回路OFF 回路ON/平沢進 についての個人的な解釈
はじめに
平沢進氏のソロアルバム「ホログラムを登る男」より「回路OFF 回路ON」という楽曲についての私の個人的な解釈を述べてみようかと思う。
しかし、平沢氏の楽曲はファンの間でもその解釈が分かれることがしばしばあるようで、また一回二回軽く聴いただけではその意味があまり飲み込めないことも多いという。
そんな中私が1つの楽曲の解釈を投稿することはある意味非常識なのかもしれない。また、平沢氏の意図した楽曲の意味とは異なってしまうかもしれない。だが、私の意見を他のリスナーに読んでもらい、是非意見交換をしたいと思い筆をとった。だから前提としてこの記事は完璧な解釈ではなく、あくまで一個人の意見として参照して頂ければ幸いである。
以下の文章は箇条書きで書かれている部分が私なりの語句の解釈、鉤括弧内が私なりの歌詞の解釈だ。
解釈
ジャンキー:麻薬中毒患者。転じて、何かに夢中になっている人。
ロープウェイ:主に険しい山岳部の移動手段。
シャンバラ:「時輪タントラ」における伝説上の仏教王国。「シャンバラの峠」は小説「失われた地平線」における理想郷(ユートピア)、「シャングリラ」のことだと考えられる。(シャングリラは小説の著者ジェームズ・ヒルトンがシャンバラをモデルにした「シャンの山の峠」を表す言葉だから。)
デリバティブ:原資産の価格を基準に価値が決まる金融商品の総称。コーヒーを原資産としたデリバティブにはコーヒーの引換券などが例として挙げられる。
「自分の目標を持ち、それに熱中し極めようとする人々は、中毒者などと蔑称を付けられ社会に否定されながら険しい道を進むことを余儀なくされている。また、彼らが抱く理想郷(到達目標や夢だろうか)にさえも価値を決め、市場で売買し利益を得ようとする者たちがいる。」
聴く:「聞く」より積極的な意志を含む。
耽美:倫理や道徳などよりも美しいことが上位にある、美が最上位であるという考え。
回路:社会の通説だから、と思考を放棄することなく、自らが主体的に自分の意思を決定するという、意志のことだと解釈した。意思決定回路。
「社会の現状は地球の未来に危機が訪れようとしている状態でさえも美しいなどと言い、破滅に向かって我々を導くかのようだ。あなたはこのような社会の異常に気づき、回路をOFFの状態からONの状態にすることができるだろうか。」
原理:他のものを規定するための、それ自身は他に依存しない根本的・根源的なものや法則
ファンド:資産運用のための金融商品やそのような商品を運用する会社
ヒューストン:アメリカの都市。NASAの有人宇宙飛行訓練、研究、及び飛行管制のためのセンターがある。
クロマキー:映像・画像の合成技術の1つ
「現代社会は資産の運用や資本活動などが前提としてあり、それらの活動によって生じる処理に困るゴミとして人間活動の根本(=ヒトが人たる所以?)が存在しているという位置関係である。莫大な資金投資と飛行士の犠牲のもとに撮られたアメリカの有人月面着陸の写真が人々にもたらした利益は合成写真のそれと等しいことがこれを裏付けている。」
※月面着陸自体成しえていなかった、という読み解き方もできるかもしれない。冷戦時代の宇宙開発競争には我々がネット上で検索しても知りえない真実があるが、NASAが発表した月面着陸の写真は合成写真だったという見解があるのは事実だ。
回路が開く:電流の回路はスイッチを開くと機能しなくなり、閉じると機能する。
生成消滅:ここに関して私は「対生成・対消滅」のことではないかと考えた。
対生成…真空の一点に光エネルギーを集中すると粒子と反粒子を生み出すことができること。
対消滅…粒子と反粒子を衝突させることでそれぞれが消滅し、真空状態を作ると同時にそこに高い光エネルギーを残すことができること。
万事:全ての事柄
ハイウェイ:幹線道路、ある地域において骨格的な道路網を形成する道路
「脳内で『一般的にすべきであるとされていること(それをしておけば安定が保証されるとされていること)』と『自らがしたいと思っていること(それはその先の安定が保証されていないとされていること)』の選択において悩み、不安になること(衝突)により、今もどこかで誰かが意思決定の回路が開いてしまっている(OFFになってしまっている、思考することが困難になってしまっている)。
しかし、回路をOFFからONの状態へ切り替えることにより、いかなる不可能性を提示されても、それは自分次第で、望む未来には到達できる可能性があるのだと希望を持てるようになるだろう。
あなたは今、光(エネルギー)の姿であり、それは『一般的にすべきであるとされていること』と『自らがしたいと思っていること』のどちらに進むか選択することができる。(2つの道を生成することができる。)この分岐に気づいたということは回路をONにできる可能性があるということだ。」
※以上がサビの部分の解釈だが最も賛否両論あるだろうと思う。皆さんの意見をお聞かせ願いたい。
リスキーなゲーム:具体的に何を指しているかはわからなかったが、ゲームという言葉から何者かが楽しんでいる(享楽にふけている)中でその他大勢が不安や恐怖にさらされているという意味合いだと解釈した。
バイト:非正規労働者であり、被雇用者。
「一部の人々が大勢を犠牲にするような享楽を謳歌しているため、その他の人々は不安や恐怖に怯えて過ごしている。そういった人々を救済するのは享楽にふけている人々に安価で雇われた不安な人々だ。」
おわりに
以上が私の解釈だ。
サビ前の部分は、歌詞の不穏さとは裏腹に曲調はテンポがよく現代社会の不健全極まりない実情を風刺しているかのようだ。ここでは歌詞と曲調の不一致により、リスナーに違和感やどこか心地の悪さを浮かび上がらせ、リスナー自らが今の現状に向き合い考えようとする機会を与えるのではないだろうか。
サビの部分では回路OFFの人が前途多難だと悩み、思考を放棄して誰かによって敷かれたレールに乗ろうとしていること、しかしその悩みや不安は信じ込まされたものであり、自分の回路を切り替えることで不可能性を払拭し希望を抱くことができることを述べているのではないだろうか。
…と捉えた。
アルバム「ホログラムを登る男」、インタラクティブ・ライブ「WORLD CELL 2015」、平沢氏のTwitterなどを参考に私の解釈を長々と述べてみたが、本人の意図した意味とは大きく異なる箇所が多くあるかと思う。
是非皆様の意見をお聞かせ願いたい。
ここまでお付き合いいただき、誠に感謝致します。
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