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Jリーグのある日常が戻ってくる―サッカースタジアム7選
Jリーグ再開によせて、今回はスタジアムについて。
2020年のJリーグが今日再開する。しかしながら、観戦できる日常を取り戻すのはもう少し先であり、発表された日程通りに消化され、予定通り観客が収容されるのかも未だ確信できない状況下にある。できることなら1日でも早くサポーターの埋まったスタジアムの雰囲気を肌で感じたい。
過去に現地でサッカーの公式戦を観戦した競技場は全部で36あった。お題目は便宜的にサッカースタジアムとしたが、サッカー専用・球技専用・陸上競技場含め、行ったことのある好きなスタジアムを7箇所選ぶ。再開に先駆け来る日に備え、スタジアムで見ることのできるJリーグのある日常を思い出したい。なお、写真については掲載用に撮影した写真ではないので、スタジアムの魅力が伝わりづらいことに関してはご容赦願いたい(見出し画像は旧国立競技場)。
1.NACK5スタジアム大宮
(撮影:2007年 大宮-大分)
忘れてはならない、我らが大宮アルディージャのホームスタジアム。日本最古のサッカー専用スタジアムの称号は、未来永劫消えることはない。収容数は少ないものの、ピッチとの近さやスタンドの傾斜が特徴。最接近できるバックスタンド最前列は、飛び散る汗すら肉眼で見える。欠点は不意にたむろし始める上空のカラスの多さ。氷川参道からスタジアムへの道のりの趣深さ含め絵になるスタジアムである。
2.駅前不動産スタジアム
(撮影:2012年 鳥栖-大宮)
訪問当時はベストアメニティスタジアム。最早鳥栖のランドマークと言っても過言ではない建造物。駅からの距離のわりに片口しかないためアクセスは良くないが、鳥栖駅に近づくと車窓から見える鉄骨造りのスタジアムの外観は圧巻。こちらも傾斜があり上段でも近く見える。鳥栖にこれをよく作った。
3.ユアテックスタジアム仙台
(撮影:2010年 仙台-大宮)
屋根つきの球技専用スタジアム。スタンドと屋根で包囲されているタイプの造りは声援がよく響く。バックスタンド寄りに位置する仙台のコアサポの迫力に、言わずもがなの見やすさ。地下鉄からのアクセスの良さも魅力で、宮城スタジアムをお払い箱にするのに充分なスペックを兼ね揃えている。無敗記録が止められるなど、大宮は非常に相性が悪い。
4 .フクダ電子アリーナ
(撮影:2008年 千葉-大宮)
こちらもユアスタに近いタイプの球技専用スタジアム。2層式のスタンドで、段幕もたくさん貼られて見た目も鮮やか。アクセス良好なスタジアムに隣接する練習場、バックに見える工場の群れは夜になるとFFⅦのミッドガルを思い出させる。スタジアムグルメが強みなのもあまりにも有名。今年は遠征を計画してたので、行けず残念。
5.味の素フィールド西が丘
(撮影:2014年 東京V-水戸)
トップリーグを常時開催できる箱ではないが、こじんまりとして見やすいサッカー場。ホームゴール裏がせり上がっている構造が特徴的。どの席で見てもだいたい同じぐらいの目線になる。J3や学生サッカーをのんびり見るのがベスト。決して近くはないが、JR埼京線の各駅から歩いて、都会面しない街並みを見て回るも良し。こちら「味フィ西」と「味スタ西」の紛らわしさは以前鉄板ネタであった。
6.豊田スタジアム
(撮影:2013年 名古屋-大宮)
海外のスタジアムに来たと錯覚してしまう傾斜とキャパを持ち、特徴的な屋根や2層目の形状等、個人的には建造物としても好き。テレビで見るような欧州型の巨大スタジアムが日本でも体感できる。黒川紀章氏が携わったことでも知られ、イベント広場含め充分な敷地面積が確保された郊外型スタジアム。
7.駒沢オリンピック公園陸上競技場
(撮影:2012年 町田-北九州)
陸上競技場ながら唯一ノミネート。西が丘同様、あまりJの公式戦では見かけないものの、高校サッカーではおなじみの青いトラックが印象的。青空に良く映える。テレビで見るとわかりづらいが、スタンドの傾斜があり陸スタの中でもトップクラスの見やすさと断言できる。喧騒から離れた自然な感じを含めて好き。
今回選外ではあるが、"グルメスタジアム"カシマサッカースタジアムや、黄色のサポーターの壁が立ちはだかる三協フロンテア柏スタジアムなども良いスタジアムである。評価の高いパナソニックスタジアム吹田やミクニワールドスタジアム北九州、新設のサンガスタジアムby KYOCERAも今後行ってみたいスタジアムである。
個人的なスタジアム論として、貴重なサッカー専用スタジアムを本拠地とするクラブのサポーターをやっててなんだけれども、世の中にたくさんの"球技専用スタジアム"が建設されてほしいと願っている。もしNACK5スタジアムにとって変わる本拠地が誕生するとしたら、球技専用でも仕方ないと思っている。(キャパは2万はないと寂しいが…)
他競技との共存は重要で、今後はより受け入れられるスポーツは多様化する。野球場のような専用競技場を増やしたり、巨額な修繕費を拠出するのは理にかなっておらず、税金を使うのであれば首長の一存ではなく客観的な妥当性が必要であろう。以前秋田については、野球場については巨額な費用をかけながら、サッカー場の議論については首長が一蹴していたが、稼働率や利用が予測される人口数、県外からの訪問客の取り込みを鑑みて判断したものなのか、疑問が残った。今後過疎化の進む地方の生き残りのために柔軟な発想が求められ、若年層が減少する地域はこういう地域なんだと思い知らされた事案であった。
そういった意味では、先日のFC大阪の花園ラグビー場関連の指定管理者となった件はエポックメイキング的な出来事だった。ラグビーとサッカー、競技の垣根を越え、持ちうるノウハウを共有し、スタジアムや管理の質を向上させる。そういった積み重ねがそれぞれの競技の発展にも寄与していくことだろう。専用競技場はそういったシナジーがない。
話は戻って、間もなくJリーグ再開。まずはお茶の間で、感情を爆発させる準備をしよう。