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電車の中で、AM8:06に「君繋ファイブエム」を聴いているか

いま、私はASIAN KUNG-FU GENERATIONの「君繋ファイブエム」という21年前のアルバムを聴いている。Apple Musicで、BOSE社のQuietComfort Earbudsを耳に引っかけながら。

いま、朝の8時6分で、電車に乗っている。通学や通勤のピークタイムで、私は幸い座席に座っている。ふと車内を見渡すと、私と同じくらいの年齢の女性が小さな欠伸をしていた。この後、世間を揺るがすような大事件や大災害が発生する未来があったとして、そんなことを予想している人は誰ひとりいないように感じる。

それぞれの人生があるはずだけど、おおよそ凡庸にみえてしまうのは、私がとりわけ非礼だからというわけではないだろう。でも実際は、私にはとうてい及ぶことのないほど専門的な仕事に取り掛かる人だっている。もしかしたら暗殺稼業を営むアンダーグラウンドパーソンもいるかもしれない。

さて、話題をASIAN KUNG-FU GENERATIONに戻そう。この広い日本において、今朝、アジカンの「君繋ファイブエム」を聞きながら通勤・通学している人はどれくらいいるだろうか。何しろ21年前のアルバムだ。熱心なファンだって、このアルバムをピンポイントで聴いているとは限らない。

熊本にいるだろうか。秋田にいるだろうか。

もし、いま私が乗っているこの電車の中で、偶然、たまたま、ひょっとして「君繋ファイブエム」を聴いている人がいたらどうだろう。

辛いよ辛いもう現実を受け止めたあの日の僕らの
こころの片隅 浮かんだ面影
研ぎ澄んだ感覚
君をもっと僕をもっと感じで僕らは飛ぶ

(ASIANKUNG-FU GENERATION「無限グライダー」)

目の前の30歳くらいの女性は、どんな音楽を聴いているのだろう。もし彼女が「君繋ファイブエム」を聴いていたら?

そんな宝くじに当たるよりも低い確率のことを想像して、なにやってんだおれ?と思うけれど、でも日本中でたぶん私と同じように「君繋ファイブエム」を聴いている人は、おそらく一人ぐらいはいるのではないだろうか。

そう考えると音楽というのはすごい。いや文学だって、映画だってすごい。

いや、なんだかんだ、毎日毎日文句も言わずに、これだけ多くの人間を輸送している電車というやつが頭抜けてすごいかもしれない。世の中、すごいやつばっかで、どから誰もすごくないって説もある。

#ASIANKUNGFUGENERATION
#君繋ファイブエム

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ほりそう / 堀 聡太
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