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自民党総裁選を通じて考える、若者の価値観とシステムや制度のズレ

2024年自民党総裁選が始まっていますね。石丸さんの都知事選への立候補でようやく政治に関心を持った、そんな政治ミーハーな私の印象では、今回の立候補者たちは皆共通して「このままの日本ではダメだ」という危機感を抱いているように感じました。

少子高齢化による影響で、若者への負担が歴史的に大きくなっており、これが日本の持続的な発展に対する深刻な障害となっています。特に、日本の若者の幸福度は世界的に見ても低く、2024年の世界幸福度ランキングで日本は全体で51位、30歳未満の若者に限定すると73位にまで低下しています。ここから、日本の若者の多くが「自分らしく生きられていない」と感じているということが言えます。そして私は、この「自分らしさ」という感覚が、多様な選択肢や受け皿の有無と密接に関わっていると考えています。(https://yamatogokoro.jp/inbound_data/53056/

それからこれは政治だけに限った話ではないですが、重要な議論をしようとするときに、保守とリベラルなどのような二極化に基づいた議論が多く見受けられます。この二者択一のアプローチは、そもそも多様性の欠如した会話であり、現代の複雑な問題に対応するための建設的な対話にはならないと私は思っています。これが現代の日本に至っている原因の一つだと思います。

物事にはグラデーションがあり、現代の価値観はその個々の色味を発揮したい、そして認めて欲しいというものになってきています。ただ現状の日本は、この受け皿や選択肢を幸福を感じるほど用意できておらず、それが活力のない現状を生んでしまっています。

これまでの日本は、規模の経済を重視し、特定の産業や技術に特化して成長してきました。規模の経済とは、より多くのリソースを集約することで、効率を向上させ、コストを削減する考え方です。しかし、少子化や価値観の多様化が進む現代において、このモデルは限界を迎えていると私は感じています。つまりこれからは、規模に依存しない多様な選択肢を提供する社会が求められると私は考えていて、この総裁選で選ばれるべきリーダーは、それを推進できる人であるべきだと考えています。

2024年7月に東証グロース市場に上場したタイミーや、国内最速のユニコーン企業となったsakana AIなどの企業は、規模の経済に依存しない新しいビジネスモデルを示しています。タイミーは、隙間時間で働くというニーズに応えることで多様な働き方を促進しています。sakana AIは、従来の電力を大量に消費する集中型のAI学習ではなく、分散型のAI学習を利用して、省エネでありながら高い成果を上げています。

未来の日本のために何を考えれば良いか

やるべきことは2つあると思います。
1つは、多様性を許容する。他者の価値観を認めるということです。
そしてもう1つは、自分の価値観が認められているんだ、と感じられる制度や仕組み、システム作りをすることです。総裁選に関わった内容で挙げると、選択的夫婦別姓であったり正規非正規の格差の是正などです。

そして、これらを比較して考えたときに、両者にはスピードに違いがあります。個人の価値観は変わりやすいですが、制度やシステムはそれと同じスピードでは変わることができません。ですから、組織のリーダーはどれに適応していくか優先順位を考える必要があります。ただ、この優先順位にも人それぞれ価値観が出てくるので、これがまた難しい。。。

Abemaでの総裁選立候補者の議論で、いい話がありました。(以下要約)
「意見の違う人に賛成はもらえなくてもいい。だけど納得はしてもらう必要がある。そして、物事を決める時、安易に多数決で決めてはいけない。」

国会でなされる議論は、どんな内容であってもここに落ち着くのだなと思いました。「美味しい果物といえば、みかんかりんごか」というお題に対して多数決を取る時、何も議論を交わさずに多数決を取っても、その結果には意味がありません。納得している人が少ないからです。みかんにはどういういいところがあって、りんごにはどういういいところがあるか。悪いところもそうです。それらを全てテーブルの上に並べて、比較材料を以って選ぶ必要があります。(これが制度の刷新に時間がかかる要因なんだなと思いました)

私もまだ自分の中で結論が出ているわけではありませんが、現時点で腑に落ちている解釈は、現代の幸福度の価値観と多様性の受け皿(選択肢)の多さは比例していると感じた、ということです。現代がより資本主義的になっているのも、経済的に豊かだと選択できる選択肢が増えるから、という点でもこれは納得できました。

個人としては選択肢を増やしていくこと、そして他人の価値観を認めることが幸福度を高める方法の一つ。そして組織や企業、国としては、その選択肢を増やすこと、受け皿を増やすことが国民の幸福度を高めること、それが延いては国力を高めることにつながるんだと思います。

(画像:東京新聞より)

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