屋根の上に吹く風は
2022.2.24@シネマクレール
鳥取県智頭町にある新田サドベリースクールの1年を追ったドキュメンタリー。
ここ、いつだったか訪ねて行ったことがある。その時は別の方がスタッフだった。子どもの数ももっと少なかった。森のようちえん「まるたんぼう」もその時見学したなあ。
自分が子育てをしている時は、オルタナティブな学校を探すなどということは考えつきもしなかったから、我が子で痛い勉強をしたあとではもうほんとに遅きに失していたけど、それでもどんな学校があり得るのか、知りたかったし、近くにできればいいなとは思い続けていたんだな。
この映画で一番印象に残ったのは、子どもが選挙でスタッフを選ぶところ。(この学校には先生はいない。)選挙の仕方や求人の仕方から始まって、スタッフの待遇や勤務条件まで突き詰めていくと、おとなの事情がありすぎて、子どもはだんだんつまらないモードになってくる。
でもなんとかようやく行われた選挙の結果がオドロキで、誰もが「いるのが当然」と思っている常勤スタッフのさとちゃんが3位に落ちて(3人しかいない)、新入りで週1スタッフだった「(子どもを差し置いて)よくしゃべる」まささんが1位に躍り出たのであった。
「自分の孫がこの学校に入るまでスタッフでいたい」とプレゼンしていたさとちゃんとその娘はがっくり肩を落として家路に。
びっくりしたのは子どもたち自身で、まさかこんな結果になるとは投票した方も思っていないから、あわててさとちゃんを取り戻すべく画策するのだが、時すでに遅し。だって自分たちで決めたことだもん。
すごいなあと思ったのは、もし大人が決めてたら絶対こんな結果になってないし、結果がこうなったとしても、やっぱりさとちゃんにはこれまでどおりやってもらおうなどということになると思うんよね。(おとなは急激な変化を好まない)
だけど、新田サドベリースクールの子どももスタッフも、選挙の結果を厳正に受け止めて、新しい体制になりました。
それがすごいと思った。
週1スタッフになることを選ばず(中途半端な関わりになるから)、新田を去って新しい道を歩くことにしたさとちゃんも素晴らしいと思う。
「ふつうの」学校は保守化して、自分の力では変わることができなくて、そこに入れられた子どもたちはどんどん息苦しくなっていっている。
この新田サドベリースクールは、子どもが自分たちで決めることを大事にして変わり続けている。
すがすがしい。
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