都市づくりも箱モノも、ソリューション的な観点が無いと、すぐに廃れる
以前、『 ヨーロッパ人は、「お金にならないけど残さなくてはならないもの」を判っている。そして、そういうものを目指している人を馬鹿にしない 』という記事を書いた。
もう少し補足すると、「お金にならない=すぐに商売(利益)に結び付いていないように見える」ということだ。
実は、その一見「お金にならない」ように見えるものは、居住者・観光客を問わず、人の心を惹きつけ、結果的にお金に結び付いている」ということなのだ。
言い換えると、「お金にならなそうに見えるもの」は、その地に居住する・従事するもののモチベーションを高め、観光客など訪れる者の好奇心や購買審心が満たされるという「ソリューション」が成立しているという事なのだ。
「いくら利益が出る」
「集客が見込める」
「古いから新しくする」
「見た目が良くないから、取り壊して新しくつくる」
こういう要素も理解できる。
しかし、こういう観点だけで、前述のようなソリューション的な観点が全くなければ、どんなに税金や試験を費やしても、結局は、或いはすぐに廃れてしまう。
むしろ、その前の状態の方が、経済効果を生むポテンシャルがあったのに、わざわざ金と時間を浪費して、そのポテンシャルを潰してしまったということになるのだ。
わかりやすい一例を挙げてみる。
過日、福岡県大牟田市にある三池炭鉱時代の宮原坑の遺構を訪ねた。
この竪坑道やぐらは、人馬や石炭、地下水などを昇降させるためのエレベーターを支える施設なのだが、これを作った三井鉱山は、閉山となった明治時代の後、取り壊す予定でいた。
現に、無数にあったこうした炭鉱の施設は、炭鉱住宅なども含め、ほとんどが取り壊されて売却されたのだが、この宮原坑のやぐらや万田坑のものは、行政が「当時をしる貴重なもの」だとして買い取ったので、今もこうして残っているということだ。
そして、その後この宮原坑の遺構は、「世界遺産」の構成資産になったのだ。
今、大牟田市を訪れると、こうした世界遺産を中心とした三池炭鉱時代の炭鉱の遺構を観光の目玉としたパンフレットが目に付く。
炭鉱のあった時代=明治から昭和初期の歴史を学ぶという若い世代の学習ニーズにも合致し、今後も多くの人を惹きつけ、街に人の足を運ばせ続けるだろう。
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