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母とジェンダー問題
わたしの母は、私の父より朝が早い。
誰よりも朝が早い。毎日早い。
そして私の母は、それを私にも求める。
それは、私が結婚してすぐのころ、母が家に泊まりに来ていたある日のことだった。
私の旦那は朝型で、5時ぐらいに起きて仕事をしていた。6時ごろだったと思う。母にたたき起こされた。
「旦那が朝早く起きているのに、嫁のあんたがなんで寝ているのね」
母は怒っていた。
私も怒った。
「私もフルタイムで同等の仕事をしているのに、なんで旦那より早く起きる義務があるの」
そこからはもう悲惨だった。母は昔自分がいかに姑に厳しくされたか。女には女にしかできないことがある。私には思いやりがない等々。関係ない不満などもいっぱい言っていた。そして、”普通は”とか”一般的に”という言葉をたくさん使っていた。
最終的に、母が来ているときは、旦那よりも早く起きる、っていうよくわからない折衷案に落ち着いた。
そのあとしばらくして、父親とその話をした。
父は「母さんはただ、同世代の旦那のお母さんが、同じような場面に居合わせた時に、なんて嫁なんだと、思われないようにお前にわかってもらいたかったんだよ」といった。
その時私は、人目もはばからず泣いた。
やっぱり私は納得がいかないのだ。大好きな両親と意見が合わなくて、1年たった今でも思い出すと悔し涙がでてくる。
旦那と私の間ではあたりまえのことが、親という近しい関係でも1世代離れれば我々の”普通”は、彼らの”普通”ではない。
長年積み重なったその”普通”は、親子といえど話し合いで解決せず、妥協案に落ち着いたのである。
父も母も、精いっぱい私の幸せを願っている。でも私は納得がいかない。
たかが早起きの話である。