でインド系の人が担当。彼らの英語が聞き取れないと不便です。
あのクセの強い英語が通じるのに、私の英語がなかなか通じないのは何でなのー?
と、悩んだこともありました。
その理由は、私の英語にリズムとアクセントとイントネーションがなさすぎるから。要するにお経みたいってことですよ。
確かに、リズムとかアクセントとイントネーションを気をつけて喋るようにしたら、かなりマシになりました。(このへんも音声学の領域らしい)
他にもセンテンスの途中でブチブチと途切れると、全体の意味を把握しづらいらしい……。
しかし、長いセンテンスをひと息で喋り切るような肺活量は、私にはどうにもなりませんでした。筋トレ?英語を喋るために筋トレが必要?(涙)
そして。
このリズム感や肺活量の問題以外にも、40代以上には、もっと高いハードルが……。
それは記憶力。というか物忘れ。
アラフィフになると、日本語でさえ適切な言葉が咄嗟に出てこなくなるんですね(号泣)。
外国語なんてもっと出てきません。
先日も英会話の先生(70代のイギリス人)と映画の話になった時に、2人ともビル・マーレイの名前が出てこなくて四苦八苦しました。
でも長く生きてきたことで身についた図太さがあるので、
「ほら、『ゴーストバスターズ』に出てた」とか
「あーそうそう、ソフィア・コッポラの映画にも出てた」とか
「エディ・マーフィーに似た名前の……」などなど、会話を続けながら、必要な単語までたどりつくことができるんですよね。エディ・マーフィーとビル・マーレイ、言うほど名前似てないけど。
……とまあ、40代以上になると、英語圏に暮らしていても、英語の習得に(若い時よりも)身体的な大変さが増しますが、年齢と共に身につけた図太さ……いえ、コミュニケーション能力を駆使して英語力を伸ばすことは可能でした。
しかし、せっかく伸ばした英語力も、使わずにいると、ものすごい勢いで落ちます。
そんなわけで、引き続きコツコツと英語学習を続けたい所存です。