ライドシェア問題の行方
文字通り、Ride(乗る)をShare(共有する)ライドシェア。
UberやGrab、Lyftなどに代表されるライドシェアサービスだが、日本ではタクシー業界が解禁反対の声をあげ、長く規制緩和が見送られてきた背景がある。各世論調査を見ても、賛成と反対はきっぱりと分かれている印象だ。
法整備を進める政治においても、
・自由民主党:岸田首相は前向きだが、与党内部で反対意見が相次ぐ
・立憲民主党:反対
・日本維新の会:賛成
と、かなり割れているようだ。(以下ソースだが、一体感がなくて申し訳ない。本題とは別なのでご容赦ください)
日本の国政においては、良い意味でも悪い意味でも、「意見が割れる=導入が先送りされる」という傾向がある。
岸田首相が強いリーダーシップを発揮しない限り、実現までは遠いだろう。現状の支持率を鑑みると、一部の地域で実証実験が行なわれる可能性はあるが、ライドシェアの恩恵を広く受けられる日はなかなか想像できない。
かくいう僕は、ライドシェアに賛成の立場だ。5年前にチェコのプラハを訪ねたとき、かなりUberの恩恵を受けた。事前に料金が決まっていること、アプリで現在地と目的地がすぐに目視できること。何よりけっこう安かったし、何度か使うと割引もあって、滞在中は非常に重宝した。同じようなことが日本でも起これば、色々な意味でプラスだろう。
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20代の僕だったら、「なんで早く法整備しないんだ。既得権益に配慮しているのか!」と怒っていたかもしれない。
だが、40代を手前にして、まさにその既得権益によって生計が成り立っている方々のことを想像することができるようになって。賛成派、反対派が膝を突き合わせて議論を行ない、丁寧な合意形成を図っていくことが大事だろうと(これもまあ当たり前のことなんだけど)、思うようになっている。
繰り返すが、法整備のハードルが低いのであれば、早く導入した方が良いと思っている。
でも、拙速で物事を進めるくらいなら、数年遅くたって構わないんじゃないかと思う。そうでなければ、必ず傷つく人はいるし、遺恨を残すコミュニティもあるだろう。「遺恨」そのものはゼロにならないかもしれないけれど、丁寧に対話をしていけば、少しずつわだかまりを減らしていくことはできるだろう。
変化が激しい世の中で、スピーディな意思決定が求められがちだ。
だが僕は、ある種の物事に関しては、どっしりと構えて(保守というわけではないが)、対話を重ねる努力をすべきだと思っている。トップダウンでなく、ボトムアップで意思決定がなされるのが理想だ。そんなムードを醸成していくことこそ、政治の役割ではないだろうか。
ライドシェアをめぐる問題は、賛成派と反対派だけの対立で済む話ではない。マイナカードなど全ての問題に通ずるが、政府が忘れてしまった「対話」のあり方を、もう一度見直す契機になっているように思うのだ。