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巨大地震への対策と対応 来たる日に備えて
2024/10/28発行 学祭号(1060号)
令和6年は、元旦に石川県能登半島地震が発生した。その後も日本各地でさまざまな規模の地震が多発し、不安を感じた人は多いだろう。平成23年3月の東日本大震災の発生以降、ずっとその危険性が囁かれてきたのが、首都直下地震である。東京都は、都内で最大規模の被害が想定される都心南部直下地震が発生すれば、震度6強以上の範囲は東京23区部の約6割に拡がり、建物被害は19万棟余り、死者は6千人を超えるという被害想定を出している。首都直下地震の発生により首都圏に在住する人々の生活が脅かされることは言うまでもなく、日頃から万一の事態に備えて、各々災害対策を心掛けるべきである。そこで本会は、法政大学市ヶ谷学生課総務部の小林光広氏に、市ヶ谷キャンパスで行っている災害対策や災害時にとるべき行動などを取材した。
首都圏で巨大地震が発生した際、大学構内ではどのような被害が想定される
「日本では地震の揺れの大きさを表す指標、いわゆる震度は10段階ありますが、大学の建物は耐震化されていているため、震度6強の揺れがきても倒壊することはないと想定しています。ただ、怪我をする学生が出てくることを想定し、現在学生に開放している学生ホール(富士見ゲート1階)に臨時の診療所・救護所を設置することとなっています。更に考えられる被害としては、停電と断水です。停電に関しては、最大72時間は自家発電をする機能が備えてあります。ポータブル発電機というものも準備しています。断水に関する一番の重要事項はトイレです。トイレが使えない状況を想定すると、学生の皆さんの健康被害、いわゆる二次被害が起こることを懸念しています。それに備えて大学では簡易トイレ備蓄しています。今年の春にあった職員の防災訓練では、その携帯トイレをいち早く設置するという訓練も行いました。」
職員の防災訓練は毎年行っているのか
「職員の防災訓練に関しては法律で定められていて、毎年6月と10月か11月、年に2回行っています。春の6月にやる訓練は、実は学生にも参加してもらっています。ただ、全学生に安否確認の方をお願いしているのですがその回答率は1.1パーセントです。この回答率の低さは大学としても問題視しています。どうしたら回答率が上がるかと考えているところです。秋の訓練ではAEDを使用したり学生が救急車で運ばれていく場面を想定したりして、情報トリアージ訓練を行っています。」
大学構内にいるときに地震が起きた際、学生はどのように行動すべきか
「地震の場合、揺れが1分ほど続くと考えると、その間はとにかく自助です。自分の身を守るということを学生や職員の皆さんには第一にお願いしたいです。その後、揺れが一度収まったら、次の揺れに注意しながら、共助の精神で行動していただきたいです。もし怪我をしている人がいれば、臨時の救護所へ連れて行ってあげるとか。」
大学にはどのような備蓄品がどの程度用意されているのか
「飲料用の水と、羊羹、ビスケット、クッキーなどが用意してあります。また、携帯トイレやエマージェンシーシートという布団の代わりにもなるようなシート、生理用品も準備しています。以上のような備蓄品が、3日間分は準備してあります。この3日間というのは、東京都の帰宅困難者対策条例に根拠があります。もし大学にいるときに巨大地震が起きた場合、3日間は、その時大学にいた職員や学生を帰宅させず大学に留めておくようにと条例にあります。一斉帰宅を抑制して交通網の麻痺などを未然に防ぐというのが目的です。市ヶ谷キャンパスの全学生数の内7割の人が、3日間生きていけるだけの備蓄が用意されています。これは、災害時にキャンパスにいる人数を計算して出した数字です。最もキャンパス内の人口が多い水曜日の2,3時限の講義を履修している人の数が大体7割なのです。しかし、1人当たりの飲料水、食料、物資の量は決して多くはありません。具体的には、500ミリリットルのペットボトルの水が6本、羊羹が8個、ビスケットが2箱、簡易トイレが12個、ウェットティッシュが1パックで1人の3日分です。これは推奨されている量よりもずっと少ないため、学生の皆さんには普段から飲み物や軽食などを携帯していることをお勧めします。」
学期内に災害が起きて通学困難者が出た場合、講義などはどのような対応をとるか「72時間の初動対応の後については、なるべく早く震災前の状態にするためのマニュアルとしてBCP(事業継続計画)というものが東京都から出されています。大学ではこれに基づいて、できる限り早く授業を再開するための訓練も行っています。例えば新型コロナの時にはオンライン授業などを行って対応しました。震災の規模にもよりますが、次の揺れや二次被害にも注意しながら、大体1週間後くらいから少しずつ授業を再開していくことになります。そのためにも先ほどの安否確認が必要になるため、どうぞ皆さん、安否確認をしっかり回答してください!大学としては、学生の皆さんが無事なのに大学に通えない、という状況を想定しているため、安否確認によって皆さんの生死を知ることは大変重要になります。」
防災や安否確認をどのように学生に周知しているか
「実は法政大学のホームページの右上に、安否確認のバナーがあります。しかし、それすらも知らない学生さんは少なくないと思われるため、大学としては、入学時のガイダンスで防災に関する説明や安否確認の説明をすることも必要ではないか、と感じています。学生の皆さんにどのような場でどのように防災についての周知を行うかということは今後の課題です。どうやって「危機感」を持ってもらえるかということを考える中で、防災教育は法政大学の抱える課題の一つだと捉えています。」
私たち学生が普段からできる対策はあるか
「大学の備蓄品は決して潤沢ではありません。よって、普段から自分の水筒などで飲み物を携帯することや、キャラメルやチョコレートなど糖分を摂取できるようなものを持っていることが大切でしょう。また、自分で防災ポーチを作って持ち歩いておくことも一つの対策になります。私は普段使う鞄に携帯トイレを常備しています。一番大事なことは、家族や大切な人と安否確認の方法を確立しておくことです。インターネットが繋がらない状況で有用なのが、00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)という、災害時等に無料で提供されるWi-Fiです。災害伝言ダイヤル(171)の使い方も予め知っておくといいですね。」(飯田怜美)