ビジネスコーチ株式会社(2022年10月20日)|事業計画及び成長可能性に関する事項の雑感
昨年秋から、「仕事の振り返り」noteにて、勉強のためにまとめていた「事業計画及び成長可能性に関する事項」の雑感。
今月から振り返りを有料マガジンにしたことを機に、こちらのレポートは切り出して、毎週日曜日に更新します。
これまで40本以上、更新してきました。以下にアーカイブとしているので、気になる会社があれば読んでみてください。(自分の勉強のためであり、企業への否定や批判の意図はありません)
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今週もグロース市場に上場している企業の「事業計画及び成長可能性に関する事項」をチェックしました。今週読んだ資料は、ビジネスコーチ株式会社です。(ちょうど10日前に2022年9月期決算資料も発表されていました)
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ビジネスコーチ株式会社(2022年10月20日)
コーポレートサイトには、パーパス、ビジョン、ミッション、コーポレートスローガンがそれぞれ丁寧に記載されています。もちろん会社名に冠しているビジネスコーチというのが商品なわけですが、僕は「一人ひとり」という表現に強い意図・意思を感じました。
利益のことを最優先に考えると、経営層などのトップマネジメントにフォーカスした方が手っ取り早く利鞘を得られるはず。もちろん一般層が最大のボリュームゾーンではあるのですが、そこを狙うためにはそれなりに競合他社とガチンコで勝負する必要があります。人的リソースもかなり取られてしまうわけですが、それでも「一人ひとり」にビジネスコーチを配すことで、世の中がきっと良くなるんだという信念があるのでしょう。
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事業としては大きくふたつ。1対1型サービスと、1対n型サービスがあります。前者が「コーチが対象者1名に直接コーチングを実施して行動変容を支援するサービス(全体売上の24.9%)」に対して、後者は「対象者グループにコーチング。または動画視聴によりコーチング習得を支援(全体売上の64.5%)」するもの。3倍弱の違いはあるものの、中期展望としては「1対1型ビジネス拡大」を目指すと明確に記しています。
これだけ見ると、マンツーマン英会話とグループ英会話の違いじゃん!と感じるでしょう。ですが、ユニークなのは、「サービスは、ビジネスコーチング「フェーズ1・2・3」体系×「1対1型・1対n型」のマトリックスで提供」ということで、意図的に事業ごとの相乗効果を狙っていることです。
すごく極端に言うと、「一般社員の『気付き』レベルは1対nでやっちゃえば良いけれど、幹部社員や幹部候補生が『行動』を変えるには1対1のビジネスコーチングが有効かもね」というように、企業の予算やニーズに合わせてサービスを自在に変形できるということでしょう。
あるいは入り口が経営トップの1対1型でのビジネスコーチングだったとして、経営者がすごく気に入って、ボトムの社員へと広げていくとか。効果を実感している人が増えれば増えるほど、企業の単価もアップしていくという。ビジネスコーチングを担当する人と、営業やコンサルテーションの力。この掛け算によって、どこまでも付加価値(に付随する売上高)を上げていけるというビジネスモデル。なかなか堅実です。
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KPIも資料には明示されています。
■事業のKPI
パートナーコーチ数:132名(2022年9月末)
1対1型コーチング対象者数:1,100人
取引先企業当り売上高:3.2百万円
■財務のKPI
売上高成長率:19%(2018/9期~2022/9期CAGR)
経常利益率:21.3%
ROE:47.6%
このことからも価値の源泉となる「パートナーコーチ」をいかに育成し、確保していくことが重要なのかが分かります。エンジニアリングの会社ではないものの、ある意味で、ここを育て確保していかないことには、売上が止まってしまうわけですので、当然といえば当然なのですが。
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悪い意味で驚いたのは、採用サイトをengageで構築していること。
en-gageとは、無料で使えるエン・ジャパンの採用媒体です。近年では、人材採用をWantedlyなど外部の採用媒体に頼るケースは珍しくはないのですが……。外部のプラットフォームの枠組みに依存する場合、どうしても表現力が弱くなります。
「それでも人材獲得できるんだよ」ということかもしれませんが、成長ドライバーのひとつが「ひと」である以上、中長期的には、自社でメッセージを発信するのが定石ではないかと僕は思います。
いずれにせよ、今後の事業展開がとても楽しみです!
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こちらに過去調査した企業のアーカイブをまとめています。
よければ、ぜひ覗いてみてください。
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