パワポ禁止、文章形式で書く。
先日、打ち合わせをしていたときにアドバイスを受けたことがある。
「パワポは使わないで、みっちり文章で書いた方が良いよ」
その打ち合わせは「何かアクションを期待する」という類のものではなかった。僕が考えていることを「正確に伝えてアドバイスをもらう」ことを目的にしていた。当たり前のようにPowerPointでスライドを事前に作り、当日つらつらと説明していたときに先の指摘を受けた。
文章で書くことのメリット(=パワポを作るデメリット)は、
・企画者の想いを正確に記述できる
・作成しながら自ら論理破綻している点に気付ける
・規定の枠組みのもと考えざるを得ない
・何度も推敲して企画案がブラッシュアップされる
・他者に多様な解釈を与えない(方針をしっかり共有できる)
・時間が経ったときに、原点として参照しやすい
といった点だ。
もちろん読み手が「読んでくれる」という前提のもとだ。
だが文章形式で書くことで一番恩恵を受けるのは「自分」である。
フワフワと頭で考えているだけでは、細部まで考え切ることができない。経験則で乗り切れればOKかもしれないが、本来のPDCAサイクルからは大きく逸脱してしまい再現性は低くなる。
考えて、考えて、考え抜く上で、パワポはあまりに不向きなのだ。
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実際に、アマゾンが「パワポ禁止」というルールを課しているのは有名な話だ。
文章の資料を何枚も書くのは骨の折れる作業ですが、パワーポイントで箇条書きの資料は、比較的容易にすぐ作れます。枚数を気にせず思いついたことをスライドに列挙していき、会議当日は適当に飛ばしながら口頭で説明することも可能です。いわば「やっつけ仕事」での資料作成が可能なのです。
しかしきちんとした文章にするとなると、読んだときに辻褄が合わない部分が出て来ないように、最初から整合性をとらなくてはなりません。そのため、吟味に吟味を重ね、適切な情報を用いて推敲を重ねなければなりません。
エッセンスだけを凝縮して、それを文章にまとめようとすると、必然的に何回も書き直しをしなくてはならなくなります。おそらくベゾスは、そのようにじっくり検討して推敲するプロセスも期待して、この会議の資料作りのルールを考えたのだと思います。
(Forbes JAPAN「アマゾンのすごい会議。ルールは「パワポ禁止、箇条書き資料禁止」」より引用、太字は私
なのでこれらは、基本的に組織の「中」で適用されるルールだろう。
組織とは、チーム内、会社内、プロジェクト内、家族間など様々だ。(同じ会社でも「違う」組織の場合もある)
人事として情報収集をしていると、多くの会社で「新入社員に対して教育コストをかけられない」という話をよく耳にする。ポテンシャルよりも即戦力を求めたり、最初から自走できる人材を求めたり。残業時間は下降傾向にあるとは言え、自ら能力開発に勤しまないといけないなど働くことは今もしっかりシビアだ。
自分の企画をみっちりと指導してくれる人はなかなかいない。
だからこそ、セルフチェックできる体制は必要だ。「パワポ禁止」を課して、みっちりと、文章形式でのライティングを試みるのは有効かもしれない。
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