時代は変わっても
5月1日から、新しい時代が幕を開ける。
元号発表の瞬間に立ち会うことはできなかったから、ニュースで確認した。
「令和、いいですね」
「予想と違って意外だった」
感想は、人それぞれ。
だけど、一つ言えるのは、これから訪れる新しい時代に、みんな夢中になったということだ。
「スクランブル交差点」とは名ばかりに、その足を止めて大型モニターに注目する歩行者。
"映え"なさそうな「令和」という二文字を背に、記念撮影するインスタ女子。
時間の流れや、物事のしくみが変わるわけではない。
ただ、時代のラベルが変わるだけ。
普段は、日常に埋もれてる元号。
伝統ってきくと、ちょっと時代遅れな気もする。
だけど、みんなが注目していた。
せわしない日々のなか、そして、スマホとかの楽しみがたくさんできた世の中で、みんなが動きを止めていた。
なんだか不思議なことだ。
もう一つ、不思議な事があった。
こぞって号外を奪い合う姿だ。
このご時世、情報を得たいならネットニュースやSNSの方が手っ取り早い。
「新元号 令和」なりで検索すればよいから。
だけど、それだけじゃ満たされない”特別感”を求める人も多い。
デジタルな現代に投じられたアナログな価値は、予想以上に大きいのかもしれない。
「令和、ヤバイヤバイ」
インタビューを受けた女子高生のセリフが、そんな思いを助長させた。
〇
「これからはネット社会!」
「SNSが時代をつかむカギ!」
そんな風に言われて久しい。
その主張を否定する理由は特にない。
事実、そうだから。
SNSでバズれば一気に注目を浴びるし、人気も出る。
莫大な広告費を使わなくても、「興味」というトリガーを引けば多くの人に魅力が届く。
これを使うっきゃ無い、というレベルまで来ている。
ただ、みんなデジタルに取り込まれてしまったのか、と言われるとそういう訳でもない。
ハイテクとは程遠い、ダラダラとした散歩に繰り出したり、なんとなく気が向いて1駅分歩いたりする。
僕たちはダイナミックに移り変わる世界に追いつこうと、走っている。
全力疾走だったり、小走りだったりもするけど、走っている。
だけど、走っているときでも、身の回りのことが気になることだってある。
ゆっくりと何かを感じたいときもあるし、じっくり観察したいときもある。
どれだけ時代が進んでも、そこだけは譲れないのだと思う。
〇
もうすぐ新しい時代が始まる。
人生で初めてのことだから、ちょっと緊張する。
きっと、どんどん技術が発展するし、予想もしてなかった世界が待ち受けてるんだと思う。
僕たちもギアを上げていかないとついていけないのかも。
だけど、走り続ける必要はない。
横の茂みで、ガサゴソ音が聞こえれば立ち止まって道草すればいい。
並走する人といっしょに、野原に寝転んでもいい。
そんなときに、意外な発見があったり、近道が見つかるかもしれないから。
時代が変わっても、たもたれるものもあるし、必要な不合理もあるはず。
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新元号発表のときに書いた記事です。
新しい時代が、ほんとに間近になりましたね…
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