星日向★ほしひなた

立教大学で文学を専攻していました。 読書は元々苦手でしたが、 高校3年生の時の現代文…

星日向★ほしひなた

立教大学で文学を専攻していました。 読書は元々苦手でしたが、 高校3年生の時の現代文の授業で、 大学の過去問を解くなかで好きになりました。 小説やエッセイ、読書レビューなどを、 のんびりと書いていきますので、 皆さんどうぞよろしくお願いします。

最近の記事

小説『天使の微笑み』4

第四話「強い人でも」 遊馬が美香子の読み聞かせに 不満を持っていることを知った敬悟は、 遊馬を子供部屋に呼び、 優しく美香子との出会いを語り始めた。 「遊馬、遊馬はお父さんとお母さんが 知り合ったきっかけを知りたくないか?」 「え!しりたい!」 「遊馬が生まれる前、 お父さんは隣町に一人暮らしをしていたんだ。 毎日が仕事に追われていて 夕食の支度なんて二の次だった。 二の次ってわかるか?」 「しってるよ!あとまわしってことでしょ!」 「偉い!よく知

    • 小説『天使の微笑み』3

      第三話 息子のひとこと ある夏の暑い日、美香子と遊馬は、 祖母と、 夏季休暇を取っている 美香子の妹の麻里に会いに 美香子の実家を訪れていた。 美香子は久しぶりに 母と台所に立つことを楽しんでいた。 「美香ちゃん、トウモロコシを 皮をむいて三等分に切ってちょうだい。」 「はい、トウモロコシは おひげがいっぱいついています。きちんと取ります。」 「あら、いいのよ、適当で。 ひげの部分も栄養があるって前にテレビで見たのよ。 最近は、トウモロコシのひげ茶

      • 小説『天使の微笑み』2

        第二話 息子の葛藤 「遊馬くん、おかえりなさい。」 美香子は、今年小学校に入学した 一人息子の遊馬の帰りを玄関で迎えた。 「…ただいま。」 「どうしましたか。元気がないように見えます。」 「…。なんでもないよ!おかしいらないから!」 バタン。 今年から遊馬のために作った子ども部屋に入ったきり、 夕飯の時間までリビングに降りてこなかった息子を心配した美香子は、 帰宅した敬悟にそれとなく遊馬の話を聞いてあげて欲しいとお願いした。 幼稚園児の頃は、美香子の側を

        • 小説『天使の微笑み』1

          第一話 お惣菜が繋ぐ縁 「あの、これ、あの…いつもお肉だけじゃダメよ。って、先生に言われてきました。」 「…??え?先生?」 総合商社に勤める敬悟、32歳は、 いきなりいつものスーパーで見知らぬ女性に話しかけられ、困惑した。 しかし、危険は感じなかった。 それは彼女がこのスーパーの制服を着た社員らしいことが見て取れたからだ。 「…これ、俺に?」 敬悟は、見知らぬ女性に手渡された、海藻の乗ったサラダや色とりどりの煮物を持ち上げ聞いた。 「はい、毎日見ていました

        小説『天使の微笑み』4