またすぐ、いまなく
買い替える理由も、エゴも、機会も持ち合わせてはいないのでずーっと同じスマホを使っている。
だか、日々内包されていくアップデートやらアプリケーションは日に日にどんどんとギガ大きくなるわけで、よう小さいままのパッケージはもうパンパンにはち切れそうなのだ。
それでも買い替えぬ理由は特段何も思いつかないし、強いてはつまらない、愛着という他ない。
アラームを見た。
そこには、起きれないかもしれないからと分刻みに陳列された数字、まさしく愚鈍があった。とくに5時から6時までの間は酷くって、学校に寝坊しないためにつけてたんだろう、あんまり多いので少し消す。
上までスクロールしてみた、それは4時から始まっていた。
思ってもみれば、おれはそれよりも前に起きたことがある記憶がない。むかしスティーブ・ジョブズは朝に作業した方が効率が良いと言っていたのを馬鹿正直に間に受けて、テストのときは4時に起きていたことを思い出した。
そう思うと、なんだかこの数字の羅列に忘れていたむかしのおれが浮かび上がってきた気がした。
いや、そう考えたら素敵な気がしたからだろう、うまいこと話になりそうだと思ったからだろう。
おれは薄くぼやけて見えなくなった。
今度は下までスクロールする。
23時58分、
何?
いやマジでわかんない、何してるんだ
少し思案してみてもわからなかったが、前遅くにこのアラームに叩き起こされたような覚えがあった。何によるものかはわからないが何らかの誤作動で生まれた招かれざるアラームなのかもしれない。
なんだかこいつの誕生が、こうして見ている今嬉しくなったのでこれは消さないことにする。
名前を付けようかな、せっかくなら。
そう考えると、叩き起こされたそのリアルタイムに愛着を持ってやれなかったのが少し申し訳なくなる。それにきっかけもとっくに薄れてわからなくなったのだから、因んだ名もなかなか難しいことに気がついた。
忌み子にしよう、ピッタリだろ。
そんなことを考えながらいらないアラームを消していき、気がつけば時間は遅くなる。
アラームは増えていく。
まだ中学生です