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では、オーバー40代の大人が英語圏で暮らすと英語はどうなるのか?


英語圏で生活していて実感したのはシェイクスピア(と聖書の中の有名なエピソード)は避けて通れないということ。 例えば日本でスーパーの揚げ物コーナーに「春は揚げ物」と書いてあったら清少納言の枕草子の中の「春はあけぼの」が元ネタだと分かったうえで笑う、そんな場面が英語圏にもあるんですよね、当たり前だけど。 言語を学ぶこととその背景にある文化を学ぶことはセットなんだなあと、しみじみ実感。

↓以前書いたこちら。

↑この質問の次によく聞かれるのが、私の英語力について。

これもまた難しい質問なんですよね……。

私はオットやムスメみたいに「英検準一級(オット)/ 一級(ムスメ)です」と分かりやすい指標で答えられないので。

「5〜6年前にニュージーランドで受けたIELTSのGeneralがoverall 6.0でした。今はもう少しレベルアップしたかも」と答えても、あんまり通じないと思うんですよね……。

IELTSとはInternational English Language Testing System の略。この試験、リスニング、リーディング、ライティングの試験を休憩なしで約3時間受けた後、スピーキングテストなんですよ。そりゃあ、ナーバスにもなる。


だって、みんな、直前まで
landlord(家主さん)の話してたじゃん……。
(うちの家主さんは老紳士だった)

「海外に住んだら、誰でも英語が話せるようになるんですか?」というのもよく聞かれます。

この質問、どうやら「海外に住んだら(わざわざ勉強をしなくても)(自然に)(勝手に)英語が話せるようになるかどうか」を知りたいみたいなんですよね。

おそらく「◯◯するだけで痩せる」と謳っているダイエット法の効果を知りたい、そんな好奇心に近いものなんだと思います。

勝手に話せるようになると良いんですけどねえええ(涙)

「家族や日本人の友達と会話する以外、何をするにも英語なんで、必要に迫られて毎日トータル2時間以上自主学習して、なんとか英語力を伸ばしました。でも、ペラペラですと言うのはおこがましいです」
と答えると、みなさん、

「ですよねえ……」

まるで「ダイエットにはやはり地道な食事管理と運動ですよ。でも、痩せたからと言って、モデルさんみたいなスタイルにはなりませんね」と言われたような顔になられます。

make sureが大活躍。
ムスメの学校関係の英語を調べるのは待ったなし。
あと水漏れとか故障。ニュージーランドではリーキングとプラマーはすぐに覚える単語です。
新築物件でも、リノベーションして3億で落札された家でも雨漏りするんですよ。
雨漏りis平等inニュージーランド。

英語の4技能のうち、伸ばしやすかったのはリーディングでした。

ニュージーランドに住み始めた頃はボキャブラリーが全然足りなくて、ムスメの学校から届くスクールレターにも四苦八苦するレベルだった私。

図書館で意気揚々と借りてきたアガサ・クリスティーも単語だけで撃沈したので、まずは「くまのパディントン」や「メアリーポピンズ」などの児童書から読むことにしました。

児童書が辞書なしでも読めるようになったら次はジュブナイル、その次は大人向けの優しい読み物…とステップアップするうちに、語彙もじわじわ増え、2年目にはたいていの本が読めるようになりました。学習の積み重ねって偉大です。

原文で読めるようになると、好きな海外ミステリーの日本語訳が出る前に読めるようになるという利点が!
それにしてもモートンの作品が翻訳されなくなったなあ。「The Clockmaker’s Daughter」の次の作品「Homecoming」も原書で読みました。

逆になかなか伸びなかったのがリスニングとスピーキング。(私の場合です。正直、今もまだ足りない……。)

電話での会話は詳細が危うい……。
ニュージーランドには予防接種専門のナースがいて、学校に来てくれたり、ドラッグストアでも(特定の)予防接種が受けられるのです。ビックリ。

ここで登場するのがKiwi友人Mです。

Mは英語が専門。学位を複数持っています。

そんなMによると「発音できない音は聞き取れないのよ。だから、リスニングを伸ばすためにはスピーキングを伸ばす必要があるの」
……なんだそうで。

私なんて「聞き取れないと会話にならないからまずはリスニングよね。リスニングが伸びてからスピーキングを伸ばそう」と考えてましたからね。ダメじゃん。

Mからは「なめらかに喋るためには、linking(連結)やreduction(脱落)を理解する必要がある」というアドバイスも貰ったので、まずは↓こちらの動画シリーズで学習しました。

詳しく学びたい人はぜひ一連の動画をご覧ください。

とりあえず概要が知りたい方のために大雑把に説明すると「ネイティブ・スピーカーは日常会話の中で、私達が学校で習った発音通りの発音をしていないよ。でも、そこには、ちゃんとルールがあるよ」という動画です。

例えば、彼らはハンドバッグをハムバッグと発音しているらしい。ハム……バッグ?

これはhandbagのbの前のdが脱落→nがbの影響でmになる→hambagという変化なんですが、なんやそれ……って思いますよねえ。

でも、日本語も「こんにちは」を「こんちわー」と発音したり、書き言葉と話し言葉の違いはあるので、そんなもんか……と諦めて学習するのみです。

日本語の1匹2匹3匹4匹5匹6匹のヒキピキビキも大概ですしね……。

そういえばムスメも「『近』は『ちか』『きん』と読むのになんで近藤くんは『こん』なの!」とご立腹でした。日本語もほんっと難しいわ……。

結局、リスニングとスピーキングを伸ばそうとすると、英語の発音についてその仕組み(音声学というらしい)を学習するのが最短ルートなのかもしれません。

あ、でも、20代、30代の人は、40代に比べて耳の機能がまだまだ良いので、もっと楽に習得できるんじゃないかと思います。

特にモノマネが上手い人は、リスニングとスピーキングが得意で、うらやましかったです。

そういう人は、インドや他の国の人の英語の特徴も掴んで再現できるので、彼らの英語も聞き取れているんですよね。

これが重要なんですよ。

なぜなら英語人口15億人のうち、英語を母国語としていない人が75%ほど。

ニュージーランドでもカスタマーセンターや病院関係の予約の電話は、かなりの確率でインド系の人が担当。彼らの英語が聞き取れないと不便です。

あのクセの強い英語が通じるのに、私の英語がなかなか通じないのは何でなのー?

と、悩んだこともありました。

その理由は、私の英語にリズムとアクセントとイントネーションがなさすぎるから。要するにお経みたいってことですよ。

確かに、リズムとかアクセントとイントネーションを気をつけて喋るようにしたら、かなりマシになりました。(このへんも音声学の領域らしい)

他にもセンテンスの途中でブチブチと途切れると、全体の意味を把握しづらいらしい……。

しかし、長いセンテンスをひと息で喋り切るような肺活量は、私にはどうにもなりませんでした。筋トレ?英語を喋るために筋トレが必要?(涙)

そして。
このリズム感や肺活量の問題以外にも、40代以上には、もっと高いハードルが……。

それは記憶力。というか物忘れ。

アラフィフになると、日本語でさえ適切な言葉が咄嗟に出てこなくなるんですね(号泣)。

外国語なんてもっと出てきません。

先日も英会話の先生(70代のイギリス人)と映画の話になった時に、2人ともビル・マーレイの名前が出てこなくて四苦八苦しました。

でも長く生きてきたことで身についた図太さがあるので、
「ほら、『ゴーストバスターズ』に出てた」とか
「あーそうそう、ソフィア・コッポラの映画にも出てた」とか
「エディ・マーフィーに似た名前の……」などなど、会話を続けながら、必要な単語までたどりつくことができるんですよね。エディ・マーフィーとビル・マーレイ、言うほど名前似てないけど。

……とまあ、40代以上になると、英語圏に暮らしていても、英語の習得に(若い時よりも)身体的な大変さが増しますが、年齢と共に身につけた図太さ……いえ、コミュニケーション能力を駆使して英語力を伸ばすことは可能でした。

しかし、せっかく伸ばした英語力も、使わずにいると、ものすごい勢いで落ちます。

そんなわけで、引き続きコツコツと英語学習を続けたい所存です。










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