夕日が逃げるのがずいぶん早くなって 僕たち暮らしはずっとせまいまま 寄れ寄れたシャツも乾いて伸びてくように 帰り道、満ち満ち、とはままならない 言おうとしたのは気が付いてくれたようで 近く遠のいてく僕となかまたち 「余裕が無いのは昔から変わんないね」 燦々と立って言ってた、君は笑ってた どうにかしようと散々な心臓、でも 誰かを助けたような顔して自分が楽になっていた そうした日々は単純な僕を また気付いた時でいいからなんてさ 楽園は ここじゃ無いこと 気付いて、いた 曲が
無人駅の改札の音 聞こえるのは僕の息遣い 緩んでいる水の落ちる音 まだ生きてるってこと、確かめる音 「神様って信じますか?」 錆びつくインターホンには宗教勧誘のおばさん もし居るんなら出てきてと、 笑顔の先に僕が映る 今この部屋にはもう誰もいない 天国に続いてく階段を ぢっと見つめてるだけの時間 ただ、苦しくて 僕たちはみんな誰かよりも 劣ってるって思ってる 君だってそうだろう? だってそうだろう、辛そうだもん なんて勝手気ままに不安定なんて 決めつけて アンダンテはど
海は満ちてた きらり光る缶はポイと捨てて 死んだとこから やり直せるならばどんなに楽か いつのまにやら 僕らからだだけがでかくなって 日々はどうした、ものか ちょっとずつ速くなってく 立ち止まる思いの丈に 揺れる僕ら触れる 何もかも、 なれないな なれないなら みちづれてやる 目は覚めた、鼻は潮にやられたまま 耳で鳴ってた、ずっとガタが来てた扇風機 押し寄せる波 僕の頬 拭ってる、拭ってる 疲れたら、ちょっとだけ ひと休み 諦めるため 僕のため 拭ってる、拭ってる 疲
洗濯機が鳴くように 頬を、伝う、夏の、不覚 冷笑的な風が吹いた 10と8時、朝は終わり 感動的な味付けた ダサい映画がもう分からなくなって どうしようもなくなって泣いた 僕は気が付いたら ここじゃない何処かへと向かう列車に乗って 各駅停車で君の方へと そんな気がした 思い出に、なる方がいいって また始まらなかった時のこと ばかり考えてしまう、夏の夜 今少し患う 忘れない、まだ忘れない からだじゅうを満たしたプールサイド ひとり10年前の8月の夜 今少し患う 星もねがい
もう飛んでいかなくなった 赤いランプは星の隨に 僕だけの痛みを干した ベランダはまた空が狭くなる 思い出せないまま荷物ばっかりが増えて 口に出せない言葉は形を伴って 思い出せないまま消えてくダンボール 僕の居場所はずいぶん広くなった 朝焼けた街を見下ろしたとて うずくまるこの背中は あまりにもただ視界にも 入れる事すら苦しい 嗚呼、 この声は歌にはならないから 嗚呼、 この日々はどうか 歌って過去になんかしないでくれ 朝早く目が覚めた いてもたってもいられなくなった
拍動の色が溶けた 死にたがり、バスタブの曲線 盗んできたみたい夕焼けには ペンタトニックスケールが滲んでいて カッターナイフなんかじゃ治せない 昔の傷全部、抉って取り出してみて 今更どうにかなることなんか限られていて 拾い集めるだけの日々です 「また明日」って君が言うから 僕はいまだに死ねないまんまで 彷徨う夕焼け 「また明日」って僕が言うなら 君は生きたりなんてしないでくれ 公転周期は真円みたくかぎりない まるでビーナスみたいに美しいんだね 二酸化炭素にまみれてしまっ
借り家ばっかりの住宅街 散々な目に遭ったらしいアパートの 四畳半からこぼれてしまいそう 天井に宇宙を見ていた 健全な朝はもう遠く 腐りかけた冷蔵庫、外に投げたら 「あの人は星になったらしい」 通行人Pは線分を断つ このままどこか遠くいけるなら どうせこの部屋から逃げたりなんてしないし そのまま僕は遠くなれるなら 0ベクトル、輝きを放って 進んでいたつもりになっていた 奮っていた記憶は何ですか? 3.1415、 囲んでほしいと願った人生も 何も起きやしなかったなんて 何
忘れ物がひどい。本当に信じられないくらい物や事を忘れる。こないだは、自分で出ると言った文化祭の企画書を、楽器店と打ち合わせまでして、セッティングから完パケまで事細かく丁寧に記載したのにも関わらず、提出を忘れた。他にも、とある遠征のオーディションライブで大阪に行った時は、会場入り30分前に印鑑の必要な出演確認書を書いていないことを思い出し、現地の100均を3つくらい回って「中林」の印鑑を探し回っていた。こういうといわゆる武勇伝らしく聞こえてしまうが、全く誇らしいとも思わないし、
割り増し空が青く見える日もある。 多分それは昨日の空の色なんか、深々快晴だったのか、鬱蒼曇天だったのか、ぽつぽつ羊雲だったのか、並々名の知らぬ雲なのか、ハッキリ言って覚えてないからで、それでも目の前のこの空が、いつ見たときより青い気がするのは、なんかとてつもなく適当で、なんかとてつもなく素敵だと思った。 公園のベンチ、背もたれに両腕をかけ足を組み、大して大きくもない体をいっぱい広げて自分の居場所を作る。ここが俺の居場所だ。 擦れたり寄れたりでいつのまにか少しみすぼらしくも見
少しだけ、魔が差してみたかったのだ。 その一画だけはこの町の中でも随分と時分違いで月並み時が止まったよう、しかしながら鬱蒼繁茂する竹や雑草は留まるところなく背を増すばかり、囲まれ包み込まれ、だんだん森林化は進行するばかりである。 その家屋は、どこにだってあるような住宅街にふと突然間違ったようにあった。 石畳や門構えが立派だった頃はおそらくもう誰の記憶にもなく、生きたけもの道だけが残るその奥には、長年コツコツと篠突いた雨や吹き荒ぶ風により瓦すら朽ち、襖はほとんど盗まれたか土
仕事人の朝は早い。 深く深い眠りから目覚めて時計を見る。 10:32 am やれやれ、午前中に起きちまうなんて健康優良児と勘違いされてしまいそうだが、この俺はそれとは程遠い存在の、いいやむしろ対極の位置に存在する。日々とある『仕事』に躍起になり、朝から晩まで仕事部屋にこもっては、一週間も太陽光を浴びないという日もなんらざらではない。 目覚めてすぐおもむろに目の前の、寝落ちしてつけたままだったパソコンに手を伸ばす。 さて、仕事の時間(work time)だ。 ひとし
ひどいシトラスの匂いがする。 シャワーを浴びずに勝手に寝るなって何回言っても聞かないのだから、私のベットはアロマディフューザーになってしまった。 横になった体をむくりと起こすと、重たいカーテンの隙間から入る日差しに、この狭いアパートの机の上が当てられていた。 そこには、カップヌードルのゴミや空いた缶ビールがうず高くってほどじゃないが積まれていた。このくらい片付けていってくれてもいいのにな、というのは少しだけわがままだろうか。腹を掻きながら立ち上がり、それらを集めて拾う。
買い替える理由も、エゴも、機会も持ち合わせてはいないのでずーっと同じスマホを使っている。 だか、日々内包されていくアップデートやらアプリケーションは日に日にどんどんとギガ大きくなるわけで、よう小さいままのパッケージはもうパンパンにはち切れそうなのだ。 それでも買い替えぬ理由は特段何も思いつかないし、強いてはつまらない、愛着という他ない。 アラームを見た。 そこには、起きれないかもしれないからと分刻みに陳列された数字、まさしく愚鈍があった。とくに5時から6時までの間は酷くって
───きみたちは気にならないかね、自分が何の世界の住人なのか。 「まーた始まったよ、部長のキショトークショー」 地学準備室の一室を間借りした部室にその精鋭全員が、どこかから取り出して置いたままの折りたたみ式の机にパイプ椅子で座って集まっていたが、通常教室の半分も無いこの部屋すらやけに広く、方々に散った埃のほうがまだマンモス校を名乗るに相応しい状況であり、まあ、包み隠さずそのままに言うととどのつまり、 部員が3人しかいないのだ。 「なんだね浜部くんキショトークショーとは
「──時に、何事も条件やルールがあってですね、」 頬を切る秋風が遮られ、車内にはバカ天気のいいひだまりだけが残り、妙にあたたかく、眠たくなってしまう、日曜の昼間の、電車。 しかしこの電車は人がごった返すことはない。とある県境に位置する、いわゆる辺境の地へと誘なう、まさしく赤字路線である。 しかしながら地域住民もそこを利用しなければ死んでしまうので、廃線というわけにもいかず管轄では問題視されている路線だ。 私はとある取材でこの電車に乗っている。 その目的地は終点の『へるべち
天と、地の緑の二つ原に挟まれ、少年田中聡は寝惚けかけている。 田中少年はこの田舎の村の、中等学部に通ってはいるが、職務たる勉学が輪をかけて不得意であり、修心ですら落第を取るような男であるから、担任教諭も手はつけられないでいる様子である。 さらに素行も悪いんじゃ鬼に金棒で、いわゆる不良というやつらしく、今現在すら授業にも顔を出さず真昼間から河原でふんぞり返っているという訳である。 学徒の風貌をしてはいるが、袖口から私服の袢纏がはみ出ていることに気が付かないのは着ている本人だけ