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小説『天使の微笑み』最終話

第五話(最終話)「天使の微笑み」



ある日、公園で遊んでいた遊馬と幼馴染みの陽人。


「追いかけっこしようよ!」

「いいよ!」


二人は公園を行ったり来たりしながら

追いかけたり追いかけられたりを繰り返していた。


公園には芝生の生えた運動場の反対側に

ロープで出来た大きな東京タワーのような

遊具が立っていた。


遊馬は陽人から逃げるために

その遊具に向かって走って行った。


「陽人!ここまでおいでー!」


その遊馬の声を遮るように

美香子の大きな声が辺り一面に響いた。


「危ないー!!!」


「ガッシャーン!!!!」

「おかあさん!!」


大きな金属音と遊馬の叫び声が交差した。


いきなり歩道に飛び出した遊馬に

いち早く気付いた美香子が

遊馬をかばい事故に遭ったのだった。


加害者は自転車を運転しながら

スマホを操作していた高校生だった。


頭を強く撃ち、救急車で病院に運ばれた美香子。


検査を受け、点滴を打たれている所に

駆けつけた敬悟が到着する。


意識が中々戻らない美香子。


遊馬は泣きながら敬悟に呟く。


「ぼくのせいでママが死んじゃう。

ぼくのおかあさんはおかあさんだけなのに、、、

いなくなっちゃうの?こわいよ。

こわいよぉ。おとうさん。」


その言葉を聞いて涙を流す敬悟。

「おかあさんは死なないよ。遊馬とおとうさんを置いていなくなったりしない。おかあさんのこと好き?」

「…うん、だいすき。」

「おかあさんが起きたら一番に伝えような。」

「…うん、グスッ、うんっ。」


すると、ゆっくりと目を覚ます美香子。


目の前が霧のように靄がかかっている。


「美香子っ!」

「おかあさんっ!!」


右を向くと敬悟と遊馬が

身を乗り出して自分を見つめていた。


美香子が二人に微笑むと


「おかあさんっ、だいすきっ!!」


という遊馬の大きな声が

病室いっぱいに響いた。




第五話(最終話) 天使の微笑み...END

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