株式会社カラダノート(2022年9月14日)|事業計画及び成長可能性に関する事項の雑感
グロース市場に上場している企業の「事業計画及び成長可能性に関する事項」をチェックしました。(過去アーカイブはこちら)
今回読んだ資料は、株式会社カラダノートです。
2022年6月9日に業績予想の下方修正を行ない、黒字基調から赤字になってしまいました。とはいえ、売上はYoYで30%増と順調に推移しています。
今後も同じように売上が伸びていくのか、「事業計画及び成長可能性に関する事項」の資料を読み解いていきましょう。
株式会社カラダノート(2022年9月14日)
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赤字になった大きな理由のひとつは、フロー型ビジネスからストック型ビジネスへの転換にあるとのことです。
カラダノートが急成長を遂げたのは、フロー型ビジネスである「ライフイベントマーケティング事業」でした。2017年次の売上から6倍もの成長を実現しており、BtoBとして法人の期待に応えてきたことが窺えます。
2021年7月の決算資料を見ると「ストック型」への意欲は示しています。しかし「ビジョン実現に向け、外部環境変化に強い事業・組織を⽬指す。外部パートナーの活⽤も視野に、ビジネスモデルの多様化を推進」ということで、ビジネスモデルの変換までは示唆していませんでした。コロナ禍の影響があるのかは分かりませんが、長期的に成長を維持するために、BtoBからBtoCへの切り替えを進めようとしているのは理解できます。
ただ、事業のひとつである家庭用宅配水サービス「カラダノートウォーター」は、競合が山ほどいる領域になります。後発サービスとして、他事業とのシナジーをどれくらい狙えるか(エンドユーザーの利便性を高めることができるか)が勝ち筋なのかなと推察します。
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カラダノートのビジョンは、「家族の健康を支え笑顔をふやす」というもの。機能でサービスを設計するのでなく、家族という軸を起点にビジネスチャンスを模索するという流れは、非常にいまっぽいというか、ビジョン起点の考え方だなと感じました。
それゆえ、日本の社会問題として挙げられる「少子高齢化」「ウェルビーイング」に対して、何かしらブレイクスルーをもたらしたいという意思も筋が通っています。(それが「医療費の圧縮並びに、出生率の改善」に繋がるかどうかは分かりませんが)
目から鱗なのは、P8の「ウェルネス(約15兆円)」「ヘルスケア(約31兆円)」「シックケア(約41兆円)」の関係と市場規模について。
高齢化によって介護分野が高額になるのは理解できるのですが、60歳以下の当事者が関わる「ウェルネス」「ヘルスケア」があまりお金がかけられていない現実に、バランスの悪さも感じてしまいます。
ただ公助の割合が低いことで、個人が「ウェルネス」「ヘルスケア」に注目する(自助努力をしようという意欲)流れは間違いないでしょう。そこをビジネスで課題解決しようというカラダノートの意思は、とても分かりやすいし、応援したくなる要素だと感じました。
実際、本格的にライフイベントを起点としたマーケティング支援プロダクトを展開しようというのは、2022年からの中期方向性で示されたものです。まだ試行錯誤は始まったばかり、これからカラダノートがどんな施策を打っていくのか非常に楽しみです。(という方向性であれば、もしかしたら社名変更なども検討しているかもしれませんね)
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アルバイトを含んだ従業員数は58名。売上が13億円ですから、従業員ひとりあたり22百万円を稼いでいる計算になります。
WantedlyやHERPなどを見ると、全方位の職種で採用活動を行なっているようですが、同じ写真を使い回しているなど、採用活動の伸び代はまだまだあるように感じました。
「働きやすい」という外部評価も受けているカラダノート、成長エンジンのひとつである「ひと」をどのように捉えているのか、もう少し詳しく知りたいところです。
ちなみに代表取締役の佐藤竜也さんは、2007年に慶應義塾大学経済学部を卒業されています。僕も2007年卒なので、同じ世代の経営者です。立場は違いますが、1984年前後のビジネスパーソンがどんどん世の中を盛り上げていってほしい、陰ながら応援しています。
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こちらに過去調査した企業のアーカイブをまとめています。
よければ、ぜひ覗いてみてください。
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