複雑な時代を生きる者たちへ
前回の投稿では、マクロ的な視点から2020年現在をどのように捉えていけば良いかについて『第四次産業革命』という著書をベースに共有した。
今回は『Think clearly』という著書を軸に、ミクロ的にいま実際どのようなことをしていけばよいのかについて共有していく。
ちなみに私はこの本を2週間で3回読み、ノートにより深く考えるべきキーワードを書き並べ、計3本にわたる中田敦彦のYouTube動画を観るほど、この著書にのめり込んでいる。
年間100冊を超える本を読んでいる私が、2020年最高の著書だと自信を持って言える一冊だ。
世の中には、たくさんのノウハウ本が出回っていて「こうしたら成功する」「これから始めればうまくいく」など成功方法を列挙しているが、『Think clearly』には成功方法は書かれていない。
では何が書かれているかというと「失敗しない方法」が描かれている。
本記事のタイトルにもなっているが、我々は我々が感じている以上に歴史的に複雑な時代を生きている。いわばゴールのないゲームをしているような状況だ。
そんな状況下で大事になるのは「成功するために何をするか」ではなくて「失敗しないために何をするか」である。
一見保守的に見えるかもしれないが、これは立派な人生戦略だ。特に大きな転換期においては、下手に動かないことも必要なのだ。
では早速、激動の時代を生き抜くあなたが、どのようにすれば「人生の不幸せな要素」を取り除いていけるのかを共有しよう。
1.「むやみに頼み事に応じない」
結論から話そう。
あなたに何か頼み事をする人は、あなたの人生にとってとても重要な「時間」と「自由」を奪い得る人である。
これはおかしな話ではない。例えばあなたの長い人生の中で、会社の上司や部活動の先輩に「お前、〇〇しろよ」と命令口調に頼み事をされた経験はないだろうか。
その時のあなたは一体どのような感情だったか、是非いま少し考えて思い出してみてほしい。
「自分でやれよ」そう思ったのではないだろうか。
頼み事をする人の99%は、その頼み事にどれだけの時間がかかるのかまでの予測時間を加味せずに頼んでくる。
だからこそ、断るべきことは断るべきなのだ。
これは自分が全く逆の立場のときにも考えるべきことだが、人はなにか頼み事をするときに「他者の時間や自由を頂戴している・借りている」のだと意識しておく必要がある。
そしてその意識が足らない人からの頼み事など、別にあなたがしてやる必要はない。
断ってしまおう。
2.「好かれたい病を治そう」
あなたは何か頼み事に応じるとき、あなたはその依頼者に「好かれたいから」という感情を抱いて頼みを受けたことはないだろうか。
ちなみにこの「好かれたい」という感情は、実は「人間の本能」であることをご存じだろうか。これがあったからこそ、あなたの遺伝子は現在あなたに受け継がれるまでに至っていると言っても過言ではない。
現代では想像もできないだろうが、我々の先祖は狩猟時代を生きているとき、毎日食べ物にありつけるとは限らない日々をおくっていた。
大漁のときもあれば不漁のときもある。それが自分だけではなく、近くにいる同じ人間にも当てはまっていた。
だから食料が有り余っているときは誰かに分け与え、自分が不漁だったときに助けてもらうことで、安定した食事を行ってきたのだ。
いわば「好かれたい」は「保険」なのだ。
好意を受けた者は、その後なんとなく恩を返さないといけない義務感に駆られる。あなたは誰かからおみやげを貰ったとき、そんなことを考えたのではないだろうか。
もちろん、もらっても返さない「恩を仇で返す」という選択を取ることもできる。
これらの良し悪しに関しては、しばしば数学の問題として扱われることの多い「囚人のジレンマ」で考えることができる。
せっかくなので、あなたにも考えてみてほしい。
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共同犯罪を行った二人がいる。二人は意思疎通が取れないよう別の部屋に入れ、検察側は司法取引を持ちかける。
(a)ひとりが自白し、もうひとりが自白しない場合、自白した方は釈放、自白しない方は懲役10年。
(b)ふたりとも自白しなければ、懲役2年。
(c)ふたりとも自白し場合は懲役5年。
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詳細はぜひご自身で調べていただきたいのだが、このゲームで最も勝利を収めた方法が「しっぺ返し」であるということだけは伝えておきたい。
大事なのは一手目。ここで両者が協調しないようであれば、ゲームの結果は無様に終わる。
一手目で両者が協調をした場合、二手目以降のあなたは相手と同じ動きをすればいい。裏切られたら裏切り返し、協調してきたのなら協調し返す。
この「しっぺ返し戦略」は、人間関係に悩んでいる人には特に有効である。
他人の顔色を窺(うかが)いがちなあなたは、最初だけ主体的に協調し、それ以降は相手がしてきた行動をミラーリングするだけで良い。
そうシンプルに考えれば、少しはあなたの悩みは晴れるだろうか。
3.「自分のポリシーを持とう」
何でも頼み事に応じてしまう人、好かれたい病の人には共通の特徴がある。
それは「ポリシーを持っていない、あるいはそれを周りに伝えていない」
どんな小さな選択事でもそうだが、自分の生き方に反することはわざわざしなくていい。それは、あなたを不幸にさせるからだ。
ポリシーを持って取捨選択する人としない人とでは「時間の使い方」が劇的に違う。
ポリシーを持っている人は、自分を幸せにする選択だけをする。
そうでない人は、自分を不幸にしうる選択もしてしまっている。
「ポリシーを持て!」といっても、それが簡単にできればあなたは人生できっと苦労してないはず。
似たような言葉に「主義」「聖域」などがあるが、これも分かりづらい。
そんな中で、私が最もしっくり来たのは「自分との約束事」という考え方だ。
他の誰でもない自分との約束事。これを破ろうとする、あるいは破ったあなたはその後もしっぺ返しをし続ける。つまりあなたは、自分を裏切り続けるか、貫き通し続けるかのどちらかしかできないし、しなくなるはずだ。
人生を幸せに生きたいのであれば、あなたは誰かの人生を歩んではいけない。自分のポリシーを持って選択をし、自分のために生きていこう。
4-0.「世界は変わるが、あなたに世界は変えられない」
これは、著者の考え方と私の考え方を複合させたものである。
我々はじばしば「偉人崇拝」する。
「ジョブズがいたから、スマホがある」などと思っている人も多いが、実はジョブズがiPhoneを発表する以前にはすでに、スマートフォンというモノは存在している。
つまり何を伝えたいのかというと、2つある。
①現在は偶然の集合体である
②謙虚であれ
4-1.「現在は偶然の集合体である」
SNSが普及して以来、私も頻繁に目にするのが「マウント」である。
権威や成果、年収などで人より優位に立ち、
成長意欲の高い人たちに啓発している。
そんな彼らは「〇〇をしてきたから結果が出せた。だから私と同じことをすれば上手くいく」というような発信をする。
もちろん、そんな訳はない。
その人が成功した背景に、何かしらの要素があったから成功したというは事実だろうが、それを何だと思うかは自分の解釈であり、明らかに自分都合に矛盾なく話そうとしている。
人生には、自分ではコントロールできない要素の方が圧倒的に多い。つまり、自分の今があるのは偶然なのだ。
4-2.「謙虚であれ」
自分の過去を話しあげる人は「ピークエンドの法則」を利用し、都合の良いように事実を解釈にでっち上げ、都合の悪い部分に矛盾が生じないようにストーリー化して伝えるのだ。
マウントを取ってくる人は解釈を語り、謙虚な人は事実を語る。
偶然を偶然と言える人こそ、人として本物なのかもしれない。
4-3.「尊厳の輪」
世界の超大ベストセラー『7つの習慣(成功し続けるための習慣)』の中で、こんな言葉が使われている。
「影響の輪、関心の輪」
簡単に説明すると、人には誰かに影響を与えられる「できること(影響の輪)」と、自分ではどうにも変えられない「できないこと(関心の輪)」とがあり、このうち「影響の輪」に集中することが、成功し続けている人の特徴だとされている。
そして『Think clearly』で挙げられていた「尊厳の輪」は、この「影響の輪」に値する。
人には、自分の能力を「超えたい」「広げたい」という誘惑があり、それによりしばしばする必要のない失敗をする。
ちなみにこれらの願望には、短期的な「興味」による願望と長期的な「執着」による願望とがあるが、あなたのエネルギーに変えるエンジンとなりうるのは後者であることも覚えておいて欲しい。
できないことはできないと周りに伝え、できる人に請う方が自分は幸せになるし、社会はより良くなっていく。
自分のできることで他者や社会に貢献し、そこに謙虚さも加えればあなたの人生は誰に何を言われようが幸福である。
5.内なる成功
「成功は時代の産物である」
この事実は、本書の中で最も響いた言葉の一つである。
例えば現代での世間的な成功の概念と、狩猟時代の集団的な成功の概念は違う。
つまり今あなたが外的に求めている成功は、50年後100年後の成功の形とは違う可能性があるということを認識しておがなければならない。
これからテクノロジーはますます発展していき、人間の社会は愚か地球のあらゆるものがさらに変わっていくだろう。
それらは必然のような偶然の結果をもたらし、我々の考え方や価値観までも変えていく。
しかし、今こそ気づいて欲しい。
唯一変わらないのは、他者の基準ではなく自分の基準なのだ。
これはポリシーの部分にも準ずるが、自分が自分の人生を通して何を成し遂げたいのかを考える方が、幸せに近づける。
あなたの内に秘められた成功は何ですか?
ーーーーーーーーーーー完ーーーーーーーーーーー
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