私が対州馬を絶滅から救いたいと思う理由 その㊻
馬喰(ばくろう)や調教のことなど ~長崎の馬方さんに伺った話
話は前後しますが、長崎の街で実際に対州馬による荷運びを生業とされていた方に色々と伺った話は、今後貴重な内容となると思うので、ここに記しておきたいと思います。
立山町のUさんに伺った話
*玉持ち(牡馬)は一頭飼いがよい。
*馬搬に関しては、牝馬にさえ会わなければ、何ということはない。
*玉持ち(牡馬)は、玉無し(騙馬)よりは、多少気が荒い
*牡馬は年中発情している。
*牡馬同士は、出会うとケンカする。
*扱う人との相性もある。
*交配は、いとこ位だといいのではないか。血縁は遠ければ、遠いほどいい。
*馬は、「買いたい」と言う人がいる時に売った方がいい。(稼ぎ頭でない限りは)
*馬は仲介人(馬喰)の存在がものを言う。大きい。
*乗馬クラブでは、牡馬は去勢しなければ使えない。
*玉持ち(牡馬)は、他の馬と一緒にしていると、やはり反応して落ち着かなくなる。物理的に離れた場所で飼育する方がよい。
*対馬では、馬喰が間に入らなければ、絶対に(馬を)人に売らなかった。
*馬喰は、売り手、買い手の両方から手数料を取った。50万の馬として、15万とか。
*対馬では、家を新築すると、必ず持っている馬を、一頭出すという慣習があった。
*馬の運動は、一日一時間は曳いたり、乗ったりしないとストレスが溜まる。或いは、広い場所で放牧する。
*牝馬は、妊娠すると2年は使えない。
*合図の声 「進む」は「ハイ」 「止まる」は「ダー」 「右へ」は「マエ」 「左へ」は「サシ」
*(荷運びの馬具について)鞍さえ載せられれば、後はどうにかなる。雨の日などに練習する。始めは毛布を背中に乗せる練習から、鞍の下という風に順々に慣れさせていく。「尻がい」は難しい。
*馬が言うことを聞かない時は、綱を両方の輪に通し、引くと締まるようにする。
*街路樹で、夏に赤い花の咲く低木に注意する(食べて死んだ馬がいた)。
*(未調教の馬を調教するには)最初、捕まえる時が最も大変。3~4人で袋小路に追い込む。まずは触ることから始める。
*(対州馬の)餌は雑草がいい。