ニワカこそ、スポーツバーで観戦すべし
切っ掛けはなんとなく
2019年2月1日。サッカーアジア杯の決勝戦が行われた。因みに私、ホシのサッカーの知識は「オフサイドは分かる」レベルだ。
日本の相手はカタール。…なんとなくイケそうじゃないか?という、とても軽い気持ちでアジア杯の決勝を考えていた(アジア杯がどんなものかも知らずに!)。
週末にかけて、関西方面で色んなイベントに参加する予定でいた私は、京都の友人宅に泊まろうとしていた。
しかし、友人宅にテレビがないことが判明。せっかく今まで、分からないながらもアジア杯を応援してきたのだ。決戦だけを観ないなんて嫌だ!よし、スポーツバーに行ってやろうではないか!!と意気込んだ。
すべてのHUBでスポーツが観戦できるわけではない
「友人の家から一番近いHUBに行ったら、サッカーくらい観られるだろう。決勝戦だし!」。そう考えていた私は愚か者だった。
京都でアジア杯決勝を観戦できるHUBは、2件しかなかった。キックオフは23:00からと遅く、2件とも家から遠かった為、安全面も配慮し(深夜の女性の一人歩きは避けたかった)、HUBでの観戦は断念。最寄り駅の近辺で観られそうなスポーツバーを必死に探した。
ヒットしたのはビストロ食堂masというお店。近くを通ったことはあったが、入店したことはなかった。
ドギマギしながら、お店へ予約の電話を入れる。
何故ドギマギしたか、それは私にサッカーの知識がないこと&サッカーはカースト上位者が楽しむスポーツというド偏見があったからだ。
大学でイケイケな生活を送っているのは、テニスサークルとフットボールサークルだと相場が決まっていた(ド偏見)。中高は美術部、大学は放送部だった私には、「イケイケな人たちが集まるところ」は、なかなかにハードルが高かったのだ。
ええい!乗り掛かった船だ!決勝戦で日本の活躍を観るんだ!と己を鼓舞し、ビストロ食堂masへ到着。
なんかそれっぽい(語彙力が皆無)!!!!
因みに、私が恐れていたイケイケな雰囲気ではなく、店内はお洒落な間接照明があり、落ち着いた様子だった。5~6人の団体客から、日本代表のユニフォームを身に纏ったお一人様まで、多種多様。変に絡んでくる人は誰一人おらず、皆、紳士的だった。
サッカー好きな皆さんへ。
偏見に塗れた生活を送っていて、
大変申し訳ありませんでした。
せっかくなので、日本代表戦の限定メニューを頼んでみた。
私はバーでサッカーを観戦するんだ…と気分が盛り上がってきたところで、試合はスタート。
マスターの素晴らしい解説
私のような初心者は、ついついボールを目で追ってしまう。しかし百戦錬磨のマスターは違う。画面に向かって、「今、右が空いている」、「ここは芝が濡れているから、パスが通りづらい」などのコメントを入れてくれるのだ。分かりやすい!!!解説者にヤジを飛ばすのは、関西という土地柄ながらであろうか…?
とにかく、知識に乏しい私にとっては、「そうやって観たらいいのか!!!」の連続だった。一人でテレビ画面に齧りついていても、決してこの観戦は出来なかっただろう。
一人でちんぷんかんぷんになっている人こそ、知識や経験が豊富な人が集う、スポーツバーで試合を楽しむべきなのだ。
叫べる!そしてハイタッチができる!
試合の流れは全員が知っていると思うので割愛する。
スポーツバーの醍醐味、それは「その場にいるお客さんと、感動を分かち合うことができる」ことだ。相手のゴールが決まれば皆で嘆き、日本のシュートが外れれば皆で悔しがる。
そして日本のゴールが決まった瞬間、誰の合図もなく、皆が立ち上がり、ハイタッチをした。それまでは各々の席で、好きなように観戦をしていたのに、日本のゴールでハイタッチが生まれるのだ!その場にいた全員を、私は誰一人として知らなかった。しかし、ゴールが決まった瞬間、その場にいた知らない人たちと、一つになることができたのだ。
これは、私にとって大変センセーショナルだった。スポーツを通して、「皆で盛り上がる楽しさ」を初めて経験できたのだ。
敗戦後のマスターの有り難いお言葉
ニワカなのにも関わらず、マスターが日本の敗戦の原因などを振り返ってくれた。
私の印象に残った言葉は、「森保ジャパンの初黒星が決勝戦ということは素晴らしい」というものだ。負けた日本を貶すわけでもなく、カタールにブーイングをするわけでもなく、森保監督を称えるマスター。スポーツマンシップの塊であるマスターに、私は尊敬の眼差しを向けることしか出来なかった。
マスターの話は続く。「俺はアジア杯が好きやねん。W杯は、まずはベスト16、目指せベスト8の世界やけど、アジア杯では優勝が見えるやろ?」。
な、なるほど~!考えたこともなかった。確かに、観ていて楽しいのは、W杯よりもアジア杯なのかもしれない…そう思わせる説得力が、マスターの言葉にはあった。
他にもたくさんタメになる話を聴いたはずなのだが、お酒の席ということもあり、うやむやになってしまっているのが勿体無い。ボイスレコーダーを持っていけば良かった!
いや、ボイスレコーダーに頼るのではなく、また機会があれば、マスターのアツいお話を、直接聴くのが一番刺激になるだろう。
スポーツバーが少し怖く、一歩踏み出せない人がいたら、安心して欲しい。スポーツバーに集う人は、スポーツマンシップを持った、紳士的な人ばかりだ。
今年はラグビーのW杯も日本で開催される。チケットは高いが、バーの料金ならハードルもグンと下がる。
私はラグビーに関してもニワカだが、日本でW杯が行われるのに、何もしないなんて勿体無いと思っている。
今後も気軽に、色んなスポーツバーへ飛び込みたい!そこにはきっと、素晴らしいご縁が待っているはずだ。
ビストロ食堂masのグル名刺
私はお笑い芸人・バッファロー吾郎を尊敬している。バッファロー吾郎A先生が出した本に『グル名刺』というものがある。
お店の名刺を集めたら、そのお店の特徴が分かるという理論だ。とてもハートフルな内容なので、色んな飲食店を探索することが好きな方は、是非。
もちろんビストロ食堂masが気に入った私は、名刺をゲット。
この時代にまだmixiをやっている、ビストロ食堂mas…!それだけれで、ますますこのお店のファンになってしまう。
ご縁があれば、またスポーツ観戦をしに行きたい。
ビストロ食堂masさん、素敵な一夜をありがとうございました!
【了】