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『 君の涙は笑ったから?それとも・・・ 』(松浦市・福島町・土屋(どや)棚田)


「明日出発するけん、こがんして会えるとも今日が最後やね」

「うん」

・・・幼なじみとしてこの島に育って15年。

一緒の保育園、小学校、中学校。
キミは美人で明るく活発だからいつもみんなの人気者で・・・。

そんなキミにボクはずっと心の中で片思い。もし「すいとぅ!」とかゆうたらキミは「なんばいいよっとね!」って笑うやろうね。

だからそんな思いも胸にしまって今日まできてしまった。


キミはスポーツ万能だから特待生として4月から遠くの街の高校へ行ってしまう。

そこで寮生活をするから、しばらくは帰ってこれないというキミを、ボクは勇気を出して呼び出したんだ。
うちにはペスの散歩に行ってくるってゆうて家を出た。


「明日は見送りに行けんばってん、向こうでがんばれよ」

「うん・・・」

いつも笑顔のキミもさすがに寂しそうな顔をしている。

海に沈む夕日が見慣れた棚田を赤く照らしていた。

「今なら、ボクの思いを伝えられるかもしれない!」
と思ったのに・・・ん!? 
ちょっとまてよ、ペス、さっきからくるくる回ったりして? 
あやしい動きだとは思ってたけど。

まさかその姿勢は・・・。

た、頼むペス、今だけはやめてくれ~。



別れの季節。旅立つ方は来るべき新しい場所への不安と期待で胸がいっぱいである。

でも見送る方はいつも切ない。

教師時代、この季節は特別なものだった。


いつもの見慣れた教室。

扉を開けると生徒達のワイワイガヤガヤ。

見慣れた光景。その空気。

その生徒達が教室からいなくなってしまうということが、たまらなく寂しかった。

成長して巣立っていく生徒達を見送らなくてはいけないから。

空っぽになった教室をひとり見なくてはいけないから。



それでも旅立つ側なのに、別れに大泣きをする生徒たちが大勢いた。

その記憶はいつまでも色あせることなく胸の奥底に光り輝いている。


僕の子ども絵日記-24


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江島 達也/対州屋
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