統合失調症で画力が大幅に落ちた話
統合失調症になると画力が大幅に落ちる事が多い。
私がまさにそれだ。
紙の上に走るペン先を追いかける。追いかけた果てにあったのは、不気味な笑みを浮かべる醜い怪物の姿だった。
寝ても起きても、頭から、あの醜い笑顔が離れない。
どこに行っても、醜い笑顔が追いかけてくる。
筋肉が溶け出し、混ざり合い、どの角度から見てもこちらを向いて醜い笑顔を浮かべてくる。昔理想のキャラクターだった彼女は、人を呪う邪神へと変貌したのだ。
その邪神に近付いた者は、醜い笑顔が頭から離れなくなり、画力を失うという呪いに蝕まれる。
私は、そんな絵しか描けなくなった。
主治医は、完全に画力が元に戻るケースは少ないので、地道にリハビリしていくしか無いですね、と言った。
私は無理にリハビリしなかった。大好きなアニメも見ずに、ただ眠る。やりたくない事はやらない。そんな怠惰な日々を過ごし、部屋には空のペットボトルが溜まっていった。
それでも、描きたい時に絵を描いた。絵を描く事で誰かに承認してもらう欲求を抑えられなくて、描き続けた。
だから何だ?て話だ。
私は、自分が元来絵描くのが好きな性質を持っているという才能を棚に上げて、自慢したかっただけではないか?
そんな行為を行おうとする、私自身が呪いそのものではないか。
呪いを振り撒くのが得意な者は、根っこから邪気が染み付いているのでどう取り繕ってもがんばって生きる人々を呪ってしまう。
つまり、私は、SNSはおろか、人と繋がるという行為自体が元来向いていないのだ。呪っては嫌われ、とぼとぼ部屋に籠る孤独な怪物。
だが、“人は誰しも人と繋がらないと良い作品を産み出せないのである。”
SNSで人を呪って後悔してを繰り返しながら、時には嫌われて悲しくなって活動をストップしながら、それでも、いつかは、楽しい気持ちが伝染する笑顔の絵を投稿し続ける善性の化け物になりたいものだ。
かわいい顔のキャラクターだけを描き続けたい。
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