アンネ達、8人のユダヤ人をかくまい、手助けしたのは、以下の引用に出てくる4人の一般オランダ市民だった。
もちろん、かくまった事がナチ親衛隊にばれると、自分たちにも命の危険が及んだのである。
私は、特に日記の中にミープ・ヒースという女性の名が頻繁に出てくることに気が付いた。
オーストリアで生まれたミープは幼い頃、実親が貧しく、子どもに十分な栄養を摂らせてやることができなかった為、裕福なオランダ人の家庭に引き取られ育ったという経歴を持っていた。
引き取った先のオランダ人家庭は、ミープを非常に温かく迎え入れ、実の子どものように接した。
ミープの中には、そのような、当たり前のように「困った人を助ける」オランダ人の気質が受け継がれていたと思われる。
仕事の雇い主であったアンネの父、オットー・フランクから潜伏生活の手助けを頼まれた時、二つ返事で承諾している。
彼女には、ヘンクという夫と結婚したばかりであったが、夫ヘンクもまた、すぐに8人のユダヤ人を手助けすることを快諾している。
何の根拠も無いユダヤ人を目の敵にし、抹殺しようとするヒットラー=ドイツ人に対し、ミープ・ヒースら命をかけて正義を貫こうとした4人は、それこそアンネの目には「ヒーロー」以上の存在と映ったことだろう。
その心情が、日記の各所に読み取れる。