株式会社地域新聞社(2022年10月24日)|事業計画及び成長可能性に関する事項の雑感
グロース市場に上場している企業の「事業計画及び成長可能性に関する事項」をチェックしています。(過去アーカイブはこちら)
今回読んだ資料は、株式会社地域新聞社です。
創業は1984年8月。地域新聞社が発行するフリーペーパー「ちいき新聞」は、千葉・埼玉・茨城で約201万部を毎週金曜日に発行しているそうです。
株式会社地域新聞社(2022年10月24日)
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地域新聞社ウェブサイトのソースを見てみると、「description」は次のように記されています。
資料によると「ちいき新聞」の強みは以下6点。
・フリーペーパーとして当該地域における高い認知
・千葉県内の発行部数No.1
・約3,000人の配達員が、1軒1軒、丁寧に配布。一般紙を購読していない層にもリーチできる
・ネット利用の少ないシニア層へリーチできる
・地元の主婦がライターとして活躍
・配布エリアは45。エリア毎にきめ細かな対応ができる
コロナ禍の影響をモロに受け、昨年度まで51百万円の営業赤字でしたが、今年度は9百万円の営業黒字に戻しました。ただコア事業としての新聞発行事業は、フリーペーパー市場全体が縮小傾向にあるため、成長事業としてWebに活路を見出していると記しています。
成長事業としているWeb事業、HR事業、マッチング事業を、コア事業がある程度キャッシュを生み出している期間内に、利益を出せるかがポイントだと感じました。
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とはいえ、少し心配なのは「競争力の源泉」としている部分。
フリーペーパー配布による当該エリアの影響力と販売ネットワークが、他社と比べて信頼醸成できるというロジックです。この辺りは、リクルートがIT産業へと大きく舵を切ったのとは対照的です。
広告ビジネスゆえに、どれだけ出稿されるかがポイントです。広告業界自体もWebへとシフトしているので、フリーペーパーへの広告出稿は限定される、となると売上のアップサイドはある程度見えてしまうので、現在の販売ネットワーク(人件費)によって薄利多売のビジネスモデルから抜け出せないのではないでしょうか。
販売ネットワークが活かせる成長事業として、マッチングサービスを挙げています。これがどのような事業で、どういった価値を提供しているのかイマイチ分かりづらいのですが、この事業が数年内にある程度のキャッシュを生み出さないと、経営的には厳しいかなと感じました。
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2022年11月に、地域新聞社は「上場維持基準の適合に向けた計画に基づく進捗状況について」というリリースを発表しています。
個人的には、やはり地域貢献という観点から、地域新聞社の役割は決して小さくないと考えています。
若年層にはインターネットがありますが、ネットリテラシーの低いシニア層にとって、テレビや新聞以外に、情報を獲得するためのチャネルは貴重です。
不易流行という言葉がありますが、何を変えず、何を変えていくのか。
それを明確にしつつ、時代に合ったビジネスモデルを構築していくこと。いまが正念場、地域新聞社の今後の取り組みを陰ながら応援しています。
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こちらに過去調査した企業のアーカイブをまとめています。
よければ、ぜひ覗いてみてください。
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